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第40話 デッドリー・キングとタイマン張ってみた

「デッドリー・キングさんだけは出てこれるのかよ――さすがキングだな!」


 さてどうするか――

 あきら達が宝物庫を探索する時間はもう十分取っただろう。

 なら――ちょっとボーナスステージにチャレンジしてみるかね!

 後学のために、俺の一発でどのくらいダメージ通るかチェックしときたいしな。


「リュー! やるぞ!」

「きゅうっ!」


 俺は大範囲の『ディストラサークル』を詠唱し、余っていたMPを空に持って行く。

 そして、『仕込杖』のヘッドを回して奥義の構え。

 デッドリーキングはこちらに近づいてくると、カッとより一層目を赤く光らせた。

 唸りを上げて、漆黒の両手剣が大きく振りかぶられる。

 ――大振りの、縦斬り! これなら避けながら滑り込めるか!

 紋章術師のAGI(敏捷)は低いけど、判断と動き出しのタイミングが早ければ!

 

 ドウッッ!

 

 それは漆黒の両手剣が地面を穿つ音だ。俺には当たっていない!


「いっけえええぇ! 奥義『デッドエンド』っっ!」


 敵の懐に滑り込んだ俺は、すかさず奥義を放つ。


 蓮のデッドエンドが発動。デッドリー・キングに2561のダメージ!


 よし当てた! けど――HPバーの動きはわずかなものだった。

 さすがにレベル99のレアモンスは格が違ったなこれ。

 と考えつつも、俺は即座に装備武器を『狂信者の杖』に切り替える。

 敵は奥義のダメージで一瞬仰け反っており、最速実行なら切り替えが間に合った。


 直後に、デッドリー・キングは懐にいる俺に対し、前蹴りを撃ってくる。

 避けるのは間に合わない。ガードするしかない!

 ガード削りされれば即死。オワタ式ってやつだな!


 デッドリー・キングの攻撃。蓮は攻撃をガードした!


 よっしゃガードできる!

 まあただの蹴りだし、キングさんにとっては格ゲーの弱キック的な攻撃なんだろう。

 しかしこれがガードできるというならば――

 なるべくこの弱キックばかりしてくるような位置取りをキープすれば、結構粘れるんじゃないか?


 弱キック誘発する位置取りとはつまり密着。むしろ最接近が一番の安全地帯と見た!

 俺は蹴りをガードで捌きながら、デッドリー・キングへの密着を続けた。

 時折、剣を振り回しながら回転する攻撃が来るものの、頻度も少なくモーションも大きいため回避が可能だった。

 ただし回避のために飛び退くので、そのたびに間合いが開く。


 そうなると、再び剣をかいくぐって懐に飛び込む必要がある。

 それも大振りの縦斬りを見繕って行けば不可能じゃない。

 その他の攻撃の兆候が見えたら、大きく距離を取ればいい。

 飛び込み、接近、ガード、退避のルーチンが出来た。


 このパターンに入り続ければ、時間稼ぎだけはできる。

 やがて五分間が経ち、奥義を構成するスキル『ファイナルストライク』『ターンオーバー』が再使用可能になる。

 もう一発撃てるぞ――!


 ちょうどその時俺はキングに最接近し、蹴りをガードで捌いたところだった。

 直後に、キングは回転斬りのために体を捻る挙動を見せた。

 よし今!

 俺はその隙に大きく飛び退って、さらに後方ダッシュして距離を開けた。

 そこでアイテムボックスを開いて最速処理で合成を開始。『仕込杖』を合成できた。


 装備変更。キングが接近してきて、大振りの縦斬りの兆候。

 見逃さない! 二発目ゴー!


 蓮のデッドエンドが発動。デッドリー・キングに2561のダメージ!


 よし、以下ループで行けるとこまで行く!

 俺は即席で見つけ出したルーチン頼みに、延々それを繰り返すことにした。


 そして――どのくらいやっただろうか。

 俺はデッドリー・キングのHPを半分くらいまで削っていた。

 まだまだ、やれるところまでとことんやってやんぜ!

 そんな時だった。


「大丈夫か!?」


 あ。この間見た二年生の先輩だ。


 三浦慎祐(2-B)

 レベル68 聖騎士(パラディン) パーティーリーダー


 おお。HP回復した。ヒールをかけてくれたらしい。


「高代君! 良かったらあいつを倒すのに協力するけど、どうする!?」


 ちらりと横目に見ると、先輩方は前と同じレベル60代が10人くらい。

 これだけに加勢してもらえれば、本気で倒せるかも?

 意地を張る必要もない、ここはありがたく協力してもらうとしよう。


「お願いします!」

「よし分かった! 『ガーディアンフォース』!」


 三浦先輩はすぐさまスキルを発動し、俺をガードする位置に立ってくれた。

 デッドリー・キングの猛攻を受けつつも、俺に話しかけてくる。


「君が一人であいつを引き摺り出して、ここまで削ったのかい!?」

「ですね――! まあ正確にはこいつの力も借りましたけど!」


 と、俺はリューに視線を送る。


「そのレベルなのに凄いな君! とんでもないやつだよ! 実際に見てなきゃとても信じられない!」


 ほかの先輩方もそれぞれ、前衛後衛のそれぞれ位置について戦闘を開始。

 さてこの中で俺はどうするかな。

 とりあえずヘイト的には俺がぶっちぎってるだろうから、今までと同じ動きで向こうに合わせてもらうしかないか。

 と考えていると――


「フフフフ……我トココマデ戦オウトハナ――」


 デッドリー・キングが喋ったあああぁぁっ!

 おいおいさすが高レベルだな!

 心なしかスケルトンなのに、にやりと嬉しそうに笑っているように見える。


「ソノチカラ二敬意ヲ表シ――我ガ奥義ヲ見セテヤロウ!」


 デッドリー・キングは両手で剣を掲げ、そしてざくりと地面に突き立てた。


「刮目セヨ! 『赤き災厄(レッド・ディザスター)!』」


 ズゴオオオオォォォォッ!


 デッドリー・キングの奥義が発動すると、地面に突き立てた剣を中心に猛烈な炎が吹き上がった。それが放射線状に広がっていき、俺たちを焼き払う。

 あっという間に目の前が真っ赤な炎に包まれる。

 広範囲かつ、高速の必殺剣に俺も先輩たちも成す術がなく巻き込まれた。


「「「うあああああああっ!?」」」


 そして――その場に立っているのはデッドリー・キングだけだった。

 うんまあ、全員一撃死したぜ……

 HP削ったから本気出してきたってことか。

 なるほどなあ、あの技の対策を考えないと勝てねえなあー。

 デッドリー・キングつええな。流石レベル99のレアモンスターだな。


「フフフフ……マタ来ルガヨイ。勇敢ナル戦士タチヨ――」


 デッドリーキングはドヤ顔っぽい感じでそう言い残し、威風堂々とダンジョン内に戻っていく。何かほんと、スケルトンのくせにカッコイイ奴だな……

 だが残念でした! あんたが守ってた宝物庫、うちの女子陣が荒らしてますから!

 戻って驚くがいい!

 つっても何かあのキングさんバトルジャンキーっぽい感じするし、宝物庫を餌にして戦いたいだけなキャラ付けかも知れない。

 まあ何はともあれ楽しかった! いつか倒してやんぜ、デッドリー・キング!


「ははは……いやあ面目ない。助っ人が10人も集まって即死してしまって……」


 と、俺と同じく地面にキスしてる三浦先輩が申し訳なさそうに言った。


「いやいや、ありがとうございました。巻き込んじゃってすいません」

「謝る必要なんてないよ。俺達はデッドリーキングの撃破目的だったからね。外まで出てきてるなんて、願ってもないチャンスだったんだ」

「へぇ……何かいいもの落とすんですか?」

「ああ、武器や防具もあるけど、君も見たろ? あいつの奥義。倒せたら赤き災厄(レッド・ディザスター)を習得できる奥義書を落とすんだ。威力あるし、どの武器でも撃てる奥義だから便利なんだよ」

「ほほー! いいですねそれ!」


 いい目標だな! いつか倒してゲットしてやろう!


「じゃあ、戻ろうか。また何かで一緒になったらよろしく」

「はい。ですね、戻りますか――」


 死に戻りだ。あきら達は『ギルド設立許可証』ゲットできたかね?

 では、ホームポイントへゴー!

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