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第243話 ラスト3分

「蓮くん大丈夫!? まだ粘れる!?」


 声をした方を向くと、俺と同じようにモンスターに取り囲まれまくっているあきらの姿が!

 囲まれ過ぎでちょっと見辛いが、その姿はこのダンジョンでデフォルト装備と化していた浴衣ではなかった。

 キラッとメタリックに輝く感じの、ソードダンサー衣装である。

 この形自体はいつものやつと同じだが――?

 ああこれはさっきのアレか! メタルコーティングとやらを食らったやつ!


 あきらは11のダメージを受けた。

 あきらは16のダメージを受けた。

 あきらは7のダメージを受けた。

 あきらは21のダメージを受けた。

 あきらは162のダメージを受けた。

 あきらは14のダメージを受けた。

 あきらは5のダメージを受けた。

 あきらは8のダメージを受けた。

 あきらは17のダメージを受けた。


「ああ――! ってか硬いなそれ!」


 あきらは別にステータスをVIT(耐久)極振りにしてるわけでもないのだが、喰らってるダメージはVIT(耐久)極振りかつ亀甲ガード発動中の俺とおなじくらいである。

 ボコボコに殴られているが、ダメージが小さいのでまだ余裕がありそうだった。


「うん……! メタルコーティングされていなかったらやられていた――ってやつだね!」


 まあ確かに見た目もメタ○スライム的な光沢と色合いになっているのだが――

 ベースは普段のソードダンサー装備である。

 言わずもがな露出度は高い。だから結局メタリック部分より肌色部分が多いのだがこの防御性能!

 これぞザ・ゲームと言えるメルヘンである。

 リアルに考えたらその露出してる素肌にモロに攻撃当たるからな!

 だが見た目も性能も兼ね備えているのでむしろ大歓迎! 素晴らしいな!


 あきらのヒールステップが発動。あきらのHPが188回復した。


 そして自己回復をするあきらである。

 ソードダンサーの回復ダンスはAP(アーツポイント)を消費する。

 で、敵から攻撃を受けた際にもAP(アーツポイント)は増える。

 なのでダンスによる消費APアーツポイントあたりの回復力と、敵の攻撃による取得APアーツポイントあたりのダメージ量が釣り合っていたら、基本HPは減らない。

 あきらは延々自己回復して不沈要塞状態になれるのである。


「回復間に合ってるのか!?」

「うん! 行けるよ! むしろAPアーツポイントが溢れる感じ!」


 と、今度は俺の方に回復を飛ばしてくれる。

 すると、俺の方に向かっていた敵が何体かあきらの方に向かって行く。

 あきらが俺を回復した分、回復ヘイトが発生して敵があきらに向かったのだ。

 このままが続けば、敵が全部あきらの方に向かうだろう。

 だが俺も亀甲ガード発動中で動けない。

 これが解けたら耐え切れないし、効果中は移動ができない。

 で、あきらの方もこれまたメタルコーティングされたライブシルクドレスは移動不可である。

 つまり、常時亀甲ガードが発動してるようなものだ。

 そう考えると凄いんだが、常時移動できなくなるわけだからピンポイントでしか使えないってことだな。

 しかしここに、ダメージ大幅軽減だが動けないコンビが爆誕したわけで、下手すればこの時間も差し迫ってる時に動けず耐えるのみで時間切れを迎えてしまう。

 あきらが回復ヘイトでタゲ取ってくれるのは助かるな。

 全部向こうに行けば、俺が動けるようになる。


「蓮くん! わたしは大丈夫だから、このまま全部引き付けるよ! 動いて大丈夫そうになったら動いて!」


 あきらも俺と同じ考えである。


「ああ頼む!」


 もう一度、回復ダンスが俺に飛んでくる。

 更に何体かの敵があきらに。

 もう二、三回繰り返すと俺はフリーになって全部があきらに向かった。


「今だよ蓮くん! 先のゲートに向かって!」

「よし――!」


 が、敵の密度がさらに増して、あきらはマシンガンかのように殴られまくっている。

 さすがにきついか――!? 攻撃の手数が多すぎる……!?

 だが俺が動いて大丈夫にさえなれば、こういう手がある――! 


「リュー行くぞ! 『ディアジルサークル』!」


 鈍足効果のあるサークル魔法!

 これを広めに展開、ターゲットはいつもの通りリューに。

 リューのスキル、『ターゲットマーカー』の効果で、サークルが移動可能になる。


「あきら! ジャーンプ!」

「分かった! 装備変更(セットチェンジ)、セットB!」


 『エンジェルチャーム』にお着換え!

 そこから即座に――


「『ホークストライク』っ!」


 大ジャンプ斬りのアーツで敵の群れを突破。

 普通ならそうしたところですぐにまた敵が群がってくるのだが、『ディアジルサークル』の鈍足効果が敵の出足を鈍らせてくれる。

 俺達は何とか、その場をダッシュで逃げ出すことに成功した!


「ありがと、蓮くん!」

「どういたしまして! ゲートを探して逃げ込むぞ!」

「うん――!」


 走り出す俺達。

 そしてその後ろに、大量のモンスターが大トレイン状態である。

 まあゲートまで逃げ切ってしまえば問題ない。


「でも二人だけになっちゃったね……! これ大丈夫かな――!?」

「ああ。最低限、俺達二人が残ってれば何とかなる!」

「ほんと!? 期待してるからね!」


 ピンポーン。

 突入から57分が経過しました。後180秒後に強制排出となります。


 あと三分! だがまだチャンスはある――!

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