第239話 メタルコーティング!
――B74F。
ピンポーン。ゲート解放条件、今から出題される問題に合計六問正解せよ!
不正解の場合はペナルティ!
ん――! 来たなクイズ系!
「「お願いしまーす!」」
俺と矢野さんの台詞がモロに被る。
うん、この層は寄生してる感によるいたたまれなさはあんまりないな!
何故ならもう一人寄生する気満々の人がいるから!
仲間がいるっていいなあ――
「……任せて!」
前田さんが一歩前に進み出る。
「がんばろ! 琴美ちゃん!」
その横にあきらが進み出る。
まあうちの体制としては、こういう場合は二人にお任せ! だ。
俺も矢野さんもこの学校に入って成績は上昇傾向だが、元々のレベルがこの二人とは違うからな。
流石大学教授の娘さんと上流階級のお嬢様はワケが違うのである。
教育が行き届いてますなあ!
――ただし、一度正解した人は問題の解答権を失います!
「「「何いぃぃぃっ!?」」」
おいぃぃぃっ!? 必殺のあきらと前田さんにお任せが通用しないんだが!?
このルールだと、俺も矢野さんも一問は正解出さねえとダメってことになる。
っていうかビビってる声が一人多いな!? 誰だ――!?
あきらと前田さんはどんと来いのはずだし、シズクさんは――平気そうな顔だな。
って事は、赤羽さん――?
「な、な何かしら……? わたくしの顔に何かついていまして?」
「いや――大丈夫かなって」
「ご、ご心配には及びませんわ! わたくしより自分の心配をされてはいかがですか!?」
「まぁそりゃそうだが――」
「優奈、高代くん! 分かる問題が出たら二人が優先的に答えて! 二人が分からない問題を私達が答えるから」
「ああ分かった!」
まぁ前田さんとあきらはオールマイティだからな。
俺達の分からない問題を答えて貰った方がいいな!
とりあえず数学こい数学! それなら俺得意だからな!
では第一問! ジャンルは美術!
ペイントソフトやフォトレタッチソフトなどで、画像を乗せる仮想的なシートの事を何というか?
「はいはいはいはいっ! わかりますし! レイヤーですし!」
ピンポーン。正解です!
「きゃー! やりましたし! 一抜けたーっ♪」
矢野さんが嬉しそうに飛び跳ねる。
これ矢野さんにとってチャンス問題だったなぁ! 絵が得意だもんな。
「いいわよ、優奈!」
「いいよいいよ! この調子で行こうね!」
「これでかなり有利になったな――!」
一番やばそうな子が一抜けしてくれたしな!
「あ! 一番ヤバいやつが抜けて助かったって思ってますし!?」
「え? ええと……」
「あははは――」
「フフフフ――」
微妙に目を逸らす俺達。
「あっははは! あたしが一番思ってますし! やったやった! あーほっとした! あとは高みの見物ですし、頑張って~♪ 特にここまでほぼ役に立ってない高代はちゃんとするべーし!」
「急によく喋るようになったなぁ! 俺と一緒に何いぃぃっって言ってたのに!」
「ふっふふ! この気持ちは成功した者にしか分からない、選ばれし者の特権ですし!」
ホント機嫌良さそうだな!
俺も早く正解して選ばれし者の特権を味わいたい所だ!
「くっ――俺だって数学さえ来れば! 数学来い数学来い数学来い!」
第二問! ジャンルは数学!
来たぜ俺の問題! 唯一の得意ジャンル!
よっしゃ数の問題は任せろ! 俺の時代が来たぜ!
五人でかくれんぼをしました。
二人見つかりました。残りは何人隠れていますか?
「はい分かりますわ! 三人ですわ三人!」
と、俺より早く赤羽さんが反応! しかし――
ブブー! 不正解!
「ええぇぇっ!? だって――!」
「赤羽さん、二人だ二人! 一人鬼だから元々隠れてるのは四人だしな!」
「あ――そ、そうですわねわたくしとした事が……!」
ちょっと冷静じゃなかったんだな。
ひょっとして赤羽さんもクイズ苦手派なのか?
あきらと同じお嬢様だから、あきらと同じレベルだと勝手に思ってたが……?
「ドンマイドンマイ! 次正解しよう次!」
罰ゲーム! 対象は――!?
デロデロデロデロデロデロ――!
おぉ何かドラムロール!? 無駄な演出!
デン! あなたです!
上に方からスポットライトが、あきらに降り注いだ!
「えっ!? わたし!?」
うわ間違えた本人じゃなくて、他にも被害が及ぶ系だこれ!
罰ゲーム内容! メタルコーティング!
ぽん! あきらの体が灰色っぽい煙に包まれて――
「きゃあっ!?」
数秒して煙が晴れて――出てきたあきらの姿は、このダンジョンでの固定装備と化している浴衣のままである。
「んんん? 特に何も変わって無さそうだが……?」
メタルコーティングって何だったんだ?




