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第229話 闇落ちしてマトモになる

「ヒャーハハハハ! 貧弱貧弱ウゥゥッ! まるでゴミのようデスね! いや、マイご主人様をイジめるヤツは正真正銘のゴミデース! ゴミは焼却処分してやりますデスね! ファッキンイィィィンッ」


 デカくなったリューが、高笑いを浮かべながら炎を吹き出す。


 スゴオォォォォォッーーーー!


 さっきのヒュージガーゴイルを遥かに上回るような紅蓮の炎だ。


「おぉぉ~~すげえ……!」


 しかしまあ、家へのダメージもデカいんじゃないかな、炎だし。


「コケ―ッ! 家を燃やすなコケ―! 時と場合を考えろコケーッ!」


 さっきのシャドウフェニックスから逃げ回り続けつつも、ココールが抗議の声を上げている。


「フン……!」


 と、リューが鼻息を飛ばすと、ココールを追っていたシャドウフェニックスが吹き飛ばされて消滅する。


「おお――消えたコケ! ナイスだコケ、リュー!」

「言っておきマスが、ボクに指図できるのはレンだけデース。ごちゃごちゃ言ってルとてめえもファッキンしますが、アーユーオーケー? 塵一つ残しマセんよ? 捕食しマスからネー」

「コケ―ッ!? 何か狂暴になってるコケーッ!? お前やっぱりオイラを喰おうとしてたんだコケな!?」

「フフフ……美味そうなチキンデース。じゅるりデース」

「コケ―ッ!?」

「おいおい冗談だろ、喰うなよ? マジで」

「レンがそう言うなら、従いマース」


 俺には絶対服従してくれるんだな。まあ俺の守護竜だもんな。

 しかしこいつ――

 強いのは結構だし、今という状況ではこれは起死回生の一手だったと言えるんだが――

 こんなファッキンファッキン言うやつ、連れて帰っていいのだろうか?

 うちのギルドは女性メインなんだが――こんなの見られたら絶対ドン引きされるだろ!

 こいつを育てた俺の人格も疑われるだろう。

 それに、あの可愛いリューが実はこんなだと分かったら――

 元の小さいリューに戻っても、女の子たちは今まで通りこいつを可愛がってくれなくなりそうなんだが……

 それはまずいよなぁ。リューにとっても不幸だし。


 これはあれだな、あきら達には見せない方がいいやつだな。

 これからの俺の振る舞い次第で、大人リューの性格も変わってくるかも知れない。

 一回こいつをうちの女性陣に見せたら、その後こいつに対する印象は変わらないだろうし――

 よし、この場を乗り切ったら、今後あきらや前田さんや矢野さんの前ではこいつは封印する事にしよう。

 見せていい性格になってくれるまで、見られないようにこっそり検証しつつ、性格改善を試みた方がいい。

 なんか俺が英語苦手だからこうなった的な事を言ってたので、ちゃんと英語勉強してみるかな……

 そうすりゃ少なくともファッキンファッキン口走る事はあるまい。


 よし、そうと決まればこのファッキンスタイルのリューの最後の戦いだ。

 ここは頑張ってもらうとするか――!


「まぁ取り合えず、だ。ココールをビビらせるのはやめて、こっちを手伝ってくれよ」

「かしこまりデース。あの親チキンを捕食すればいいデスかネー?」

「いやいや待て待て! ココールの母ちゃんは操られてるだけだからな。あの首から下げてるネックレスを壊すか、引っ剥がすんだ!」

「オーケーデース! レンは休んでてくだサーイ。ボクがやりマスからネー」


 言って、のっしのっしと魔人が憑依したココールの母ちゃんに近づく。


「コケ―! シャドウフェニックス!」


 再び放たれる黒い炎のフェニックス。

 しかし――


「オー。虫が飛んでマスねー!」


 べし! リューは無造作にそれを叩き落とし、踏みつける。

 するとフェニックスは跡形も無く霧散して消えてしまう。

 さっきもココールを追ってたのを消し飛ばしてたが――こいつ凄いな!

 炎に対する絶対耐性とかなのか? それとも単にステータス勝ち――?

 どちらにせよ、一気に形勢は逆転したと思っていいだろう。


「フフフッ――守護竜を焼き殺そうなど、無視が良すぎたコケか」

「そういう事デスねー。これが本当のユーアー鳥アターマというやつデスねー。覚悟するがいいデスよ!」


 リューが魔人ココール母ちゃんに剛腕を振り下ろす。

 向こうはそれを横に飛んで避ける――が、すかさず身を捻ったリューの尻尾がそれを捉える。ぐるりと体に巻き付いて、拘束したのだ。


「よし、いいぞ!」

「では、その悪趣味なネックレスを粉々にしマース!」


 ぐわしっ! とネックレスを掴むリュー。


「そのまま引きちぎれ!」

「オーケー、レン!」


 よし行ける――と思った直後の事だった!


 ブオオオォォォッ!


 黒いオーラがココールの母ちゃんからリューに移り、全身を包み込んだのだった。

 ん!? なんか嫌な予感が――


「ク――クククク。よぉしいいぞ、こっちの体の方が強い上に操りやすそうだ。いい憑代をどうもありがとう」


 黒いオーラに包まれたリューがにやりと笑ってそう言った。

 まさか――魔人ヴェルドーがココールの母ちゃんからリューに乗り換えたのか!?

 しかも口調がまともになってる!

 敵に操られて闇落ちしてマトモになるってどういう事なんだよ!

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