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第228話 戦慄! グロウアップ!

 リジェネレート――はHPをわざと1まで減らしたりする俺にとって、調整を狂わされるのでNG。

 ベビーブレスは攻撃の助けにはなる。確実な底上げが期待できるだろう。

 グローアップも同じだが、これはリューが一時的に成長して、ココール達のようなNPC扱いになるっぽいな。

 今のリューは敵から攻撃されることはない特殊な扱いなのだが、そうではなくなるという事。普通にヘイトも取るし、HPもあると。

 これはリスクもあって、もし大きくなったリューが撃破されたら暫く復活しないとかだったら、ターゲットマーカーで俺のサークル魔法を移動可能にしてくれるという仕事に支障をきたす。

 そもそも大きくなったらターゲットマーカーが無効化される――とかもあるかも知れない。

 そのあたりの細かい所は自分で検証してみて確かめないとだ。

 システムメッセージの説明はざっくりだからな。

 詳細まで明確に書くと長過ぎになってしまうだろうし、検証して隠し性能を突き止める楽しみも無くなってしまうので、俺はこれで別にいいが。

 ともあれグロウアップはまあ良さそうだがデメリットもあるかも知れない、と。

 そして『オート採集2』な。これは純粋に『オート採集』の強化版と言えるだろう。

 レベルが上がると共に使う武器の素材も高額になって、それを奥義一発ごとに破壊して亡き者にする仕様の俺には非常に助かるだろう。

 よりいモノって何取れるのかな? 手間も省けるし、ストレートにダマスカスソードとか拾って来てくれると助かるんだがな。

 今の『仕込杖』にはダマスカスソードを仕込んでるからな。

 素材代がホント高いから、少しでもランニングコストを抑えるのに役に立ってもらえると助かる。


 ――これは、一番欲しいのは『オート採集2』だよなあ。普段なら多分これを選んだだろう。

 だが、世の中には時と場合というものがある。

 大人の世界ではそれを、総合的に判断して――とか言うのだろうが、ちゃんと状況を見なければならない。

 今敵の真っただ中で、かろうじて発動した『亀甲ガード』でダメージはカットできているが、逆にこのアーツの特性として移動が出来ないわけで。

 この効果(30秒)が切れたら、全方向からボコられるのが確定なわけで。

 こんな状況なら――誰か助っ人を呼ぶしかないだろう。

 つまりグロウアップだ。成長して純粋なNPC化したリューさんに、横から助けてもらおう!

 まあこれも今回の選択肢では二番目に興味あったし、オート採集2はまた今度という事で!


「グロウアップで決定! リュー! 早速グロウアップだ、手を貸してくれ!」

「きゅきゅ~! おおきくなりゅりゅりゅりゅ~!」


 リューの身体が、激しく眩く輝き始める!


「おおぅっ!?」


 俺だけでなく魔物達も、その輝きに目を奪われる。

 何で神々しい光なのだろう。キラキラしたオーラが出ている。

 その光の中で、シルエットだけしか見えないリューの姿が――

 グイグイと大きくなって行く!

 俺と同じ位――いやそれも超えて、2メートル前後ってトコか?

 それでもドラゴンとしては小型かもしれないが、俺の肩や頭に乗ってきゅ~きゅ~言ってたさっきまでと比べれば、とんでもない巨大化である。


「ヒャッホオォォォォーーーーーーゥ!」


 デカくなったリューは、光が収まると開口一番叫び声を上げた。

 ――今までのリューの声じゃない。成長して中学生くらいの声になった感じだ。


「力が漲って来マシタねー! 何ともいい気分デース! 我が世の春が来たとはこの事デスね!」


 ……ええと、何だろう? 何か違和感があるな。


「ハロー、マイご主人様のレン! ずっとこうしてお話ししたいと思っていマシタ!」

「お、おう……? お前リューなんだよな?」

「イエース! もちのロンですネー! ボクはレンのために大きくなりマシた!」


 嬉しそうに言ってくれるのだが……

 いや何というか、意表を突かれたというか――

 なんだその日本語が不自由な外国人口調は。

 エミリーより外国人っぽいぞ。何で俺の守護竜がそうなるのか……?


「……その喋り方は何なんだ?」

「レンは英語が苦手デスから、ボクが詳しくなって教えてアゲようと思いマシた!」

「あ、なるほど――」


 俺の弱点を補いに来てる――と?

 リューはリューなりに俺の事を見て育ってるという事か――

 今のままだとリューは将来こうなるって事かな?

 今は一時的に大きくなっているはずだが、まさか未来永劫これで固定って事は……?

 いやまあ、それよりもまずはこの目の前の敵をどうにかしないとな!

 喋り方は引っかかるが、巨大化したリューは強くなってるはず!


「リュー頼む! このたかってる奴等を蹴散らしてくれ!」

「オーケーマイご主人様! 敵を抹殺しマース! ハアァァァァァ!」


 リューは大きくなった体を揺らし、俺にたかるモンスターの一体に腕を振り上げる。

 目がギラリと光り、殺意の波動に満ちた凶悪な顔つきである。


「ファッキィィィィンッ!」


 ズシャアアアア!


 鋭い爪が一体のデーモンナイトを切り裂いて仕留めた。

 おお――!?


「ファッキン! ファッキン! ファッキィィィィィィンッ!」


 いや攻撃力はすげえ。攻撃力はすごいんだが――

 何だこの汚い言葉遣いは!? 俺だって意味わかるわ!


「オーケーイ、フォーファッキンねクソゴミ共! レンから離れなサーイ!」


 いや、大きくなったらリューはどんなキャラなのかなーとか想像したことはあるんだ。

 あるんだが――これは自信をもって違うぞ! 想定外だ!

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