表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

213/256

第212話 ミスマッチ

 さて翌日――――

 俺は朝起きると、最速で準備して速攻でログインした。

 攻略レースの壁である『ハーデスローズ』の攻略方法の目処はまだ立っておらず、そういう意味では焦っても仕方ない。

 前田さんや矢野さん、シズクさんにも今日は攻略のための集合はナシでとメッセージを送ってある。

 だが、俺のやる気だけは満々だからな!

 こういう停滞を魔改造でぶち抜く事こそ快感!

 ましてやこの攻略レースは、全校生徒の注目の的!

 エミリー達のような海外の分校の生徒や、シズクさんのように完全外部の人まで見ている。

 ここでやらかしたら、絶対目立つぞ!

 あきらのためにもなるし、やるっきゃねえ!


「っし! 今日はどうしますかねえ――!」


 気合十分で水上コテージに現れた俺に、リューが嬉しそうに纏わりついてくる。


「きゅ~! れん~! おはよおはよ~!」

「おーうお待たせ! いい子にしてたか?」


 そしてそれに続いて、あきらも。


「蓮くんおはよ~! 今日も頑張ろうね!」


 おお、あきらもやる気満々だな!


「おぉ、なんか昨日よりやる気に満ち溢れてるな~」

「え? そんなことないよ! わたしはいつもやる気満々だよ!」


 ふんふんっ! って感じで鼻息荒く、目もキラキラしている。


「さあさあ今日はどうする!? 早く攻略法見つけないとね!」


 お~マジでやる気だな。

 何だか知らんが、やる気があるのはいい事だ!


「とはいえアテがあんまりないんだよなあ」

「HPをブーストできればいいんだよね? その心は奥義のダメージアップ――と」

「そうなんだけど、今の俺たちのレベルじゃ、いいモノが無いんだよなー」


 装備には装備可能レベルってものが設定されてて、それに達していないと装備不可だ。

 HPブーストによさげな装備とかは存在するのだが、俺たちのレベル帯だとちょっと装備できない感じだった。


「あれだよね? 『命のドレス』だったっけ――」

「ああ」


 ソードダンサーの専用装備なんだが、どうもソードダンサーの使う回復ダンスに、『エレメンタルサークル』の闇サークルと同じような、回復が最大HPを超過した場合に上限をブーストするような効果があるらしい。

 しかもまた、見た目も『エンジェルチャーム』に負けず劣らず、エロ可愛くて素晴らしいのだが――

 しかしこれ、装備可能レベルが150を超えているのだ。

 今の俺たちのレベルは80前後。一気に倍近く上げるのは時流石に時間がかかる。

 装備できるレベルなら、手に入れてどの程度まで最大HPブーストできるのかとか、いろいろ検証して確かめたい所ではあるんだが――

 奥の手としてレベル200超えのソードダンサーであるあのお方に検証してもらうというのも、嫌々ながら視野に入れるべき所なのかもしれないが、残念ながらこの『命のドレス』は女性専用装備だったりする。お兄様も装備できないのだ。


「惜しいなあ、見た目も性能も最高なのにな。俺たちのレベルが足らんとは……」

「もっと高ければねー……」

「ああ。まあレベルが高ければ、その分『ハーデスローズ』も強くなって出てくるだろうから、また別の問題が出るかもしれないけどな」


 『アーズワース海底遺跡群』の内部の敵は、こちらのレベルに合わせて調整されて出てくる。今俺たちのレベルが80前後だったので敵の強さもあんな感じだったが、例えば雪乃先輩達のようにレベル200もあるようなパーティならば、敵もそれに合わせたレベルに調整されて出てくる。

 誰が挑戦しても似た難易度になるように、全員で攻略レースができるようにとの配慮なのだろう。全員でやるお祭りには相応しい。

 『ハーデスローズ』が問題になっているのは同じようなので、出てくる敵の種類には変わりがないのだろうが、敵もレベルが上がる分、まだ見ぬ新技を使ったりしている可能性もある。

 俺たちくらいのレベル80で戦うのと、レベル200で戦うのと、どちらが楽なのかは分からない。だが雪乃先輩達も苦戦していたようだから、レベル200のあいつも相変わらず凶悪なんだろうな。


「まあレベルが上がったら、あれは取るべきだよな! 着てるとこ見せてくれよ!」

「え~? いいけど、ずっとは着ないからね。取れたら基本『レインボーガード』で生きる予定だから! あれも着るの恥ずかしい系だし……」

「大丈夫大丈夫。あきらならきっと着こなせるし似合うぞ!」

「ふふっ。いつもそう言ってくれるのは嬉しいけどね」

「そういや暫くあきらのソードダンサー姿も見てないなあ」

「そうだね。ここの所、戦う時は浴衣だし」


 異世界サーマル限定装備だが、浴衣は性能がいいのだ。


 高い浴衣(♀)

 種類:鎧 装備可能レベル:1 防御力:1

 装備可能ジョブ:ALL


 特殊性能:MPMAX+50 MP自動回復(5MP/S)


 こんな感じだ。

 俺の『エレメンタルサークル』は、サークル上にいる味方の通常攻撃に、属性に応じた追加ダメージを付加する。

 が、追加効果の発動一発一発にその人のMPを食ってしまうデメリットもある。

 浴衣装備ならそれが相殺され、純粋にメリットのみを受け取れて、全体の攻撃力向上につながるのだ。

 だからまあ、浴衣ばかりになるのも仕方がない。

 シズクさんもソードダンサー装備にはいい顔をしないからな。

 赤羽さんの格好を見て言っていたが。曰く、青少年には相応しくないと。

 まあそういう事なんで、シズクさんの前では遠慮し置いた方がいいという判断もある。


「あ~。ひょっとして、ソードダンサー姿が見たいなあ、とか思ってる?」


 あきらがつんつん、と俺を突っついてくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ