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第211話 お嬢様の恋愛トーク3

「考えてみたら、確かにまだ一度もリアルで会った事ってないし……いいですねそれ」


 と、わたしは希美さんに答える。

 前に希美さんに手伝ってもらってリアル蓮くんに会ってみようとしたこともあったりするけれど、その時は上手くいかなかった。

 今度こそ――! なによりわたしもリアル蓮くんに会いたいし!


「前は家の方に黙ってこそこそと会おうとなさったのがいけないと思いますわ。今度は堂々とご自宅にお招きすればどうです? ギルドの方々も一緒に、自宅でお勉強をなさるとか、何食わぬ理由をつければ問題は無いのではなくて?」

「ど、どうですかねえ――分かりませんけど、言うだけ言ってみようかな……」


 我が家ではわたしにあまり自由は認められていないけれど、お父さんがいない時にお爺ちゃんに許可を貰えば大丈夫――かな?

 お爺ちゃんなら割と話は通るかも知れない。

 お父さんほどはわたしにお嬢様らしいお嬢様である事を求めないというか――

 ただあくまでそのあたりの主導権はお父さんだからと、余りお父さんの方針に口を挟むような事もしないけれど。


「ええ。いずれは通る道ですから、そうした方がいいですわね。高代君にも、もっとあなたの事を分かって貰った方がよろしいでしょう」

「今までそういうことは一度もないから、どうなるかなあ……ちょっと不安だけど。琴美ちゃんや優奈ちゃんはいいとして、男の子までってなると――」

「そちらのお宅は堅苦しくていけませんわねえ。わたくし達にはもっと自由がありますわよ?」

「……そっちは自由すぎると思いますけど――」


 希美さんも言動が奔放なところがあるけれど、それよりも何よりもお兄さんの竜太郎さんは――奔放とかそういうレベルを通り過ぎて何かもうアレだから。

 あれでリアルではまともでいられるのが信じられないけれど、確かにゲーム外での竜太郎さんは、すでにいくつかの会社の経営もしたりしているやり手で、世間的な評判はとてもよかったりする。


「まあ、でしたらわたくしをお呼びになるといいですわ」

「えぇぇっ!? それは――!」


 わたしの家と希美さんの家は昔からのライバル関係で、折り合いは悪い。

 わたしが希美さんと仲良くしていると分かったら、お父さんはもちろんお爺ちゃんだっていい顔はしないだろう。

 わたし個人としては、希美さんは友達だし家に来てくれても全然いいけれど――


「さ、さすがに無理があるんじゃないかと――絶対ダメって言われますよ、うちは」

「いいのですわ、それで」

「……どういう事ですか?」

「赤羽の家の娘が来るとなれば、そちらに注目が集まり、高代君の存在は目立たなくなりましてよ? もし駄目だと言われても、わたくしにお宅の敷居を跨がせるのに比べれば、男性の同級生が来るなど何でもないという事で、お話が通りやすくなると思います。まあ、最初に本命よりも高い要求を突き付けておいて、後でハードルを下げることによって通しやすくする交渉術ですわ」

「ああなるほど。断られる前提で――そうですね、じゃあそれで家に言ってみますね。希美さんの名前も出させて下さいね」

「ええ、そうなさいませ。そうして高代君に会ってより気持ちが高まったのなら、自然と告白をしたくなるかもしれませんわ。今からイメージトレーニングでもなさっておけばよいかと思いますわ」

「イメージトレーニングですか――あ! そういえば希美さんはどうしたんですか? 今の彼氏さんとお付き合いする時はどうだったんですか?」


 これはすっごい興味がある!

 やっぱりこう、経験者の話を聞いて勉強しておかないとね。

 わたしから言うにしろ、どういう場所でどういうタイミングでどう言っていいか言っていいか、ちゃんと考えないと。


「あら? そんな事に興味がおありですか?」

「はい! 教えてください先輩!」

「まあ、大した事はありませんけれど――ただ、わたくしに何か言いたい事があるのではないかとと彼に尋ねただけですわ」

「ふんふん、そうしたら付き合って欲しいって言ってくれたんですか?」

「いいえ。なかなか出てきませんでしたから、最後はそうじゃなくて好きだとかお付き合いしたいとか言いなさいと申し上げました。そうしたら出てきましたわね」

「ははは……それもう殆ど自分から言ってますよね――」

「ええ。ですからストレートに自分から言った方が手っ取り早いのですわ。特に高代君はいつもゲームに夢中ですから、そういう事を自分から言い出しそうには思えませんし」

「うーんそれはそうですよねえ……」

「ま、あなたが動くしかないのですわ。ではすぐにお家の方にお話をなさいませ」

「あ、でも待って下さい。今はみんなゲームの方の攻略で忙しいですから、それが落ち着いた後で――蓮くんもわたしのためにって頑張ってくれてるし。わたしも全力で協力しないと!」

「ではさっさとそちらを片付けませんとね」

「ですね――」


 よし、わたしももっと頑張ろう! そしてリアル蓮くんを家に呼ぶんだ!

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