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第203話 闇サークル確率100%

「おおすげー! マジで動くじゃねーか、こいつ!」


 凄い再現度だなこの装備! 本当にデスチャリオット式ムービングが出来るようになってるとは!

 操作感はセグウ○イ的な感じか? 身体を傾けるとその方向に曲がってくれるようだ。

 ハンドルとか無いからな。止まり方は良く分からんが。


「うわぁ! 凄いねそれ! 勝手に動いてくれるの? ちょっと面白そう!」

「ああ、勝手に動くぞ! 結構楽しいかも知れん!」


 俺は車輪をギャリギャリ言わせながら、あきら達の周りを回って見せる。

 体感的には正座した状態で台車に乗せられて、誰かに押されてるような感じか?

 ちょっと正座は疲れるかも知れないが、自動で動いてくれるのは楽しいぞ。


「わー! わたしも乗ってみたい! 後で貸してね!」

「おう! じゃあみんな順番だな!」

「じゃあ、今日はもう『アーズワース海底遺跡群』の探索は終わりでしょ? 面白いからコテージまでこれで移動しようよ!」

「そうするか――コスプレ用として欲しがる奴もいるかもしれんからな。ギルドショップの商品アピールになるぜ!」


 さぁというわけで、通行人の度肝を抜いてやるぜ!

 流石にまだデスチャリオット装備一式をフルに揃えた奴等はいるまい!

 ボス戦であえて裸になる馬鹿がPTにいないと、この装備の入手方法には気が付けないのだ。

 ありがとうお兄様! だけどもうPT組むのは勘弁です!


「だよね。高く売れそうなら量産して売りまくるのもありだよね!」


 と、あきらが目を輝かせている。

 これが金策になるなら、いくつか余計に取って売るのもいいだろう。

 金策は常に大事だからな。


「あたしはいいですし! その見た目は恥ずかしいですし! あっきー達がやって!」

「わ、わたしもちょっと……」

「わたくしもですわ。離れて付いて行きますわ。ちょっと恥ずかしいですから」


 と、矢野さん前田さん赤羽さんは乗り気ではないようだ。


「ふむ。では私も着させてもらおうか。こういうのもいい思い出だよ」


 と、シズクさんは乗り気のようだ。

 よしじゃあ三人でローテして、デスチャリオットでその辺を練り歩きながら帰るか!


「とまあ、それはいいとしてその前に――一番重要な事を確かめておく!」

「ああ、闇属性サークルの確率のやつ? 五か所揃えたら期待値は100%闇サークルだよね?」

「そうそう。こんなの一発で分かるからな、早速試させてくれ!」

「うんうん、どーぞ? 見てるから」

「ようし――! エレメンタルサーク……っておいストップ。『エレメンタルサークル』……ってああ中断された! 止まるの難しいな!」


 魔法を唱える時は、足を止めて詠唱しなければいけないのだが――

 これは勝手に動くので、止まっているのが難しいのだ。

 魔法を唱えようとしては中断、また唱えようとしては中断という不毛なループが発生してしまう。まるで挙動がバグったNPCだな、これは。


「何やってるのぉ? 蓮くん? それも検証?」


 あきらにきょとんとされてしまう。

 あるよね! 普段から変な事ばっかりやってると、単にミスってるだけでも何か意味があるんじゃないかって、思われる事ってあるよね!


「いや、単に止まれなくてさ、魔法が中断されちまって……」

「あ、リアルに困ってたんだ。じゃあ、動かないようにしといてあげるね」


 と、あきらが俺の後ろに回って、肩を掴んでくれた。

 ――だがまだ微妙に車輪が動いて前に動いてしまう。


「んっ? まだ動くなあ、もっと力入れないとだめだねー。えいっ!」


 ぎゅっと抱きしめるようにして、がっちりホールド。これで車輪が止まった。

 わぁい、胸が後ろから当たって来るぜ! これはいいな素晴らしい。

 思わずフリーズしてしまいたくなる感触ですな。

 本当にこのゲーム、意味の分からない所の再現度が生々しい。

 いいぞ、もっとやれと言わざるを得ないな。


「…………」

「……蓮くーん? 早く魔法使いなよぉ? ひょっとして何かヘンな事考えてるんじゃないよねえ?」

「オホン! ここはゲームの中とはいえ、学園の中でもあるのだろう? 夏休みの期間内だとはいえ、学生は健全であるべきだ。用が無いならすぐ離れなさい」


 シズクさんが結構真面目に注意してくる。

 仲田先生より先生らしいよこの人。先生なら絶対スルーだっただろう。

 注意の口調にも何か威厳があるし、偉い人ってこうなんだな。

 素直に従ってしまう雰囲気があるというか――


「ああ、すいません。すぐやります! 『エレメンタルサークル』『エレメンタルサークル』『エレメンタルサークル』『エレメンタルサークル』『エレメンタルサークル』!」


 生まれたサークルの色を見て、リューが声を上げる。


「きゅきゅ~! くろくろくろくろくろ~!」


 キ、キターーーーーー!


「いいぞいいぞ想定通り! 夢の闇サークル確率100%だ!」


 俺は両手を広げて喜ぼうとしたが、『亡者のガントレット』の鎖がぴんっとなって邪魔して、出来なかった。

 何気に邪魔だなぁこれ!

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