第202話 図解・デスチャリオット!
朱雀の炎を身に纏いつつの突進斬りが、唸りを上げてデスチャリオット先生に炸裂!
ズゴオオオオオオォォォ!
蓮の朱雀一閃が発動! デスチャリオットに5904のダメージ!
蓮はデスチャリオットを倒した。
よっしゃ速攻の奥義三連打で瞬殺だな!
『ファイナルストライク』の副作用により、速攻で『仕込杖』の素材が3セット消滅した件以外は何も問題がないぜ!
極大ダメージのロマンは常に銭投げとのトレードオフだからな。
現実とは厳しいものなのだ!
オォォォ……オオオオオオォ!
先生が身をくねらせて叫び声を上げる。
その身体がぼろぼろと崩れて行く――
俺はそれを見ながら、一生懸命応援していた。
「まだ消えるなよ! 踏み止まれ! 例のアレこい! アレだアレ! お願いしますお願いしますお願いしますーっ!」
デスチャリオットは暗黒憑依の構え――
「来たあああぁぁぁーーーーーっ!」
俺の歓喜の声が響き渡る中、デスチャリオット先生の身体が小さな黒い光となる。
それが俺の方に近づいて来て、すうっと俺の体の中に消える。
そしてポワンと黒い光が視界を包んで――
そこから、妙に視界が狭まる。
お面をかぶった感じ? と言うのが一番近い感覚だった。
これは――?
「あははははっ! 蓮くん変なの来たよ変なの! でもそれでいいんだよね!?」
あきらがこちらを指差して笑い声を上げる。
「胴部位以外の装備が欲しいという事でしたら、確かに狙い通りになりましたわね」
「でも――ふふふっ、ちょっと変よね」
「高代! 似合ってますし!」
「見た目は締まらんが、それが君の狙い通りならば良かったな」
「あ、蓮くんまだ取らないでよそれ! スクショ撮るから!」
とまああきらにスクショ撮られたりもしつつ――
取り合えず、俺の視界が狭くなったのは仮面が顔を覆ったからだった。
ホラー映画のスク〇ーム的なお化けフェイスのやつだ。
呪怨のマスク
種類:頭 装備可能レベル:50 防御力:27
装備可能ジョブ:ALL
特殊性能:全ステータス-100 移動速度ダウン
『呪怨のマスク』か。こいつも『血冥のローブ』と同じく問題児ですぞ!
ステータスはとんでもなく下がるし、移動速度も落ちる。
戦闘中にも、移動中にも、装備する価値が見いだせない。
いわゆる一つの産廃と言われる代物にしか見えないが――
恐らく『血冥のローブ』と同じく、装備中は闇サークルの発動率アップする隠し効果があるだろう。後で要検証だな。
ともあれ俺の推測はバッチリ当たっていたようで、狙い通り装備がゲットできたぞ!
デスチャリオット先生にトドメをさす時の装備を調整すれば、他の装備も取れるなこれは! 残りは腕装備、脚装備、足装備だ! 全部取るぞ!
「よし次行こう次! 後三つ全部取っちまうぞ!」
『血冥のローブ』一つで闇サークルの確率は20%くらい上がっていたと思われる。
つまり五つ揃えれば、理論上100%に到達する事も可能!
夢が膨らみますなあ! さぁガンガン集めるぞ!
――と言うわけで数時間後。
『アーズワース海底遺跡群』から出た俺の装備はこうなっていた!
頭 呪怨のマスク
胴 血冥のローブ
腕 亡者のガントレット
脚 愚竜のズボン
足 暴輪のロングブーツ
ちなみに――
亡者のガントレット
種類:腕 装備可能レベル:50 防御力:22
装備可能ジョブ:ALL
特殊性能:全ステータス-100 移動速度ダウン
暴輪のズボン
種類:脚 装備可能レベル:50 防御力:32
装備可能ジョブ:ALL
特殊性能:全ステータス-100 移動速度ダウン
愚竜のロングブーツ
種類:足 装備可能レベル:50 防御力:22
装備可能ジョブ:ALL
特殊性能:全ステータス-100 移動速度ダウン
うーん、とんでもないマイナスだこれ!
だが俺は、上機嫌で全身デスチャリオット先生産の装備でキメていた!
もはや見た目は完全に小さなデスチャリオット先生!
人間の世界に興味を持って、小さくなって外に出て来た的な!
ただし今の俺は直立二足歩行だが――
そう。全ての装備を取ってみて、チャリオット先生の仕組みがようやく理解できたぜ。
あのローブに隠された下半身がどうなってんのかって話だ。
まず『呪怨のマスク』。これはスク〇ーム的なファニーなマスクだ。
『血冥のローブ』。怨霊エフェクトが出たり血染めだったりして気持ち悪くはあるが、これもまあ普通のローブである。
『亡者のガントレット』。鎖で左右がつながれていて、動き辛い事を除けばまあ普通かも知れない。
『暴輪のロングブーツ』。これは脚の側面にでかい車輪がいくつもくっついているというとんでもないデザインをしている。
立っていると、一番下の車輪が完全に地面に擦れるレベルだ。
『愚竜のロングブーツ』。後ろ側より前側が大分長いというアンバランスな造りをしており、前側の上部にでっかい首長竜の飾りがついている。
「……つまりこうすれば、デスチャリオット先生と同じになるのか?」
と、俺は正座をしようと試みる。
そう、ちょうど正座をすると、車輪が戦車のように揃って並び、ブーツにくっついたドラゴンの飾りが前面に飛び出るようなスタイルになるのだ。
きっとあのローブの下もこうなってたんだな。
で、俺が正座をしようとして地面に車輪が着くと――
ギャリギャリギャリ――!
きしゃああぁぁぁん!
車輪が回り出し、ドラゴンヘッドもうねうねと動き出したのだ!
おおこいつ! 動くぞ――!?
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