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第200話 デスチャリオット狩り

 今日の目的であるデスチャリオット先生がいるのは、B10Fである。

 行くにはB6Fにワープし、4フロアクリアしてB10Fへという感じになる。

 そこまでの攻略は順調――とはちょっと言い難かった。

 エミリーがいない分、雑魚乱獲のスピードが落ちたのだ。

 ゲート解放条件が敵の全滅とかの場合、範囲で敵を引き付けて範囲でぶっ飛ばす術を持つエミリーは最適だったのだ。

 これは何か、スピードアップの手段は考えないとな――

 とはいえ全部のゲート解放条件が敵の全滅という訳でもない。

 多少スピードは落ちつつも、俺達は目標のB10Fに迫って行く。


 ピンポーン。

 ゲート解放条件を達成! 次の層へのゲートを目指せ!


「よし、次はお待ちかねのB10Fだね!」

「おう! 行こうぜ!」


 俺達はワープゲートに向かって走る。

 走りながら矢野さんが後ろから質問してくる。


「でも、あいつに会ってどうすんのぉ? 何か目的がありますし?」

「もちろん! デスチャリオットがこの間、胴装備の血冥のローブくれただろ? 他の部位の装備も頂こうかと!」

「頂こうかとって――取り方があるですし?」

「推測だけどな……! 取り合えず仮説を検証しに来たんだよ」

「出た、検証! どんな無茶や馬鹿も正当化する魔法の言葉ですし!」

「褒めてくれてありがとう!」

「褒めてませんし!」


 と、やり取りしながらワープゲートに入る。

 目の前の光景が切り替わり、巨大な無人闘技場のフィールドにワープした。

 この間と同じで、周囲を取り囲む無人の観客席が物寂しさを感じさせる。


 ピンポーン。

 ゲート解放条件、ボスモンスターを倒せ!


 ピンポーン。

 突入から28分が経過しました。後120秒後に強制排出となります。


 システムメッセージが二連打!

 ああやばいな! 時間がないぞ!

 しかしダブルソードダンサー構成の方が、局地戦の瞬発力では上回る。

 一気に沈めるぞ一気に!


「時間ねえし俺の奥義三連発で沈めるぞ! フォロー頼む!」

「うん! オッケーだよ蓮くん!」

「こちらも、AP(アーツポイント)も貯まっていますわ」

「任せときですし!」

「私は攻撃魔法で援護するわね」

「こちらは好きにやって構わんのか?」

「ですね、好きに殴って下さい!」


 と、俺はシズクさんに応じる。

 まあ前田さんとシズクさんは、この場合立場的にはフリーだからな。

 タゲを取ってしまう事も無いだろうし、最大火力で殴ってくれればいい。


 ギギギと重い音を立て、向こう正面にある鉄格子が開いて行く。

 一拍置いて――

 ギャリギャリギャリ――と軋む金属音が。

 上半身は黒ローブにホラー映画のスク〇ーム的なお化けフェイス。

 下半身が金属トゲトゲスパイク付きの車輪とドラゴンヘッド。

 両手はトゲ付きのチェーンで結ばれており、武器は巨大な鎌を携えている。

 見た目はデスメタルの権化のような決まりっぷりだが――

 こう見えて、服を持っていない奴には自分の服をくれたりする、慈悲の心を持つナイスガイ。

 それが、このデスチャリオット先生である。

 鉄格子の奥から姿を現すと、ゆったりとこちらに近づいてくる。


「わぁ――あれがデスチャリオット!? 見た目怖っ! 凄いデザインだね~」


 初見のあきらは嬉しそうに声を上げる。

 そしてカメラを取り出してデスチャリオットに向けている。

 どんな時でも、初見のものは取り合えずスクショの精神である。さすがはスクショ厨。


「何だか悪趣味ですわねえ……わたくしは、あまり――」


 同じく初見の赤羽さん的にはイマイチらしい。まあ好き嫌いは分かれるよな。

 さて、そろそろ攻撃レンジに入るぞ。


「よし先手必勝! 『ファイナルストライク』! 『ディアジルサークル』!」


 それぞれ効果はこんな感じ!


 ファイナルストライク(再使用時間 0/300秒)

 <効果> 次の一撃で武器が消滅するが大ダメージ


 ディアジルサークル(消費MP5~∞ 再使用時間 0/10秒)

 <効果> 侵入者のAGI敏捷を25%引き下げる効果のある紋章陣を設置

      紋章術師専用


 武器破壊の代わりに次撃を大ブーストさせつつ、大範囲でサークル発動させることによりMPを大幅に放出した。


「そして喰らえ必殺の――『朱雀一閃』っっっ!」


 ズゴオオオオオオォォォ!


 俺の身体を朱雀の形の炎が包み――そのままデスチャリオットに突進して斬り抜ける。

 こいつは『ターンオーバー』『爆炎タックル』『抜刀術』をタレントの『スキルチェーン』で合成した奥義だ。


 ターンオーバー(再使用時間 0/300秒)

 <効果> 現HPとMPを入れ替える 紋章術師専用


 爆炎タックル(消費AP(アーツポイント) 75 消費HP 最大値の10%)

 <効果> 格闘・当て身技 炎を纏った高速タックル 前方範囲攻撃


 抜刀術(消費AP(アーツポイント) 0)

 <効果> 暗器技 不意を打つ強烈な抜き打ち 1回攻撃

      1戦闘に1回のみ発動可能 現HPが低いほどダメージ上昇

      防御力無視 スウェイ不可


 これが一挙に発動して、『朱雀一閃』と化すわけだ。

 『ターンオーバー』でHPとMPが入れ替わり、事前に『ディアジルサークル』でMPを消費しておいたおかげで一気にHPがレッドゾーンにまで減る。

 そこに『爆炎タックル』で炎を纏った高速突進が発動、かつHPが10%分減ってギリギリ一桁の瀕死状態になる。

 締めの暗器専用アーツの『抜刀術』は現HPが低いほどダメージ上昇なので、瀕死まで持って行った残りHPのおかげで威力が最大化。

 更に奥義前に発動しておいた『ファイナルストライク』のおかげで、ダメージが更に加速。ロマン砲を名乗れる程のとんでもない大ダメージを叩き出す!

 これが『朱雀一閃』の運用の仕組みである。


 他のロマン砲奥義も、『ターンオーバー』で任意のタイミングでHPを瀕死状態に持って行き、『抜刀術』を組み込んだ奥義の威力を最大化。更に『ファイナルストライク』も併用して極大ダメージを出すというのが共通の設計思想だ。

 『ターンオーバー』は紋章術師専用スキルだから、任意のタイミングでHPを瀕死状態に持って行く行為は紋章術師にしかできないわけだ。

 都合、奥義を撃った直後は瀕死になるので、タゲ取ったらすぐ死ぬとか、『抜刀術』などの暗器系アーツは一戦闘で一回のみだとか、それを回避するためには武器破壊して再合成するしかないので、奥義一発ごとに金が飛びまくる銭投げ仕様だとか、色々デメリットはあるのだが――

 ただし、一撃のダメージは間違いなく最強。

 この突き抜けたロマンで、俺は世間ではダメジョブ扱いの紋章術師の地位向上を目指したいのである。

 それがダメジョブマイスターと呼ばれる俺のライフワークだ!


 蓮の朱雀一閃が発動! デスチャリオットに5904のダメージ!


 俺の奥義のダメージログが表示される。

 うむ。今日のロマン砲もいいダメージだ! さぁさっさと仕留めるぞ!

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