第196話 増えるワ〇メ
「さ、さすがにこれはムリだわ……ゴメン――!」
エミリーがその場に倒れ伏す。
これは仕方がない――! しかしなんちゅう繁殖力なんだこいつ!
普通こう、同時に出てくる雑魚の数は何体までとかあるだろうに――
いや、あるのかも知れないが少なくとも同時に十八体まで出せるとはとんでもないぞ。
しかも恐ろしい事に――
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
ハーデスローズのHPが161回復した!
十八連発の回復ログが!
「うぉ回復した!?」
こいつ、生み出したブラックローズが与えたダメージ分回復するのか!?
ちょっと待てどうすんだよこいつ!
単にカウンターでブラックローズを呼び出すだけなら、まだこう大ダメージを一発入れる⇒ブラックローズ処理⇒大ダメージ一発⇒ブラックローズ処理みたいなループで何とかなりそうだが、こいつはそれだけではない。
その間にカウンターだけじゃなく、本体がブラックローズを呼び出すのだ。
そしてそいつらが稼いだダメージが本体のHPになるわけだ。
これは3万削り切るのが至難の業だぞ――!
下手に集中攻撃しても手数の分だけカウンターが来るわけだし――
今みたいに十八体もブラックローズが溜まれば、重騎士ですら即死するわけで。
となると、もしそれがあればだが、何かブラックローズの呼び出しを封じる方法を発見するか――あるいはブラックローズのトータルな出現数に上限がある事を信じて、狩りまくるとか――
しかし忘れてはいけないのは、ここはいくらでも時間をかけていい通常エリアの戦闘ではなく、時間制限付きの『アーズワース海底遺跡群』であるという事。
時間をかけ過ぎると、タイムアップでバトル中に強制排出になってしまう。
時間切れは相手側の勝利なのだ。ヤツの性能と、この場の立地――
トータルで考えて、こいつは中々の強敵だぞ……!
というようなことを瞬間的に考える俺に――
ボゴッ!
ブラックローズの攻撃。蓮に31のダメージ!
蓮は力尽きた……
ハーデスローズのHPが31回復した!
「ぐふぅ……!」
エミリーを倒した十八体が一斉に俺に群がって来たのだ。
全部ガードはさすがに無理で、奥義後だったのでHPは1ミリ。
イコール即死です本当にありがとうございます。
そして、残った矢野さん前田さんシズクさんにも、十八体になったブラックローズ軍団はどうすることも――
ハーデスローズは種子を飛ばした!
ブラックローズが生み出された!
ブラックローズが生み出された!
ブラックローズが生み出された!
ブラックローズが生み出された!
ブラックローズが生み出された!
ブラックローズが生み出された!
あ、いや24体でした!
こいつ増え過ぎだろ! 増えるワ〇メかよいい加減にしろ!
とにかく三人では、ブラックローズ軍団の処理が追い付かず――
「あーもうダメですし!」
「し、仕方ない――わよね……?」
「うぬぅ――多勢に無勢だな……!」
うーむ、『アーズワース海底遺跡群』で二度目の全滅……
俺達は水上コテージに強制送還されて復活した。
「……うーむ全滅したぞ!」
「そうねえ――なかなかパンチの効いたボスだったわね」
「ごめんねえ、わたし真っ先にやられちゃって……」
あきらがしゅんとしていた。
「いやあ、ありゃしょうがねえよ。初見じゃ厳しいぜあれは」
「初見じゃなくても厳しいけどね――今までのボスとは明らかに難易度が違うわ」
と、エミリーが表情を引き締める。
「ああ確かに。何と言うか――ガチで殺しに来た感があったよな」
「うん、そうよね。恐らくあいつの攻略が『レインボーガード』の獲得競争の行方を左右するわね。それくらいの奴だわ」
エミリーの言う通りだと思う。
あいつはプレイヤー達に順位付けをするためのふるいの役割だな。
それだけに鬼難易度になっております――ってわけだ。
「蓮くんエミリーちゃん、何か対策は――?」
「対策なあ……今の所無いな」
「――そうね、もっと情報が必要だわ」
「ああ。だがそれだけに――」
「ええ――」
「「燃えて来たっ!」」
最後に俺とエミリーの台詞が被った。
「あははははっ。二人とも同じ事考えてるんだね――ちょっと羨ましいなあ」
と、あきらは少し寂しそうに笑った。
そこに――
「ん? 表から何か声がするな――」
確かにシズクさんの言う通り、水上コテージの入り口の辺りから声が。
誰か来たのだろうか――?
「あ、俺見てきますよ」
と、俺は入り口に向かった――
面白い(面白そう)と感じて頂けたら、↓↓の『評価欄』から評価をしていただけると、とても嬉しいです。




