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第193話 上級転移石をぶち込む!

 というわけで、少々不安ながらも俺達は今日も『アーズワース海底遺跡群』へのお勤めに出向いた。

 今日のメンバーは俺、あきら、前田さん、矢野さん、エミリー、シズクさんだ。

 あきらは『アーズワース海底遺跡群』は初めてだし、お試しという事で通常の『転移石』で入って見た。

 お兄様からあきらにメンバーチェンジして10層ぶち抜けるか手応えを掴みたいというのもあるし、あわよくば『上級転移石』の交換アイテムが手に入ればいい。

 俺思うに、BF51以降の探索は『上級転移石』を使用するのが王道というか設計側の意図なんだろうが、その通りにやっていたら恐らく攻略レースには勝てない。

 他が『上級転移石』取りにタイムロスしている間に普通の『転移石』でぶち抜いて行けてこそ、頭一つ抜け出すことが出来るのだ。

 勿論今ある『上級転移石』を投入するのは別に構わないのだが、『上級転移石』を集めるためだけにダンジョンに入るのは極力避けねばならない。

 マイベストフレンドさえ復帰すれば10層だってぶち抜ける……!

 ――というわけにはいかなかった!


「「奥義――!」」


 あきらとエミリーが同時に奥義のモーションに入る。


「クロスクレセント!」

赤き災厄(レッド・ディザスター)!」


 あきらの斬撃とエミリーの火柱。

 同時にそれがフリーズリザードに着弾! フリーズリザードに止めを刺した。

 ――うん。オーバーキルですね!

 普通の『転移石』の30分制限で10層ぶち抜きを成功させようとすると、動きにはかなりの効率を要求される。

 貴重なAP(アーツポイント)をオーバーキルで無駄にしている余裕はない。

 それが結果的にタイムロスに繋がってしまうのだ。

 あきらもエミリーもそれは分かっている。

 だがどうにも呼吸が合わないらしく、様々な行動がバッティングしてしまう。

 奥義やアーツのタイミングもそうだし、回復行動のタイミングや、移動方向までも。


「ああごめんあきら、被っちゃった」

「ううん、こっちこそ――」


 お互いわざとやってるわけじゃないんだろうが、タイムロスが多くなってしまっている。

 これでは、お兄様がいた時とあまり変わらない――かもな。


 突入から30分が経過しました。強制排出となります。


 終了のシステムメッセージが来た。今の階層はB57Fだった。

 ちょっと厳しかったなぁ。しかも『上級転移石』の交換アイテムが取れたわけでもない。

 一日五回までの『アーズワース海底遺跡群』への突入機会を、これで一回失ってしまった事になる。


「ああ。終わっちゃったわねえ――」

「30分だと大分時間が足りない感じだね」

「そうだなあ――ゲート解放条件の運は悪くなかったと思うんだが……」

「ふーむ……高代君よ、30分では次のポイントまでは厳しいのではないか? 『上級転移石』を使った方がいいと思うのだが。何なら私があげた『超級転移石』でも構わんが」

「いや、『超級転移石』は流石に勿体ないですよ。『上級転移石』は4つありますし、取り合えず一個使っちゃいますか」

「そうね。いいと思うわ蓮」

「うん、蓮くんに任せるよ」

「おっけ~ですし!」

「そうね。進めるだけ進んだ方がいいかも」


 みんな異論無いようなので『上級転移石』を突っ込むことにする。

 本日二回目の突入は『上級転移石』で。

 流石に制限時間一時間あれば、多少あきらとエミリーの連携が悪くとも大丈夫だった。

 B51F~B60Fまで踏破し、B61Fにセーブポイント発見。

 やはりセーブ間隔が10層になっているな。そしてB60Fにはボスはいなかった。


「よしよし! 流石に『上級転移石』を使えば行けるな!」

「ねえ蓮、もう次も『上級転移石』で行っちゃいましょうよ!」


 エミリーがそう言い出し、他のみんなもOKと言ったので『上級転移石』を使ってしまう事にする。

 本日三回目の突入。B61F~B70Fまで、問題なし。

 B71Fでセーブ。ただしボスはいなかった。

 そろそろ次のボスがいてもよさそうだが――


 本日四回目の突入。B71F~B79Fまで攻略。ここまで順調。

 B80F――


 ピンポーン。

 ゲート解放条件、ボスモンスターを倒せ!


「ん――とうとう来たな、ボス!」


 残り時間はまだ15分ある!

 これなら余裕を持って戦える時間ではある。

 『上級転移石』を突っ込んでるわけだし、負けるわけには行かん!


 今度のフィールドは、デスチャリオットがいた闘技場のようなフィールドではなく、いつもの四角い部屋の中に大量の植物が生い茂ったような状態だった。

 わざわざこうって事は、植物系のボスが出て来るって事なのか?


 その俺の予感は当たっていた。


 ズズズズズズ――


 足元が振動し始め、フロアの中央に巨大な植物がそり立ったのだ。

 真っ黒い色の花をつけた、巨大なバラの怪物だった。


 ハーデスローズ レベル120 王冠アイコン(レアモンスター)


 デスチャリオットよりレベルが高いな! より深い層だから当然か――

 何にせよ、倒させてもらうとしよう!

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