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第191話 敵に塩を送る

「おお――!」


 俺は喜んだ。裸よりこっちの方がまだ見れる。


「あれ? これはあいつの着てた――」


 エミリーがそう呟く。


「あいつナイス! ちょっと見た目が緩和されましたし! ね、ことみー?」

「そ、そうねえ……でもまだ怪しいけれど――」

「服が無いのを憐れんで、置いて行ったか――武士の情けだな」


 なるほどシズクさん、面白い考察だ!

 こいつ着るものもねえのか――仕方ないこれでも着てろ……! 的な?


「あっははは! あいつ以外といい奴なんですね!」

「わぉ――敵に塩を送るってヤツね! 上杉謙信イズムだわ!」


 エミリーは日本の歴史も好きだし詳しい。

 一緒に歴史系のシミュレーションゲームもやったからな! そこから入った系だ。


「ぷくくくっ……! 戦ってるのに服くれるなんてツンデレですし!」

「もしくは、あれで身だしなみにはうるさいタイプだったとか……?」

「あははははっ! お母ちゃんみたいですし!」


 どっちにしろいいやつだな、デスチャリオット!

 あんな見た目なのにあいつの好感度が俺達の中でうなぎ登りだった。

 しかしお兄様は気に喰わなかったようだ。


「ええい! このような怪しい格好をしていられるか!」


 速攻で装備解除して裸に戻っていた。

 いやどの口が言ってんだ、そっちの方が十分怪しいわ!

 確か血糊や血文字があちこちに着いたような黒ローブで、周囲に怨霊が纏わり付くようなエフェクト付きだが――

 これ着ててもまだホラー好きな人のコスプレかな? で済むからな。

 言い訳不能のド変態よりはいいと思う!


「このようなものはありがた迷惑だ。私には不要ゆえ、君に差し上げよう」


 強引に押し付けられた!


 血冥のローブ

 種類:鎧 装備可能レベル:50 防御力:77

 装備可能ジョブ:ALL


 特殊性能:全ステータス-100 移動速度ダウン


 うっはシンプルにすげー呪われ系装備だな!

 あいつこれ着てたって事は、本来のスペックより大分弱くなってたんじゃないか――?

 ステータスが全部下がるって事はどんなシーンであれバトルには向かない。

 なら移動中に着るかと言うと、移動速度が下がるので着るのもめんどくさい感じだ。

 これは中々の問題児ですぞ。

 ぱっと見た感じ喜ぶのは、コレクター魂を持つアイテム厨だけだろうな。

 ――ほむら先輩なら高く買ってくれるだろうか?


「はあ……? 貰ってもあれですが、どうも――」


 取り合えずアイテムボックスにポイしとくしかないわな……


 突入から29分が経過しました。後60秒後に強制排出となります。


 そうシステムメッセージが!


「あ、やばい! 先急ごう、ダッシュダッシュ!」


 俺達は慌てて、フロアの中央に現れていたワープ地点に飛び込んだ。

 そしてB11Fへと進む。


「お! よっしゃセーブポイント発見」


 ワープを出た所にセーブポイントが配置されていた。

 また5層刻みでセーブできるっぽいな。よしよし。

 セーブを済ませて一息つくと、タイムアップで強制排出。

 目の前がぐわぐわんと歪み、『アーズワース海底遺跡群』の外に戻されたのだった。

 とりあえず今の所の攻略メモとしては、5層おきにセーブポイントが設置されている。それから10層おきにボス戦がある。という感じか? 

 この先もっと進んで行くと、そのパターンも変わって行くかもしれないが。

 ああ後重要な情報があるな。デスチャリオットはいいやつ! と――メモメモ。

 それから早く内部のマップ構造について資料に残さないと、頭から抜けるな!


「よしエミリー! マッピングだ!」

「オーケイ、蓮!」


 俺とエミリーはすぐに『ディールの魔卓』を取り出してマップの作製にかかる。

 ちゃんと持って来たぞ!

 今日はマックスの5回潜るつもりだから、速いとこ資料化しておかないと忘れてしまう。


「えーとここはこうで――こうなってて……」

「あ、そっちはこうよね。それでこうで、こう――」

「君達は何をいきなり始めている?」


 シズクさんが不思議そうに聞いてくる。


「ああ、出てきたフロアの地図を残してます。後で見返すと役に立つかもしれないんで」

「何らかの法則とかが見つけられれば、攻略の役に立つの!」


 俺とエミリ―の返事を聞くと、シズクさんは呆れ半分、感心半分という顔になる。


「それは――地味そうだが楽しいのか?」

「「はい!」」

「そうか。まるで研究者だな、確かに――そういう楽しみ方もあると言えばあるのか」


 シズクさんは納得顔で頷いている。


「シズクさんはどうでした? ダンジョン探索は楽しめましたか?」

「ああ、なかなか面白い。こういう体験は新鮮だ。戦闘で派手に動き回れるのもいい。もう暫く君達に付き合わせて貰おうかと思う」

「大歓迎っす! 人手足りてませんしね!」


 マップの作成を終えると、俺達は再びダンジョン探索に入る事にした。

 一日五回まで入れるわけだからな。今日は五回行くぜ!

 それから、ダンジョン探索と出てきたら即マップ作製を繰り返してその日は終了した。


 そしてその後数日間、俺達はダンジョンアタックを繰り返した。

 やはりセーブポイントは5層おきにあって、ボスは10層おきに配置されていた。

 毎回必ずセーブポイントに到達できるわけではないが、そこそこの確率でセーブ成功して記録を伸ばして行く事が出来た。

 他のプレイヤー達の進行度も俺達と大差無いようで、まだ『レインボーガード』がゲットされたとの話は聞かなかった。

 そして俺達の記録がB50Fを超えた時だ――

 B51Fスタートで5層進み、B56Fでセーブポイント……と思いきや、セーブポイントが無かった。

 セーブ間隔が広くなったのだ――

 どうも、B51F以降は進行難易度が一段上昇するらしかった。

 更にガチで攻略して行かないとな!

 そろそろあきらも戻って来るし、俺達の本気を見せてやるぞ!

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