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第187話 魔法ではなく浴衣が凄い

「『エレメンタルサークル』!」


 いつもの事ながらターゲットはリューに設定。

 リューをターゲットしておけば、サークルが移動できるからな。


「きゅ~みどり~!」


 またリューが『エレメンタルサークル』の色を教えてくれる。

 俺が水上コテージでこれを検証していた時に、色を口に出して貰っていた癖が残っているようだ。

 よしよし、えらいえらい。俺の言った事、まだ守ろうとしてくれてるんだな。

 リューの言う通り今度のサークルの色は緑。風属性か。まぁこれで逆にミミックが回復する事は無いだろう。

 風の精霊系とかそういう奴だと回復しそうだが。


「リュー! 俺に付いて来いよ!」

 

 俺はリューを連れて巨大ミミックの側に。

 ヤツはエミリーの方を向いているので、側面に回る。

 エミリーをサークルに巻き込まないための位置取りでもある。


「前田さん矢野さんシズクさん! こっち来てサークルの上に乗って攻撃!」


 呼びかけつつ俺も杖のまま仕込杖を振る。

 DEX(器用)を完全に捨てている俺の攻撃はスカスカだが、追加の風属性の魔法ダメージだけは入る。

 杖からあきらのスカイフォールよろしく、衝撃波のようなものが出るのだ。


「おー! いいですしこれ!」


 矢野さんが繰り出す銃剣の刺突にも衝撃波が乗る。

 刺突、振り上げて銃身で殴打、更に追撃の中段蹴り。

 矢野さんは最近MEP(メリットポイント)で皆伝の証<蹴撃>をゲットして、接近戦の能力を強化していた。

 雪乃先輩が二刀流プラス蹴撃の戦闘スタイルだが、それに結構憧れたらしい。

 夏休み直前のテストで頑張ってギリギリ取れて喜んでいた。

 浴衣で蹴りを出すと裾が大きく割れて生足が覗くので、結構セクシーな感じですな。

 ビシビシと繰り出す攻撃全てに衝撃波が乗るので、ミミックのHPはゴリゴリ減って行く。

 巨大化してHPも数倍に増えているようだが――この分なら問題ないだろう。


「直接攻撃をするなんて、新鮮だわ」


 言いながら前田さんも杖を振るっていた。

 前田さんの場合攻撃魔法は使えるので、普通に浴衣を着て魔法を撃つだけでMPを殆ど減らさずに攻撃できる。

 そう考えると凄いのは『エレメンタルサークル』ではなく浴衣だという話になるな――

 『エレメンタルサークル』に関係なく、前田さんは常時浴衣で使えるMP量が跳ね上がるもんな。

 使えるMP量が上がれば、取れるダメージ量も多くなるし回復できるHP量も多くなる。

 浴衣まじすごい。見た目も性能も最高!


「ほうほう――? ほほう、こういう動きになるのか――! 少し自分が思ったのと違う動きになるようだな……!」


 具合を確かめるようにして、シズクさんがミミックに攻撃を加えている。

 拳でビシバシ殴る一発一発からも衝撃波がバンバン発射される。

 蹴り、極め技、体当たりからも同じく。極め技は投げ系統なんだよな。

 ミミックのどこを極めるんだって話だが、箱の蓋あたりに飛びついてゴキっとやるとデバフ効果がちゃんと出ていた。

 って――んん? あれ格闘モーション全部使ってるのか!?

 シズクさんの格闘家は、流派選択という事で拳打、蹴撃、投げ、当て身の四つの格闘モーション系のうち二つをデフォルトで使える仕様だ。

 そう、デフォルトでは二つだ。

 残り二つをタレントで使えるようにしてるって事か? 格闘マスター的なセッティングですな。


「はーーーーーッ!」


 更にシズクさん、手からエネルギー波を放って見せる。

 ああそうだ、ジョブが格闘家で格闘モーション全セットすると見ての通り気功波が出るのだ。

 見た目はモロドラ〇ンボール的なアレに近いので、そりゃあもう大人気――かと言ったらそうでも無い。

 何故かと言うと普通に弱いからだ。

 エネルギー波はつまり遠隔攻撃になるわけだが、その威力は銃や弓よりかなり下になる。

 そりゃあ銃や弓は一発ごとに矢弾を消費するわけで、無消費のエネルギー波がそれを上回るのはゲーム的にアレだろう。

 なので威力はかなり低めに抑えられ――格闘家にとってもスクショ映えする宴会芸の域を出ないものになっている。

 気功波目当てにタレント枠を二つ使って残り二つの格闘モーションをセットするくらいなら、タレント枠一つで銃なり弓なり装備すればいいわけで。

 というわけで格闘家自体は決して不遇ジョブとは言いがたいが、エネルギー波については死にスキルだ、残念ながら。


「ほう……!? これは――!? はははっ! 面白い!」


 ドシュンドシュンとエネルギー波を撃つシズクさんは楽しそうなので、まあ何も言うまい。

 しかしエネルギー波は遠隔攻撃だからか、『エレメンタルサークル』の効果も載っていないようだ。

 うーん微妙! 絶対普通に殴った方が強いな。


「わぉ! 威力はともかく、アニメのアレみたいでカッコいいわね!」

「うんうん、見栄えがしますし!」

「そうね!」


 エミリー達も喜んでいるようだった。


「ふぅむ……そのようなものか?」


 しかし、シズクさんはピンと来ていない様子。

 おやドラ〇ンボール的なアレが分からない……?

 まあ俺達の親次世代の話ではあるが――世代が違うのか?

 俺達より更に下? それとも親次世代より上? まぁもしくはアニメとかゲームとか興味無い派?

 まあどれでもいいんだが――ちょっと意外だったな。


 まあともあれ、程無くして巨大ミミックは沈んだ。

 HPが数倍になっていて、攻撃力や防御力も2~3割増し位には強くなっていたが――

 まあ皆で戦えばそれ程問題になる相手でもなかった。

 何気に『エレメンタルサークル』も役に立ってくれて良かった。

 支援役としてPTメンバーの役に立つとか始めてなんで、新鮮だな!

 局地戦ではロマン砲、雑魚連戦では役立たずってのがお決まりだったからな。


「よしこれで次行けるぞ! さぁ次行こう次!」


 俺達はB7Fへのゲートに急いだ。

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