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第186話 巨大化モンスターを倒せ

 さて、俺達は『アーズワース海底遺跡群』に到着した。

 これからダンジョン探索に向かう訳だが、今日もダンジョンは盛況だな。

 まだ『レインボーガード』をゲットしたプレイヤーは誰もいないようである。

 なぜ分かるかと言うと、中で手に入る交換用アイテムの引換カウンターに紙が張ってあり、残り在庫数が書かれているからだ。


 残り10個の在庫が、昨日から変わっていない。

 まあ一日五回までしか突入できないという制限があるわけだから、そこまで超速でダンジョンの最下層まで辿り着くことは出来ないだろう。

 難易度設定的には夏休みの後半になって『レインボーガード』の交換アイテムである『銀河の虹』が出土し出すのではないかと――

 まだまだ夏休みは始まったばかりだ。この夏は『レインボーガード』に捧げるぜ!


「シズクさん。これから行くのは、階ごとに構造とか先に進むための条件が変わるダンジョンです。条件は例えばその階のモンスターを全滅させたりとか。色々です。途中にセーブポイントがあって、そこでセーブすれば次はそこからスタートできるんで、毎回次のセーブポイントを目指して先に進んで行くって感じです」

「なるほど――先の見えぬ冒険というわけだな。面白そうじゃないか」

「シズクさんはこのゲーム自体不慣れっぽいですから、まあ適当に敵と戦ったりして慣れて行って下さい。俺達に付いて来て貰えばいいですから」

「分かった。郷に入れば郷に従えだな」

「何気にあたしらも初めてですし、高代とエミりん先導よろしくっ」

「まっかせて! ピンチになったらあたしの所に逃げてくれればいいからね! ガンガンターゲット取るから!」

「あ、それから前田さんと矢野さんとシズクさんはコテージから持って来た浴衣装備でお願いします」


 女の子用の浴衣でMP自動回復している状態なら、『エレメンタルサークル』で効果を受ける側のプレイヤーまでMPを消費してしまう件は緩和され、純粋に攻撃力の向上が見込める。

 ただし浴衣の防御力は1しかないので、今回メインで盾役(タンク)を務めるエミリーが装備するのは流石にマズい。

 逆に他のメンバーは、エミリーというしっかりした盾役(タンク)がいるので、浴衣装備でも敵のターゲットが来なければ問題ない。


 何と言うか、初めて支援系の後衛ジョブとして活躍が出来そうだな!

 異世界サーマル限定装備である浴衣の力を借りたマジックなので、元の世界に帰るとゴリゴリ味方のMPを削るデメリット付きの趣味用魔法になるが。

 この夏の、この異世界サーマルでしか体験できない支援ジョブとしての輝き! 一夏の思い出として堪能させてもらおう!


 『エレメンタルサークル』の性能については説明してあるので、前田さん達はぱっと浴衣に着替えてくれる。

 シズクさんはシステムメニューの使い方がまだおぼつかないので、エミリーが説明しつつ着替えていた。


「いいなあ、あたしも浴衣で戦いたいなあ」

「いや、さすがにエミリーが着るのはまずいだろ。タゲ集めるんだからさ」

「えぇ~? 蓮はあたしの浴衣見たくないのぉ?」

「いやさっき見たし――」


 水上コテージを出る前に喜んで着ていたのを見ている。

 まぁ確かに可愛かったが――外国人の女の子の浴衣姿もいいものだ。


「オホン! だが待って欲しい。では早く突入しようではないか。そろそろ姿が現れてしまうぞ」

「……あのー。中で浴衣着て貰ってもいいんですよ?」


 浴衣の防御力は1だが、裸よりは1だけ高いぞ。


「フッ……気持ちだけ頂いておく」


 つまり着る気はないって事だな――


「じゃあ行きますよ! いきなり『超級転移石』はもったいないからまず普通の『転移石』で!」


 俺はアニメ声のライオンヘッドの口に『転移石』を放り込んだ!


「ありがとぉ♪ じゃあ、どこから始めるのかな? 最新の記録だとB6Fからになるよ!」

「じゃあそこからで!」

「は~い。では、よいダンジョンライフを! お客様をごあんなーい♪」


 目の前がぐわんと歪み始める。

 さて、B6Fからだな。どんな指令が来るか――

 俺達がB6Fに転移すると、早速システムメッセージが!


 ピンポーン。

 ゲート解放条件。巨大化モンスターを倒せ!


「巨大化モンスター?」

「はじめて見る条件ね」


 俺とエミリーは顔を見合わせる。

 昨日は開幕早々のモンスターハウスと、後はフロアのモンスター殲滅だけだったからな。


「だが待って欲しい。恐らく、通常よりもサイズが大きいモンスターがこの階にいるのだろうな。それを倒せばいいというわけだ」

「でしょうね――」


 俺達の今いる場所から何体かの敵は見えるが、どれも通常サイズだ。

 なら別の場所を探しに行くか――


「よしじゃあ、こっちに!」


 俺とエミリーが先頭に立ち、転移して来たセーブポイントの部屋から出る。

 通路を進んで、また別の部屋に。

 そして――


「あーなるほど……」

「あはははっ! バレバレね!」


 俺達が見つけたのが何かと言うと、デカい宝箱だ。

 通常サイズの十倍くらいはあり、見上げるほど大きい。

 そして、ここのフロアのゲート解放条件は『巨大化モンスターを倒せ!』だ。

 つまりこれ、巨大化したミミックだよなあ――エミリーの言う通りバレバレだ。


「まあ、さくさくやっちゃいましょ!」


 エミリーが宝箱に近づき、手を触れる。


 キュイイィィィィ!


 待ってましたとばかりに飛び跳ねる巨大ミミックだが、いやバレてないと思ってたのお前だけだから!

 動き出したミミックにエミリーは『名乗り』を発動させてがっちりとターゲットをキープ。

 よしこっちも攻撃に出るぞ!

 俺は『エレメンタルサークル』の詠唱を始めた――!

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