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第178話 人との接し方がアメリカンスタイル

「あれ? あきら、どうしたんだ? 今日はもう来れないって――」

「あ、うん……メッセージ来てたし、寝る前にちょっと様子見に来たんだけど――蓮くんは何してたのかなぁ?」


 ゴゴゴゴゴゴゴ……!


 あ、やべぇ。何かあきらの背後に闇のオーラみたいなのが見えるんだが――!?


「わぁ! あなたがあきらなのね! 男の子だと思ってたら、凄い美少女だったって蓮が言ってた……! ほんとに可愛い~~~!」


 エミリーは立ち上がってあきらに駆け寄ると、手を取ってキャッキャと喜んでいた。

 出鼻をくじかれたみたいに、あきらはポカンとしていた。


「え、ええと――あ、ありがとう……」

「あ、あたしエミリーよ! 蓮の幼馴染なの!」

「幼馴染!? へぇ――そ、そうなんだ初めて聞いたかな――」

「夏休みの間は異世界サーマルで一緒に遊べるから、よろしくね!」

「う、うん。よろしくね、エミリーちゃん」


 あきらにもようやくちょっと笑顔が。


「ねえねえあきらって蓮の彼女なの?」


 人との接し方がアメリカンスタイルのエミリーは、速攻で直球を投げていた。


「ええぇっ!? ち、違うよお……! わたし達はそんなんじゃ――」


 ぶんぶんとあきらは首を振って否定する。


「あ、そうなんだ――じゃあ、あんまり蓮を怒らないであげてね? 別に悪い事をしたわけじゃないんだし」

「……! あははははは……! そうだね、そうだよね――ごめんね蓮くん」

「あ、ああ――別にいいけどさ……」

「それじゃあ、そろそろあたしも帰るわね。家族が待ってるから」


 今ここで帰るのかよ! 何か空気があれな感じなんだが!?


「じゃあまた明日ね、蓮。あきらも、今度一緒に遊んでね~」


 と、エミリーはひらひらと俺とあきらに手を振るのだった。


「お、おう――」

「う、うん。バイバイ、エミリーちゃん」

「あ、そうだ蓮。あの事はみんなには内緒にしておいてね? まだバレちゃうと困るし」


 と、エミリーが俺に釘を刺した。

 まあ何かと言えば、エミリーのプライベートに関する事なのだが……

 俺は手紙貰って知ってたんだが、まあ言うなと言うなら守らなきゃか。


「ああ分かった」

「うんうんありがと。それじゃあね~お休み~」


 笑顔でエミリーは水上コテージから帰って行った。

 ……で? 残された俺達はどうするんだこれは――?


「……いや、エミリーってアメリカ人だから人との距離が近いんだよ。悪気はないんだきっと」

「ああうん――それよりここ、すごい大きいね! ギルドハウスより広いよきっと! ココールくんさまさまだね!」


 あきらはニコッと笑って、いつも通りの顔になってくれた。

 よかった……と俺はちょっとほっとした。

 さっきの闇のオーラが復活したらどうしようかと思ったぜ――


「ああ。夏休みの間ずっと使えるみたいだからさ、ここを拠点にガッツリ攻略してやろうかと!」

「攻略? 何の?」

「ああそうか、それはメッセージに書いてなかったな――ほらこれ見てくれよ!」


 と、俺は片岡が持って来た『アーズワース海底遺跡群』のチラシをあきらに見せる。


「えーと何々――『アーズワース海底遺跡群』で採れるアイテムとの引き換え……? わ、この『レインボーガード』って凄くない!? レベルに合わせて防御力上がるし、見た目が選べてタレントのスロットも増えるとか――!?」

「ああすごいぜ! 先着で10個までらしいから、絶対取ってやろうと思ってさ。あきらには絶対必要だろこれ?」

「え? わたし?」

「だってこれがあれば、ソードダンサーでもまともな見た目でまともな装備に出来るだろ? 見た目問題解決したら、もう保護者参観があっても辞めさせられる危険は無くなるしな!」

「ああ――そっか……わたしのために頑張ろうとしてくれてたんだね~」

「まあ純粋に面白そうっていうのも大きいけどさ。あきらがいない間エミリーにも手伝ってもらって、先に進めるだけ進めとくからな!」

「憧れの姫プレイだね、姫プレイ! 何もしなくてもいいアイテム貰えちゃうなあ♪」

「……いや早くゲームに復帰してくれよな。やっぱあきらと組まないと真の力が発揮できねーし、俺も」

「そうだね。蓮くんにはソードダンサーがいなきゃだしね。希美さんも明日からわたしと一緒だから手伝えないし――」

「まあ今の所は詰まってねえから、大丈夫だけどな。ところでお爺ちゃんの怪我は大丈夫だったのか?」

「あ、うん元気だよ? ちょっと退屈だけど、ある意味いい休みになるって言ってたよ」

「そっか――まあ元気そうなら良かったな」

「うん。あ、そうだ! 今からちょっと外にお散歩に行かない? ダンジョンに行ってたなら、まだ回ってないんだよね? このパンフレットによると色々あるみたいだし!」


 とあきらは俺達も貰った異世界サーマルのパンフレットを取り出して目を輝かせた。

 こっちにワープした時にNPCのお姉さんに貰ったのだろう。


「ん? あーそうだな。でも早く寝なくていいのか? 明日も用事なんだろ?」

「いいのいいの! 暫く家のしがらみってやつでゲームできないんだから、今のうちに楽しんでおかないとね!」

「んーじゃどこ行く? 遊園地とかか? 夜には縁日の屋台も出てるとか片岡が言ってたな――」

「わ! パンフレットにも書いてるね! じゃあ縁日行こうよ! わたし、人生で一回も行った事ないんだよね~。ちょっと憧れてたの!」


 なるほど――あきらみたいな良家のお嬢様って、そういう庶民な所には行かせて貰えないのかもな。


「あ、だったらさ――」


 確か女の子用のウォークインクローゼットには浴衣が置いてあったよな――?

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