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第176話 ランダム属性

 俺が首を捻っている間にも、エミリー達はバトルを継続。

 ゴリゴリとフリーズリザードを削って行く。

 そして締めに、エミリーは槍をぐさりと地面に突き立てるモーションを取った。


「奥義『赤き災厄(レッド・ディザスター)』ーーーッ!」


 ズゴオオオオォォォォッ!


 地面に突き立てた槍を中心に、猛烈な炎が吹き上がる。

 それが放射線状に広がっていき、フリーズリザード達を焼き払った。


 エミリーの赤き災厄(レッド・ディザスター)が発動。

 フリーズリザードに1877のダメージ。エミリーはフリーズリザードを倒した。

 フリーズリザードに1877のダメージ。エミリーははフリーズリザードを倒した。


「おー! それデッドリー・キングの技だろ? やるなあ!」


 次のターゲットを探して走りつつ、俺はエミリーに話かける。

 あいつにはいろいろお世話になったからなあ。

 覚えられるんだなコレ。

 そういや倒せたら赤き災厄(レッド・ディザスター)を習得できる奥義書を落とすって話だったか――


「お。さすが蓮、お目が高い。『スキルチェーン』なしで覚える単体の奥義って貴重だしこれは取るわよね! 蓮も取ってるんでしょ?」

「いや――俺は取ってないけどな」

「え? そうなの? まだ倒してないの?」

「いや倒したけど、仲間にしたからドロップアイテムは無かったなあ」

「えー勿体ない! 初回撃破時しか落とさないのよ、赤き災厄(レッド・ディザスター)の奥義書!」

「そうだったのか!? まあ――別にいいか、あれはあれで必要だったしな」

「今さらながらすまんコケ~、蓮。おいらも知らなかったコケよ」

「いやいいって事よ。一発のロマンの方が大事だからな。あれは役に立ったぜ」

「どういう事?」


 首を捻るエミリーに、俺とココールはギルド対抗ミッションでの事を説明する。


「あははははっ! でも蓮らしいわね! そういうのっていいと思うわよ、あたし!」


 笑い声を上げながらもエミリーはしっかり次のターゲットを見つけ、『名乗り』を発動していた。


 アーズワース・ガーディアン レベル85


 多少強めの、石で出来た巨人型の敵だ。

 アーズワースの名前が付いているからか、やはり体の材質がダンジョンを構成している石ブロックに近いようだ。

 こいつには特定属性の吸収能力は無さそうだ。

 もう一丁例のやつ行くぞ!


「『エレメンタルサークル』! リュー! エミリーの横に!」

「りょうかい~!」

「ん……また色が違うなこれは――」


 今度は黒と紫の中間くらいの色だ。色的にこれは闇属性とかか?


 エミリーの攻撃。アーズワース・ガーディアンに122のダメージ!

 エミリーの攻撃。アーズワース・ガーディアンに60のダメージ!

 エミリーのHPが60回復した。

 エミリーのHP上限が60増えた。

 インフェルノアーマーの攻撃。アーズワース・ガーディアンに58のダメージ!

 真一の攻撃。アーズワース・ガーディアンに70のダメージ!


「お!? 何だこれ!?」


 ログを見るに、闇属性の『エレメンタルサークル』にはHP吸収効果も付いてるって事か。しかもHP上限が増えたというログまで――?

 俺はPTメンバーのHPMPリストに注目。

 ああ確かに分母の数字が増えている――


 アーズワース・ガーディアンの攻撃。エミリーはガード。23のダメージ。

 エミリーの攻撃。アーズワース・ガーディアンに119のダメージ!

 エミリーの攻撃。アーズワース・ガーディアンに60のダメージ!

 エミリーのHPが60回復した。

 エミリーのHP上限が37増えた。


 次に流れたログはこうだ。

 エミリーのHPが満タン状態から23のダメージを受けた。

 っていうか重騎士は固いなやっぱり――

 で、HPが23減った状態から60回復と。

 上限から溢れた37の分がHP上限に足された――と。

 ほほうなかなか面白いな。

 HP回復だけでも支援効果としては役に立つだろうし、HPのブーストは盾役の強化にもなる。コレどのくらいの効果時間があるんだろうな?

 それから、HPMPリストを見ていて気が付いたことが――

 エミリーが一発敵に攻撃を当てるごとに、MPが5消費されているのだ。

 つまりこのサークル、武器攻撃に追加効果を乗せるたびにMPを食うのだ。

 エミリーの重騎士はデフォルトのMPは持っていないがタレントで魔法を使えるようにしてあるらしく、MPがある程度はある。片岡やココールはMPはゼロだ。

 勿論俺にも無駄に多いMPがある。

 追加効果の発動に必要なMPが無いと効果は発動しない、と。


「なるほどな――しかしこれは……」


 正直どうなんだ?

 MP5消費で追加ダメージが約60か。

 魔道士(ウィザード)ならMP5使えばもっとダメージを出せそうな気がするぞ。

 それにタレントによる補強に頼らず、紋章術師生え抜きの能力でダメージ能力を得たのはいい事なのだが――

 MPが無いと追加効果発動しないのはイマイチだな。

 支援相手を全員MP持ちにする必要がある。

 しかもそこまで構成を縛ったところで、MPを強制的に食ってしまうのだから――

 聖騎士(パラディン)のように回復魔法を頻繁に使うジョブ相手だと、逆にMPを削る弱体化にも成り得る。

 ちょっとした追加ダメージより回復用のMPの方が欲しいジョブだからな。

 エミリーも今タレントで回復魔法を使えるようにしているのだが――

 追加効果が発動する度に回復リソースをゴリゴリ削ってしまっている事になる。

 しかも今までの所、どの属性のサークルが発動するかはランダムだ。

 闇属性はHP吸収や最大値増加があり、使いようによっては面白そうだが――

 PT戦で役立てるには条件が厳しいな、これは。

 確実に計算できる能力しか評価されないのが世の中だからなあ。

 MPを無駄に余らせている俺みたいな奴には丁度いい遊び道具って感じか?

 俺だけ入るサークルにして、後ろから追加効果ぶんぶんしとけば、多少なりとも削りの攻撃の役には立つからな――

 ……つまりあれだな。ゲーム開発側の意図としては、紋章術師に劇的な強化能力を与えてジョブ評価が上がるような新魔法追加はする気が無いって事だな。

 苦手なソロでもちょっとダメージ与えられるようにしてやるから、これで遊んどけと。

 ……いいだろう。だが俺はまだ諦めんぞ!

 こいつを検証しまくって、何とか活かすようにしてやるからな!


「『スケープゴート』! 『シャドウウォーク』! 奥義『ダブルバックスタブ』!」


 真一のダブルバックスタブが発動! 

 アーズワース・ガーディアンに2724のダメージ!

 真一はアーズワース・ガーディアンを倒した。


 今度は片岡がスキルでブーストした奥義で敵を撃破していた。


「やるぅ! いい火力ね、君!」


 エミリーが片岡にニコッと笑いかける。

 こいつ銭も投げずにいいダメージ出しやがるぜ――!

 盗賊(ローグ)は瞬間火力は結構あるからな。


「ああ――このくらいで褒めてくれるなんて、なんていいHimechanなんだ。希美様もこうだったらなあ……」


 片岡は何やら感動している様子だった。


「Himechan?」


 流石に日本の独自文化なのかな、片岡みたいな奴って。

 いや外国にもありそうだが、言葉が違うのか――

 まあ面倒なので、触れずにいよう。


「いや、こいつの言ってることはスルーしといてくれ。先行こうぜ!」

「そうね――!」


 と、ここでピンポーンと音がしてシステムメッセージが。

 

 ゲート解放条件を達成! 次の層へのゲートを目指せ!


「お!? もう全部倒したのか」

「結構少なかったコケな~」

「ゲートってどれかしら?」

「あれじゃないか? あそこ!」


 と、片岡が指差した先に円状に並んだ柱とそれぞれを繋ぐ光のラインで構成されたゲートが見えた。

 なるほどあれに入れば次へのワープだな――!

 俺達は次の層へのワープへと飛び込んだ。


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