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第175話 エレメンタルサークル

 初期配置から手近にいたモンスターは、これだ。


 アーズワース・ドール レベル77×2


 魔法で動いてるマジック・ドール系の敵である。

 足元が車輪になっている、機械の案山子という感じだ。

 先っぽに鉄球が付いた痛そうな両手杖を携えている。

 アーズワースの名前を冠しているからか、ボディの材質がこの遺跡を構成する石のブロックと同じような色合いである。


「よぉし――! 片っ端から倒して行くわよ!」


 エミリーが二体の敵に真っ向から突っ込んで『名乗り』を発動してターゲットを取ってくれる。それに合わせて片岡は敵の背後を取りに行き、ココールはインフェルノアーマーを呼び出して『装着憑依』していた。

 そして俺は――


「よっしゃ! 『エレメンタルサークル』!」


 まずは検証だ!

 俺は自分の足元に小範囲のサークルを展開した。

 この魔法、消費MP30~になっているように、他のサークルよりMP消費量が多い。

 当然効果範囲を大きくすると、その分MP消費も加速度的に増える。

 今はMPを捨てて大ダメージを取りに行くロマン砲の動きではなく、この『エレメンタルサークル』の可能性を試すシーンだ。

 MPはちゃんと刻んで使うぞ! 俺だっていつもいつも馬鹿みたいにMPを捨てるばかりではないのだ!


「どれどれ――? おお赤いな」


 俺が唱えた『エレメンタルサークル』は赤色の光を発しており、チラチラと炎の影のようなものも見える。

 という事は火属性か? 説明文によると攻撃に精霊の加護を得るんだよな?

 今俺がサークルの上に乗っているわけだが――?

 これで攻撃に精霊の加護を得てるわけだよな?


「ふーむ?」


 とりあえず、仕込杖の杖モーションで通常攻撃を出してみる。

 すると――


 ボウゥッ!


 俺の攻撃に合わせて、仕込杖から炎の弾が発射されたのだ。

 それが、エミリーと向かい合うアーズワース・ドールに当たった。


 蓮の攻撃。アーズワース・ドールに66のダメージ!


「おお――!?」


 普通に当たった! 普通にダメージが出た!

 物理攻撃判定だとヒットさせるのにDEX(器用)が必要となり、そちらの育成を完全に捨てている俺ではレベルの近い敵にはまず当たらない。

 それが当たるという事は、このファイアボール的なのは見た目通り魔法攻撃って事になるな。言わば、あきらのスカイフォールが発する衝撃波と一緒だ。

 つまりこういう効果のサークルだと――これは結構いいんじゃないか?

 少なくともさっき素材狩りをしている時にこれがあったらスライムを倒せていた。

 つまり、足りていない紋章術師のソロ活動能力を補う効果はあるわけだ。


「なるほどな――よしもう一発!」


 ボウゥッ!


 蓮の攻撃。アーズワース・ドールに66のダメージ!


「おおーー! いいねえ!」


 ボウゥッ! ボウゥッ! ボウゥッ!


 蓮の攻撃。アーズワース・ドールに66のダメージ!

 蓮の攻撃。アーズワース・ドールに66のダメージ!

 蓮の攻撃。アーズワース・ドールに66のダメージ!


 エミリー達が出しているダメージに比べれば決して高くはないダメージだが、何もできないよりはずっとましだろう。

 似たような事はタレントで攻撃魔法を使えるようにすれば可能だが、デフォルトの能力でそれが出来るようになったのは大きい。

 その分を他のタレントに回せば、紋章術師としての総合力は増す。

 課題のソロ能力が改善されれば、ジョブの評価も上がるしな!


 俺が喜んでサークルから火炎弾を放ちまくっているうちに、エミリー達が二体のアーズワース・ドールを撃破していた。


「よし次行くわよ次!」


 走りながら、エミリーが俺に話し掛けてくる。


「今のが新魔法の効果? あの上に立ってると魔法の追加攻撃が出るようになるのね?」

「ああ――そうみたいだ! 結構いいと思う!」

「次はおいら達にもかけて欲しいコケ~。サークルを敵の近くに置いてくれコケ」

「そうね。その方が削りが少しでも早くなるし!」


 ココールの提案にエミリーが頷く。早速役に立つようで嬉しい!

 『エレメンタルサークル』で広がった戦闘の幅にロマン砲が組み合わされば、とうとう世間から評価を受けて、紋章術師がボンクラーズを卒業して大人気になるかも知れん!


「おうよ、任せとけ!」


 俺はウキウキと、エミリー達の少し後ろを進む。


「お! いたぜ次の奴――!」


 片岡が敵を発見する。


 フリーズリザード レベル78×3


 氷のような水色の表皮を持つ大トカゲだ。

 いいねえ、『エレメンタルサークル』の追加効果の炎がよく効きそうだ!


「さぁかかって来なさい!」


 エミリーが『名乗り』を発動しながら突っ込む。


「リュー! エミリーに付いて行け!」


 と指示しつつ、リューをターゲットに再び『エレメンタルサークル』!

 だが今度発動したサークルは、赤ではなく青い色をしていた。

 冷気のようなエフェクトもチラチラしている。


「んん……!? 炎じゃねーな!」


 そしてリューが近くにいるためサークルの上に乗った状態のエミリー達が、フリーズリザードに攻撃を仕掛ける。


 エミリーの攻撃。フリーズリザードに165のダメージ!

 エミリーの攻撃。フリーズリザードのHPが66回復した!


「あ――!? 回復させちゃった!?」


 フリーズリザードは名前の通り氷属性の吸収能力を持っているのだろう。

 そこに追加効果の氷ダメージを入れてしまうとこうなる。

 そうか『エレメンタルサークル』で発動する属性はランダムなのか……!?

 これはちょっと使い辛いな。

 属性を選べないので、今みたいな特定属性吸収の敵に当たると回復させてしまう。

 続いてココールや片岡も攻撃を開始してしまっていた。


 インフェルノアーマーの攻撃。フリーズリザードに87のダメージ!

 真一の攻撃。フリーズリザードに107のダメージ!


 あれ、ココールも片岡もサークルに乗ってるのに敵が回復しない?

 追加効果が出ていないみたいだぞ?


「リュー! 戻って俺の所に!」


 リューが動くと青い色の『エレメンタルサークル』も付随して動く。

 これがリューの持つ『ターゲットマーカー』の効果である。

 そして今度は俺がサークルの上に乗り――試しに武器を振ってみる。


 ピキィィンッ!


 今度は氷結弾が生まれて、フリーズリザードに当たった。


 蓮の攻撃。フリーズリザードのHPが66回復した!


 ああ今度は発動してしまった! みんなすまん!

 しかし、さっきココールと片岡が攻撃しても発動しなかったのはどういう事だ?

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