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第162話 夏休み

「ふぁぁぁぁ~~腹減ったな。母さんおはよう、朝メシちょうだい」


 俺は朝起きると、キッチンに立っている母さんの所に行き朝飯を要求した。

 母さんは寝ぼけてるんだか素なのか分からない、ふわ~っとした感じで俺を見る。


「あらぁ蓮ちゃん、いつもより遅くない? 学校大丈夫なのぉ?」

「大丈夫大丈夫! 今日から夏休みだから!」


 そう、ギルド対抗ミッションから暫くが経ち、もう一回期末のテストがあって、今日からは夏休みなのだ。


「今日も元気ねぇ。夏休みの予定はどうするのぉ? 蓮ちゃん」

「決まってる――時間に縛られずに思いっきりゲームするんだ!」


 夏休みの間は勿論だが授業は無い。

 が、UWアンリミテッド・ワールド自体へのログインは可能だ。

 しかも普段の強制ログアウト時間も無く、24時間解放というお祭り状態である。

 これはやりまくるしかない! やってみたかった検証をみっちりやる時間も取れる。

 普段の朝六時から夜十時までというログイン時間制限下では、どうしても攻略とかレベル上げが優先になって検証がおろそかになりがちだからな。

 やりたい検証の項目が貯まっているのだ!


「あははは。いつも通りって事ねぇ。で、朝ごはん昨日の残ったカレーでいい?」

「夏休み限定のイベントとかもあってさ。だからやるしかない! カレーよろしく!」


 夏休み期間限定のイベントもいろいろあるそうで、検証厨でなくとも色々やる事はあるだろう。

 朝飯を食ったら早速ログインして、あきらと待ち合わせの約束をしている。

 あきらのやりたい夏休みイベントか、俺のやりたい検証か――まずはその優先権を決定する所になるだろう。

 また訓練所でのデュエルで決着をつけるか……

 俺は母さんが出してくれたカレーを食べつつ、そんな事を考えていた。

 何気なくテレビをつけると、ニュースの時間だった。


『経済産業大臣の青柳氏が視察中に車両事故に巻き込まれ、足の骨を折る重傷です』


 そんなアナウンスが聞こえた。


「ん!? あきらのおじいちゃんじゃねーかこれ!」


 そうなんだよな、最近内閣改造だとかであきらのおじいちゃんが大臣になってたんだよ。

 政治家やってるって聞いてたけど、そこまで偉いレベルだとは――

 何気なくニュース見たらいきなり青柳って名前が出て来て、もしやと思って聞いてみたらそうだったんだよな。

 しかし大丈夫なのか――? 後であきらに聞いてみようか。


 少し遅い朝食を終えた俺は、速攻でUWアンリミテッド・ワールドにログインした。

 時間は待ち合わせの11時ぴったりだ。

 俺がギルドハウスの居間にログインすると、既にあきらがログインして待ってくれていた。

 置いてあるソファーに座り、リューを抱っこして遊んでいるようだった。


「おっすあきら! リュー!」

「あ、蓮くんおはよ~!」

「きゅ~れんおはよ~」


 リューもだんだん言葉が上手くなって行くな。

 大人の竜になったら口調も大人になるんだろうか。


「なああきら、ニュースで見たけどおじいちゃん大丈夫か?」

「あーうん。その事なんだけど――ごめん! おじいちゃん、命に別状とかはないけど入院になっちゃって――今日は一日わたしが付き添いに行く事になったの。お父さん達が家にいないから……だからすぐ帰らなきゃ――」

「あ、そうなのか。そりゃあ大変だな、早く行ってやれよ」

「うん。ごめんね、せっかく約束してたのに」

「いやいや、仕方ねえよ緊急の事だしな。でもわざわざ待ってなくても、メッセージなり送っといてくれりゃよかったのに――」

「んー……明日からはまた別の家の用事で、何日か来れないしね。今のうちに蓮くんの顔見とこうかな~って」

「いつも見てるだろ?」

「うん。逆にいつも見てるから、しばらく見ないと落ち着かなくなりそうかなって」

「そういうもんなのか――?」

「そうだよ。蓮くんも今のうちにわたしの顔よく見とかないと、暫く見れないからね~。見るなら今のうちだよ~?」


 つんつん、とほっぺたを突っつかれる。あきらが俺をからかう時にやるやつだ。


「やめろっての。ふっ、じゃあ見させてもらおうか――!」


 言って俺は、あきらのソードダンサー衣装の胸元をガン見した!

 相変わらず素晴らしい仕上がり具合だ――でかいし白くてきれいだ。


「ちょ……も、もう! そっちの事じゃないよおぉっ! うううう……恥ずかしいんだから――!」

「よし、めっちゃ見といたぞ! 大丈夫だ!」

「も~! ホントにわたし以外の人にこんな事したらダメだからね、ホントに捕まるよ? いい?」

「ああ、分ってるぜ!」

「ホントかなぁ……まあ、じゃあわたしもう行くね?」

「ああ、しっかりおじいちゃんのこと見ててやれよ」

「うん分かった。じゃあまたね~! 蓮くん!」

「おう、またな!」


 笑顔で手を振るあきらの姿が、半透明になって消えて行く。

 ログアウトして行ったのだ。

 さて、残されたのは俺とリューの一人と一匹だけだ。

 前田さんも矢野さんも用事あるって言ってたからなあ。


「さてどうするかなあ。予定が無くなっちまったな――」


 検証しようにも、あきらの手も欲しかったからな……

 ならちょっと、一人で夏休みイベントを見てみるか――?

 ああそれに、紋章術師用の新魔法がつい最近アップデートで追加されたんだよな。

 まだ取ってないし、それを取りに行くか? 新魔法とかワクワクするしな。

 紋章術師はボンクラーズの王だけに、使い勝手微妙な魔法かも知れないが――

 だが自分のジョブのものである以上、取らないわけには行くまい!


「ようし……たまにはソロで魔法取りにでも行きますか――! 行こうぜ、リュー!」

「きゅ~おでかけおでかけ~!」


 俺はリューを肩に乗せて、ギルドハウスを出た。

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