第160話 最後の手段
「ならば――『インフィニティリバース』!」
ボレアスでのインフィニティリバースが来た!
雪乃のインフィニティリバースが発動。
コキュートストレントはガード。77のダメージ。
コキュートストレントはガード。73のダメージ。
コキュートストレントはガード。75のダメージ。
コキュートストレントはガード。72のダメージ。
コキュートストレントはガード。77のダメージ。
コキュートストレントはガード。74のダメージ。
コキュートストレントはガード。76のダメージ。
削りの速度は速くなったか――!
だが、ヤツ自身はノックバックしてくれない。その場に踏みとどまったままだ。
強ノックバックも無効なのか――!
そして更に――
「グケケケケケーッ!」
コキュートストレントの身体がキラキラした光に包まれる!
コキュートストレントは日光浴を発動。
コキュートストレントのHPが1348回復!
一気にHPバーが満タンまで戻る!
「!? 回復技かよ!」
ヤツ自身攻撃はして来ていないが、こちらの攻撃のダメージ与えているので被弾APが溜まっているはずだ。
それを使用して回復とは――!
これじゃあ、いくら攻撃してもHPが減らせん……!
今の感じは、こちらの与えるダメージと、ヤツの獲得する被弾APによる回復が均衡してしまっている。
手数を少なくして与えるAPを減らしてヤツを削らないと!
「グケケケー! グケケケケケーッ!」
更に奴らに動きが!
日光浴を発動した両サイドのコキュートストレントの目が、サーチライトのように光ってこちらを照らしたのだ。
コキュートストレントはアンチマジックライトを発動。
蓮にかかっている特殊効果が消え去った!
雪乃にかかっている特殊効果が消え去った!
「うっ……! 強化の解除か!」
「そうみたいっすね!」
俺達は眩しさに目を細めながら言い合う。
俺達を照らしたのは、日光浴をやったヤツの左側に立っている個体だ。
右側の奴も、同じように発動していた。
それが、あきらと聖澤先輩に向かう!
「あきら! 装備戻せ! 見えるぞ!」
こっちが先に来てくれてよかった。あきらに警告することができた。
「装備変更、セットC!」
あきらがコールした直後、直後に光が当たる。
コキュートストレントはアンチマジックライトを発動。
あきらにかかっている特殊効果が消え去った!
愛子にかかっている特殊効果が消え去った!
光に包まれたあきらの姿は元に戻る。
だが、装備変更が間に合って制服姿だった。
ふー! あぶないあぶない!
「蓮くんありがとう!」
「ああ!」
しかし、俺達が攻撃していた個体の両横がアンチマジックライトを発動してきた。
一体の回復に合わせて両横がアンチマジックライトを撃つ仕組みか?
しかし――今度は更にその横の個体の目が光り出す!
うわ、連続で全員がアンチマジックライトを撃つのか!?
これじゃあ、あきらがもう一回変身してもまたすぐ解かれる――!
フロイのコキュートスフォウルの発動まで30秒!
だーーー! まずい!
しかし攻撃力強化も消えた今、ますますこいつは削りにくくなってる!
ガードされてしまえば、俺の奥義ですらこいつを削り切れない。
どうする――!? どうする――!?
あああああ! 考えれば考えるほど答えが一つしかないんですが!?
「蓮! あきら! 今のうちに行っとくコケ~~~! 二人に選んでもらってよかったコケ~~~! ありがとう、バイバイだコケ~~!」
魔法陣に捕らわれて動けないココールが声を上げた。
「ココール……!」
「ココールくん――!」
「雪乃ーーーー! ボク楽しかったよ! ありがとねーーー!」
「ミコット! まだ諦めるな!」
「あ、愛子さん! 僕も……! いろいろ変な事もさせられましたけど、お世話になりました――! 感謝しています!」
「アルフレッド君――あ、悪役に感謝なんかいらないからっ!」
ダメだこれじゃ別れのシーンだ! そうはいかんぞ!
鬱展開は嫌いだからな、鬱フラグは全力で折りに行くべし!
そしてそうなると、ここはもうアレしか――!
「あきら! ヤバいのは分かってるけど、こうなったら――」
「うん分かってるよ蓮くん! このまま黙ってられないもん!」
アンチマジックライトが降り注ぐ中、あきらは高らかに叫ぶ。
「装備変更、セットB!」
そして現れたのは――『エンジェルチャーム』を装備したあきらだ。
いつものことながら、いいものなのだがあきらの家の人が見てるのに晒すのはかなりヤバいらしい。
だが――今はもうこれを使うしかない!
正直防具としての防御力もレベルの上がった今では心許ないのだが、『エンジェルチャーム』にはそれを覆す性能がある。
そう、ガード無効だ! ヤツの鉄壁のガードも『エンジェルチャーム』を装備したあきらには無力!
「行くよ蓮くん! 後に続いて! 雪乃さん! 聖澤先輩も!」
あきらが先程のコキュートストレントに肉薄する!
雪乃の攻撃。コキュートストレントに140のダメージ。
雪乃の攻撃。コキュートストレントに152のダメージ。
雪乃の攻撃。コキュートストレントに144のダメージ。
うん、通常攻撃が思いっきり通っている!
更に――
「行くよ! 奥義『エリアルクレセント』っっっ!」
三日月エフェクトの掬い上げの一撃が、コキュートストレントをドームの天井付近まで打ち上げた。
そして二段目の三日月型の剣閃を撃ち込む!
更に二刀流効果でもう一段の追撃。
三日月エフェクトで隠されているが、スカイフォールの衝撃波も当たっているはず。
大ダメージになるはず、それに何より――
「今だよ! 通り抜けて!」
そう、敵を持ち上げてくれたので壁に穴が開いた!
ナイスあきら! これで戦況は劇的に動くぜ!
俺と雪乃先輩と聖澤先輩は、敵の防壁を突破していた!
「グケケケケケーッ!」
囲みの中に侵入を許すと、コキュートストレント達はそれまでのガード一辺倒で動かないという動作を止め、俺達を排除しに攻撃に出てきた。
「どいてなさい! サイクロン・サーーーーイズッ!」
聖澤先輩のアーツが発動!
巻き上がるサイクロンが、コキュートストレント達を吹き飛ばした!
ガード専念してなけりゃノックバックも効くわけだ!
「奥義『インフィニティリバース』!」
雪乃先輩が『インフィニティリバース』をフロイに放つ!
「ちいぃぃぃぃっ!」
フロイはガードして『インフィニティリバース』を組み止める。
ガード削りは発生しているが、やはりガードされるとそこまでのダメージは出ない。
一発50程度の削りダメージか。やはりフロイはコキュートストレントより固い!
「背中ががら空きだよ~♪ バッサリ行くから! 奥義『ダブルクロス・リーパー』!」
Xを二つ重ねた軌道の四段攻撃の奥義!
それがフロイの背中側から炸裂した!
愛子のダブルクロス・リーパーが発動。フロイ・ヤシンに1640のダメージ!
「ぐううううぅぅぅっ! てめえぇぇぇ! 背中から斬るとは卑怯モンが!」
「ふっ――私達にとって卑怯は誉め言葉っ! 誉めてくれてありがと~!」
それを見ながら俺もスキルを発動していた。
「『ファイナルストライク』! からの奥義――!」
抜き放った仕込杖を上に放り投げる! そしてジャンプ!
眼下では背後から攻撃を受け仰け反ったフロイに、ガード中だった『インフィニティリバース』も直撃し始める!
雪乃のインフィニティリバースが発動。フロイ・ヤシンに187のダメージ。
雪乃のインフィニティリバースが発動。フロイ・ヤシンに187のダメージ。
雪乃のインフィニティリバースが発動。フロイ・ヤシンに187のダメージ。
雪乃のインフィニティリバースが発動。フロイ・ヤシンに187のダメージ。
雪乃のインフィニティリバースが発動。フロイ・ヤシンに187のダメージ。
雪乃のインフィニティリバースが発動。フロイ・ヤシンに187のダメージ。
まだまだ続く――!
「喰らええぇぇぇぇ! 『下り青竜』っっ!」
蓮の下り青竜が発動! フロイ・ヤシンに5735のダメージ!
「ぐああああぁぁぁぁっ!? てめええぇぇぇ!」
一気にHPバーが半分以下まで削れている!
フロイのコキュートスフォウルの発動まで15秒!
まだまだ! 時間も無い! このまま一気に持って行く!
俺は最速で仕込杖を再合成し直して装備する動きに。
その間も雪乃先輩がさらなる攻撃を繰り出す。
「はああぁぁっ! 奥義『シューティングスターラッシュ』!」
『インフィニティリバース』の効果中の上、更に光り輝く連続蹴りを合わせて行く!
ダメージログが洪水の様にウィンドウに流れまくる!
俺は一撃大ダメージのみを突き詰めたロマン砲だが、雪乃先輩はとにかくラッシュで攻めるスタイルだな! これはとんでもない手数だ!
無論トータルな削り能力もえぐい事になっている。
フロイのコキュートスフォウルの発動まで5秒!
だがまだ、フロイを削り切れない!
聖澤先輩も攻撃を加えているが、まだもう一手欲しい!
俺は準備を整え、フロイに突進していた。
そこに必ずあきらが――あきらなら――
「蓮くん! 『剣の舞い』!」
あきらの剣の舞いが発動。蓮の全てのスキルが再使用可能になった!
うむ、来るって分かってた! 流石マイベストフレンド!
『エンジェルチャーム』で踊ってる姿もガン見しておきたかったが、今は見てる暇すら惜しい。完全にノールックでの連携だった。
さぁ最後の一発は、俺が頂くぜ!
俺は腰を落として構えを取り、『仕込杖』のトップを捻って刀身を抜き放つ。
「最後だ! 奥義『デッドエンド』ーーーーっっ!」
ズシャアアアアアアアァァッ!
紫色の光が一閃し、フロイの身体を斬り裂いた。
蓮のデッドエンドが発動。フロイ・ヤシンに4279のダメージ!
蓮はフロイ・ヤシンを倒した。
「ぐうぅぅぅぅ……! て、てめぇ――! やるじゃねえか、褒めてやらあ……!」
言いながらフロイは倒れて、体が点滅するとそのまま消えて行った。
同時にコキュートスフォウルの魔法陣も消えた。
「こ、コケー? も、もう動けるコケーー! 助かったんだコケーー! みんなありがとうだコケーーーっ!」
よかったよかった、間に合ったみたいだ。
「ふー……何とかギリギリ間に合ったなぁ」
ほっと一息つく俺に、あきらが駆け寄ってくる。
「やったね、蓮くん! ココール君達無事だよっ!」
「ああ! やったな!」
ハイタッチ!
「ああ、でもあれだなー……結局隠せなかったなぁ……」
エンジェルチャーム姿俺は好きなんだがなー。
これが問題になるんだなー。あきらの家だと。
「まあ、仕方ないよ。あそこはこれしかなかったもん。後悔はしてない!」
あきらは笑顔でそう言った。
うーん、やはりマイベストフレンドはいい娘だなー。
俺はしみじみそう思うのだった。
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