第156話 最終戦開始
『さてさてやって参りましたギルド対抗ミッション最終決戦! 今年は初の試みとしてNPCの育成要素を盛り込んだ『英雄育成』イベントを行ってまいりましたが、果たしてどの英雄が頂点に立つのか!? それを今から決めてみましょう! さぁ最後に残った英雄はこいつらだ! 出てこいやあぁぁぁぁっ!』
仲田先生の威勢のいい実況が、会場に響く。
ここは先程までのバトルロイヤルを親達が見ていた観客席である。
スタジアム型になっており、中央にはファンタジックな大モニターがデンと四方に向いて配置され、皆それを仲田先生の実況付きでお楽しみ頂いていたらしい。
そして今仲田先生の呼び込みと共に、モニターがすうっと消えて無くなり、代わりに円形をした石のリングがゆるゆると地面からせり上がって来た。
ドンドンドンドン! バシュウウウゥゥゥ!
爆発、発煙そして花火!
プロレスの演出っぽい感じだな! 実況もそれっぽいし!
そしてせり上がって来たリングの上には、四人の英雄候補NPCが!
ココール、ブルーノ、ミコット、アルフレッドの四人である。
わあっと歓声が上がり、彼らを包み込む。
この面子は、きっと意外な組み合わせに映るだろう。
多分ココールとブルーノさんが外れて代わりにセルフィとクジャータさんあたりが入っていれば順当と言われただろうな。
セルフィは所属球団が育成方法を誤ったばかりに――
クジャータさんは惜しかったんだよな。5位だったから。
しかも4位のほむら先輩達とは3ポイント差。
ココールに撃破されてなきゃここに残れたんだよなー。
ココールはクジャータさんの分も鳥人種代表として頑張らないとな。
「ココール! がんばれよーーーー!」
「ココールくーーん! 勝てるからねーーー! 自分を信じてーーー!」
俺とあきらは、リングサイドすぐ側の関係者席からココールに声援を送った。
「「「「にいちゃーーーーん! ファイトだピヨ~~~!」」」」
弟のぴよぴよ達も気合入ってるな!
ココールは俺達に視線を送ると、きりっとした表情で頷いた。
おう、いいねビビってない! クジャータさんと戦って、自信付いたな!
もはやココールは覚醒したと言っても過言ではあるまい。
さぁ優勝して、早く俺に言わせてくれよ――!
あの一言を――! あの伝説の台詞を――!
滅茶苦茶楽しみにしてるからな!
「ドゥフフフ……」
「!? あははは……蓮くん早くもココールくんが優勝する気満々だねー」
「お? 何故分かった!?」
「いや分かるに決まってるよ~……その怪しい含み笑いは、ココールはワシが育てたって言いたくて仕方ないって顔だもん。それを想像して既に気持ち良くなってるんだよね?」
「ふーむ。その通りなんだが、そんなに分かりやすいか?」
「うんうん。だってね、わたしも言いたいもん!」
キラーン! とあきらの目が輝く。
なるほど気が合いますね!
「ココールくんが強くなってくれて嬉しいから! 初め見た時は心配だったけど!」
初見は他の鳥人種にいじめられてる図だったな――
あきらはそれに大層ご立腹だったな。本気で怒ってた。
もうあんなことは起こるまい――ココールは強く成長したからな。
「「「「師匠~! 兄ちゃんは勝てるピヨか!?」」」」
すっかりぴよぴよ達の中で俺は師匠ポジションになったらしい。
いつかお前たちもワシが育てたさせてくれるなら、喜んで師匠になるぞ!
「ああ勝てる! 何せココールはまだ切り札を残してるからな」
「うんうん、絶対勝てるから安心してて♪」
あきらが嬉しそうにピヨピヨをなでなでしている。
やはり可愛いので触りたいらしい。
「そうですわよ、お兄様を信じなさいな」
「凄い切り札だからね」
「よゆーだからよゆーで見てりゃいいですし」
赤羽さん前田さん矢野さんも話に入って来て、ピヨピヨをなでなでしていた。
皆触りたいんだな。
ピヨピヨの魔力は凄いな。俺ですら可愛くて撫でたくなるレベルだからな。
女子陣が我慢できるはずもないって事か。
だが俺の一番はやはりリューなので、俺はリューを抱っこしておく!
ちなみに最終決戦の内容だが、俺達が全員リング外にいる事からも明らかなように、各ギルドの英雄候補のみによる一斉バトルだ。
対人厨の雪乃先輩は自分達も参加したがったが、俺はNPCのみによるバトルロイヤルを提案した。確率的にそれが最も勝ちやすいと踏んだからだ。
アルフレッド君の所のロリッ娘ギルドマスターの聖澤先輩はどちらでもと言い、ほむら先輩は俺の意見に合わせてくれた。
なのでNPCのみが二個、プレイヤー込みが一個のくじを仲田先生に引いてもらい対戦方法を決めた。結果確率的に順当になり、NPCのみの最終決戦となった。
不確定要素が最小になるバトルだ。
やはり関わる人数が多いほど、不確定要素が紛れ込みやすくなる。
NPCのみのバトルなら、ココールがデッドリー・キングを呼べば勝てる!
一撃で他三人を全滅させてハイ終了、って感じだな。
『さぁそれでは決勝戦――! レデイイイィィィィ――ゴオオオオォォォォォーッ!』
仲田先生の声が、高らかに鳴り響いた!
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