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第155話 未来志向

「「「「にいちゃーーーーん、カッコよかったピヨーっ! すげーピヨ~!」」」」


 バトルロイヤルを終えて桟橋に戻ると、ココールの弟のぴよぴよ達がココールを熱烈に迎えていた。

 クジャータさんを撃破する活躍を見せたココールを、尊敬の眼差しで見つめている。


「ははは。運がよかっただけコケよ~」


 と、照れくさそうにしているココールだった。

 そこに頭上から影。ココールが見上げるとそこにはクジャータさんがいた。

 クジャータさんは着地すると、ココールの丸い肩をポンと叩く。


「運も実力のうちと言う――お前は立派に私に勝った。それが結果だ。よくぞここまで成長した。同じ鳥人種(バードマン)として強い若者が現れてくれた事は喜ばしい。いつか名実ともに私を超えてくれ」

「あ、ありがとうだコケー……」

「ではな、敗者はべらべらと喋らぬものだ」


 クジャータさんはそう言い残すとさっと立ち去って行く。

 うーん潔い。武士だなクジャータさん。


「本当によくやったコケな~! 父ちゃんも鼻が高いコケ~!」

「見違えたわコケ~。母さんも嬉しいコケ~!」

「こりゃあ帰ったら祝いのパーティーだなコケ~! お前はコケ族の英雄だコケ~!」

「ええ! 盛大にお祝いしましょうコケ!」


 俺も渾身の魔改造が炸裂してくれて満足だぜ!

 みんなも喜んでくれて何よりだ。


「父ちゃんも大げさコケな~。まだ予選突破しただけコケよ? それにホントに凄いのは蓮だコケ、おいらみたいなのを真っ先に見つけて引き受けてくれて、ここまで鍛えてくれたコケ~」


 ココールがそう言うと、ぴよぴよ達が一斉に俺を見た。


「「「「師匠~! おいら達も強くしてくれピヨ~!」」」」


 纏わりつかれる。うおおおーー。可愛い!


「お? そうか、じゃあ第二回があったら俺のとこ来るか? プリンセススカルリングは置いといてやるぞ」


 俺はぴよぴよ達をもふもふしながら応じる。


「高代君――!」


 と、俺の袖を引く赤羽さんが。


「ん? なんだ?」

「何だではありませんわ! 約束でしょう、あきらさんに説明するのを手伝って下さるのでしょう……!?」

「ああ、そうだったなぁ」


 いまさらあきらが怒るわけもないし、ニコニコ笑顔で受け入れてくれるだけだろ。

 軽く実はそうでしたーって言って、一言謝っとくだけで十分だろうに。

 何をそんなに脅えてるんだか――


「じゃあ行くか――」


 前田さん達と話してるあきらの所に。

 赤羽さんは、俺の背中に隠れるようについてくる。


「おーいあきらー」

「なーに蓮くん?」


 笑顔で振り向くあきらだが、俺が話を始める前に、更に横から声を掛けられていた。

 あ、あきらの家で働いてる人だな。有馬さんだったな確か。


「お嬢様! お疲れさまでした――!」

「あ、有馬さん」


 あきらはそう応じながらこっちをチラッと見て、意味ありげな目配せをしてくる。

 ばれなかったね、よかった。と言いたいのだと思う。

 ミミックファンのおかげで、うまい事あきらの姿を隠しながら乗り切れたなー。

 前田さんが白兵戦以前の飛空艇バトルで敵船を沈めまくってくれたから、白兵戦自体そこまで多く発生しなかったし。

 まま、無事に楽しみつつ乗り切れそうで何より。


「ゲームの中とはいえ、迫力がありましたので見ていて楽しめました。参観をお許しいただきありがとうございます」

「いえ、気に入っていただけたのなら嬉しいです」

「ええ。それにお嬢様はとても楽しそうで、輝いておられたように思います。私はあんなにも楽しそうなお嬢様は初めて見ました」

「ふふっ。普段は猫を被っているって言いたいんですか?」

「はははは。滅相も無い」


 と、和やかなセレブ的なトーンの会話が。

 ふーん。リアルのあきらってこうなんだなー。

 何かすげぇな、貴族っぽい!

 と、有馬さんがこっちを見た。

 やや警戒感のようなものを帯びた瞳と目が合った――と思ったら違った。

 この人は俺の背後の赤羽さんを見ていたのだった。


「ですが……よろしいのですか? そちらは赤羽家の希美様かと思うのですが……」


 家同士、仲悪いんだっけか。

 そのせいであきらと赤羽さんも始め微妙な感じだったもんな。

 あきらも一緒に赤羽さんを見る。

 赤羽さんが、ちょっと緊張したように息を呑むのが分かった。

 有馬さんに睨まれたとかはどうでもよくて、スカーレットであることを黙っていたせいで、あきらに怒られはしないかと脅えているのだろう。

 本当にとてもとてもあきらと友達になりたいみたいだからなー、この娘は。

 そしてあきらが口を開く――


「家がどうこうとか、関係ないんです。わたし達友達だったんです。友達だった人がたまたま希美さんだっただけで――仲良くなれる事が分かっているのに、しない理由もないですよね? だからいいんです。ね、希美さん!」


 にこっと明るい笑顔。

 うん、やっぱりあきらならこうだよな。

 怒るわけないって俺は分かってたよ、付き合いが長いですから。


「そ、そうですわ……! それにこれまでが関係が悪かったとしても、これからもそうだとは限りませんのよ? わたくし達若者は、未来志向でしてよ!」


 ふぁさっ! と髪をかき上げお高く決めたつもりだろうが、余程嬉しかったのか安心したのか、口元が半笑いになってるぞ。


「はははは。私もまだ二十代の若者と言えば若者なのですがね――」

「自分でそう言う人って、多分もう若者じゃないんだと思いますよ?」

「そうでしょうか? これはこれは――ですが了解いたしました。出過ぎた事を申しました。お許し下さい」


 さてさて、次は優勝決定戦。本当のファイナルバトルだな――!

 ちなみにベスト4に残ったのは――

 俺達悪魔の仕業(デモンズ・クラフト)

 成長率No1のアルフレッド君がいる悪役中の悪役(ヒール・ザ・ヒール)

 雪乃先輩の神秘の武技(ミスティック・アーツ)

 ほむら先輩の全覧博物館(グランミュージアム)

 である。

 成長率No1のアルフレッド君が上がってくるのは順当か。

 全体で一二を争うほどの実力の英雄候補NPCであるミコットがいて、更に構成員がバリバリの対人厨である雪乃先輩のところも順当。

 ほむら先輩のところはNPCが初期レベル7か8くらいのおっさん商人キャラのブルーノさんだから、割と驚き。

 そして俺達はあの最弱のココールを選んだのに――!

 って事で凄い驚きだろうな。


『はいそれでは! 最終決戦に残ったギルドは本部席に集合してくださーい! 最後の対戦方法を決定します!』


 そう仲田先生のアナウンスが。

 さーて、最終決戦行くぞ!

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