表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

153/256

第152話 フルアーマーココール

「よし行けココール! お前の力を見せてやれ!」


 ここはココールの成功体験ってヤツのために、ココールがクジャータさんとタイマン張るのを見守ることにしよう。


「む、無茶だコケ、蓮! おいらじゃとても――」

「いいや、やれる! お前も成長してるんだ、思いっきり試してみろよ! 家族も見てるんだろ? いい所を見せてやれ!」

「け、けど蓮――じ、自信ないコケ~……!」

「勝負は単なるステータス比べじゃねぇんだ。弱かろうが頭使って考えて、結果的に相手を上回ることもできる! 少なくともこの状況なら、打てる手があるはずだぜ! お前なら分かるはずだ――!」

「こ、この状況コケか……?」


 ココールの頭は決して悪くない。

 商才あるからな、商才あるヤツの頭の回転が鈍いわけがない。

 だから確かにステータス的には不利だが、打ってみるべき手も考えつくはずだ。

 まあ、いきなりデッドリー・キングという邪道もあるが――もしここで浪費したとしても、文句は言うまい。

 ここで自信をつけるのは、ココールにとって必要な事だろうからな。


「赤羽さん、降りるぞ!」


 俺は赤羽さんを促して、フロストイーグルの背からアサルトアンカーの上に降りた。


「クジャータさん、俺達は見てるぜ! 思う存分やってくれ!」

「おうっ! ココール、お前が彼らの下で得たものを見せてみろっ!」


 クジャータさんが翼を強くはためかせ、ココール向かって空を駆ける。


「コケーッ!?」


 ココールはフロストイーグルの手綱を操り、その槍の一撃を回避した。

 うん、なかなか機敏な動き。鳥同士だから意思が通じやすいのか?


「逃さんっ!」


 空中での追いかけごっこが始まる。

 クジャータさんは突っ込んで槍の一撃を見舞おうとする。

 ココールはそれをかわして間を取って、フロストイーグルの吐く氷ブレスで攻撃をしようとする。

 機動性はクジャータさんの方が上か!?

 だが、ココールも十分応戦できている。

 俺はその様子を、腕組みしてジッと見守っていた。

 頑張れココール! ここで必ずしも勝つ必要はない。ポイントなら俺達が稼ぐ。

 ただ、自信をつけてくれ! お前はやれる!

 自信ってヤツを俺がつけさせてやることはできないからな。

 お前自身がやるんだ!


「らしくありませんわね? 先程はスノウが一対一を望んでいたのを敬遠しましたのに」

「それはそれだぜ。時と場合によるからな。今はこれが必要なんだと思う」

「……邪魔をする者がいましたら、わたくし達で止めましょう」

「ああ」


 そう言ってくれるあたり、赤羽さんも納得してくれているようではある。

 そして、ココールとクジャータさんの空中戦が決定打のないまま進み――


「――見切った!」


 クジャータさんは不意にそう叫ぶと、フロストイーグルの吐く氷ブレスを避けずに、真っ向から突っ込んだ!

 ブレスのダメージを無視し、そのままフロストイーグルに対して槍を放つ。


「奥義! 『雷電回天衝』ッッッ!」


 まっすぐに突き出した槍を軸に錐揉み回転しながら、高速で突撃!

 そして槍は青白い稲妻を纏っていた。

 まるで、真横に稲妻が一閃するような、強烈な一撃だった。

 高速回転しながら槍で突っ込むなんて動きは、飛べるクジャータさんならではだな。

 疾走する稲妻と化したクジャータさんが、フロストイーグルの胴を撃つ。


 キュオオオオッーー!


 フロストイーグルが叫び声を上げる。


「いけませんわ! フロストイーグルが!」


 HPバーが一気に削られていた。

 ココールはまだ無事だが――フロストイーグルなしでは飛べない!


「ふ! こいつは氷のブレスを吐く瞬間、動きが止まる! そこを突かせてもらった!」

「なるほど、肉を切らせて骨を断つだな――!」


 撃破されたフロストイーグルが透明に点滅し、消滅して行く。

 結果ココールが空に放り出される。


「コ、コケーーーッ!?」


 飛べない翼をばたばた。

 ちょっとだけ空中での軌道修正に成功し、ココールは何とかアサルトアンカーにしがみついた。


「いいぞ! 粘れ!」

「だが隙だらけだ! 落とさせてもらう!」


 落ちないのに必死なココールにクジャータさんの槍が迫る!

 このままでは落とされる! だが、まだ――!


 ドガアァッ!


「ぬううぅぅっ!?」


 ココールを突き落とす寸前でクジャータさんが大きな鉄の拳に打たれ、吹っ飛んだ!


「よし! いいぞ!」


 ココールが次のモンスターを呼んだのだ。

 中身ががらんどうの大柄な全身甲冑、いわゆるリビング・アーマー系のモンスターだ。

 全身オレンジ色の派手な色をした、インフェルノアーマーというレベル79のモンスターである。これでココールの残り傭兵モンスターは四体だな。

 だがここでデッドリー・キングに頼らないあたりは、ちゃんと冷静に考えられている証拠だろう。パニックになれば、頼りたくなってしまうものだろうから。


「引っ張り上げてくれコケー!」


 ココールの指示に従い、インフェルノアーマーはココールの体をアサルトアンカーの上に引っ張り上げた。

 デッドリー・キングには及ばないかもしれないが、このインフェルノアーマーはかなりココールと相性がいい。俺的にはオススメのモンスターである。

 それはなぜかと言うと――


「よし今だ! 合体だコケー!」


 こくこく、と中身のない無いインフェルノアーマーが頷いて――

 ボンっとバラバラに分解して滞空する!

 そして――


 ガシャンガシャン! ガチャン! ガキイィィィィン!


 かっこいい金属音を立てて、各パーツがココールの体を覆って行く!

 元々の体型が全然違うが、そこは空気を呼んで変形までするのである。

 そして、ココールの丸っこいコケ族ボディが、完全なフルアーマーに包まれた!

 フルアーマーココールの完成である!

面白い(面白そう)と感じて頂けたら、↓↓の『評価欄』から評価をしていただけると、とても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ