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第150話 連環の計?

 そして、乱戦の戦場に到達する直前――俺達は甲板に出た。


「フロストイーグル! 来てくれコケ~!」


 ココールがそうコールすると、どこからともなく青い翼の大鳥が飛来した。

 そして、ココールの側に寄り添うように着地する。


 クエェェェェ!


 嘶くように鳴き声を一つ。

 おお、何かやる気あるっぽいな! 任せておけ! って言ってるみたいだ。


「よし、おいらたちを乗せてくれコケ~!」


 そして俺達三人は、フロストイーグルの背中に飛び乗る。


「よし、後で合流するからな! もしくはやられたら船に戻るからよろしく!」

「分かったわ! こっちも上手くやるから!」

「そっちもがんばるですし!」

「ココール君、しっかりね! 大丈夫だよ、できるから!」

「わ、分かったコケ~!」


 俺達遊撃隊は、ピーチサンダー号の甲板を飛び立った。

 眼前ではあちらこちらで砲撃や魔法が飛び交い、飛空艇の甲板では白兵戦も繰り広げられているのが見える。うーん盛り上がってるな!

 しかし赤羽さんはそんな熱い光景をガン無視して、おろおろしていた!


「ど、どどどど――どうしましょう……!? わたくしがスカーレットであることが、あきらさんにバレてしまいましたわ……!」

「いや、まだそこ引き摺ってんのかよ!?」


 さっきはあきらの目がある以上、態度を取り繕っていただけなのか。

 内心の動揺が態度に出ないところは偉いが、内心で狼狽え過ぎだろ!

 表面上はガッツリ上流階級のお嬢様してるが、中身が豆腐メンタル過ぎるな!

 しかもドジっ子属性も持ってると来た。手のかかるタイプですなあ。


「それは後で考えるとして、今は敵を倒しに行こうぜ! しっかりしてくれよな」

「で、ですが高代君……! あきらさんは怒っているのではありませんか? 何故言わなかったのかと――正体を黙って自分に近づいて、弱みを握ろうとしていたなどと誤解されたらどうしましょう……!? わたくし心配で心配で――」

「大丈夫だって! きっと喜んでるから、あきらは。後で一緒に説明してやるから、切り替えて切り替えて。な?」

「わ、分かりましたわ……よろしくお願いしますわね――」


 本当に不安そうである。どんだけあきらに嫌われたくないんだ――

 まあちゃんとフォローはしますけどね!


「蓮! どこにつけるコケか!?」

「そうだな――お!」


 と、俺の目に入ったのは三艇の飛空艇が一塊になった船団の様子だった。

 トライアングル型の飛行編隊を組みつつ、三角形のそれぞれの辺に当たる部分をアサルトアンカーで連結しているのだ。


「アサルトアンカーをあんな風に使うのもアリなのか――」


 三国志的に言う所の連環の計的なやつなのか? あれは――

 アンカーでお互いを繋いで隊列を組むことで、飛空艇の安定性を高めている。

 敵が来ても、側にいる二艇と共に砲撃の火力を集中して迎撃することができる。

 またアンカーを伝ってお互いの船を行き来することにより、戦力を一点に集中して敵に対し数的有利が作れる。

 あれは三つのギルドが同盟してるパターンだな。

 なるほどああいう陣形で密集して敵に当たることで、局面局面で常に数的有利を確保しようって事か。

 同じ同盟でも俺達とほむら先輩の所みたいなお互いに潰し合わないだけという同盟と、この三艇のようにがっつりシフトを組む同盟と、まあどっちもアリか。

 どういう方針を取ろうと、最終的にポイントの上位四ギルドに入ればいいわけだ。


「あれは三艇密集だから、人は一杯いるよな――」

「斬り込むおつもりですか? 流石に多勢に無勢ではないですの?」

「まともに行けばな――だけど、配置さえ上手くいけば大量点のチャンスあるぞ」


 三艇セットの船団は、今は自信の進行方向の右側の敵船に対して砲撃を加えている最中だった。プレイヤー達も右舷に注目しており、右側に位置する船に人も集まっている。

 左側と前側の飛空艇の甲板には人が手薄だ。

 これは狙い目かも知れない――!


「よしココール、左側の人が手薄な船の甲板に俺と赤羽さんを下ろしてくれ! お前はフロストイーグルに吹雪を使わせて攻撃な!」

「分かったコケ~! フロストイーグル、行ってくれコケ!」


 フロストイーグルが俺が指示した所に飛ぶ間、俺はシステムウィンドウを開く。

 そして奥義のエディットメニューを開くと、『デッドエンド』を『朱雀一閃』に置き換えた。これで現在アクティブな奥義は『下り青竜』と『朱雀一閃』だな。

 AP(アーツポイント)はまだあるため、どちらも撃てる状態ではある。


「着いたな――よし降りるぞ、赤羽さん!」

「ええ、よろしくてよ!」


 俺達は手薄な左舷側の飛空艇へと飛び降りた。


「こっちだ赤羽さん!」


 俺は甲板の端、アサルトアンカーの発射台に向かい、アンカーの上に登って立つ。


「背中を守っててくれ! 俺が背中から殴られないようにな! ココールも頼む!」


 俺達の頭上に浮いているココールとフロストイーグルに呼び掛ける。


「ええ!」

「了解だコケ!」


 そこに、左舷の船にいた敵プレイヤーが姿を見せる。


「こっちに襲って来たかよ――!」


 ん――?


「おおおぉぉぉぉー! 希美様あぁぁぁっ! それに高代か!」


 片岡かよ! そうかこれ、片岡のギルドだったのか――!

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