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第143話 アサルトアンカー

 で、目の前がブラックアウトして被撃破のログが出て、次の瞬間――

 ぱっと視界が切り替わり、目の前に前田さんや矢野さんの姿が。


「おっ!? 戻って来たか?」


 隣にはあきらやココールもいて、俺達三人はピーチサンダー号に再配置されたようだ。

 なるほどな、撃破されたらそれぞれの飛空艇上に復活なのな。

 じゃあ飛空艇自体が撃破されたらどうなるんだろう。

 まあ試してみたいとは思わないが――


「なるほどー。やられたらここに復活するんだね」

「コケー……恐ろしかったコケー……コケ族は飛べんコケよ~」

「……」


 まあココールは落下死じゃなくて、砲撃のダメージで死んだんだがな……

 遠目には落下死に見えただろうから、むしろカモフラージュになってよかったが。

 しかしポイントは-7だ。ここから巻き返さないとな。まだまだ時間はある!


「出だしで最下位になっちゃいましたし!」

「ここから巻き返せば問題ありませんわ、まだまだ始まったばかりです!」

「そうだな――止まると狙い打たれるから、いったん離れて……」


 衝突したピーチサンダー号とほむら先輩達に対するは砲撃はまだ続いていた。

 やや離れた位置から、いくつかの飛空艇がこちらに砲門を向けている。


「ええ分かったわ。急ぐわね!」


 操舵室に駆け込む前田さん。

 ほむら先輩達の飛空艇もかなりの損傷をしながらもまだ動けるようだ。

 俺達と距離を離すように、進んで行く。


「みんなも中に入ってね! 一気にニトロで離脱するわ!」


 前田さんの声に従い、俺達も中へ。

 ニトロ発動の時に甲板にいたら振り落とされて場外アウトだからな。


「行くわよ!」


 がっちょん!


 と同時に――船首の方向に巨大な何かが飛来した。

 先端に槍のように尖った金具の付いた巨大な鎖だった。

 鎖付きのアンカーか!

 それが、ピーチサンダー号に巻き付いてきたのだ。

 ガクン! と機体が揺れる。

 ニトロを発動したピーチサンダー号がこれ以上進まなくなる。


「くっ――! 進まないわ!」


 アンカーが巻き付いたせいで、動きが封じられたのだ。

 しかしこっちのニトロのダッシュ力を食い止めるとは――

 アンカーが伸びてきた先を見てみると、かなり大型の重戦闘モデルの飛空艇が、俺達と砲撃を加えてきた飛空艇達との間に割り込んで来ていた。

 そして四方にアンカーをぶち込んで動きを止めたのだ。

 向こうの船体の方が相当に大きく、馬力があるためニトロのダッシュも食い止められてしまったのだ。こっちは足は早いが小型高速艇モデルで、向こうを引きずるほどの力は出ないのだ。

 しかしこの光景、どこかで見たな――


「何か、初日の飛空艇襲撃イベントを思い出すね」

「ああ! そうか、それだな――」


 あの時もこんな感じで、敵がアンカーを伝って飛空艇に乗り込んで来たんだよ。

 で、乗り込んできたレアモンスターを倒すとあきらの愛剣スカイフォールを落としてくれたわけだ。


「って事はこれ、相手の飛空艇にぶち込んで動きを止めて、斬り込むための攻撃用パーツなのか――」

「砲撃戦拒否で、白兵戦に持ち込みたい人向けだね」

「アサルトアンカーという攻撃系の拡張パーツですわ。仰る通りの用途でしてよ」


 と、赤羽さんが補足。おお、知ってたのか。


「なるほど。そう聞くと、何かいきなりこれ使いそうな人に心当たりがしますなあ――」

「あはは……だねえ」

「ゆっきーの先輩ですし?」

「だな――! こんなに四方八方にぶち込んでも、各ギルドの人数は一緒なんだから大兵力で押し潰すとかできないのにわざわざやってるからな」


 兵数に圧倒的アドバンテージがない以上、アンカーで繋がった各船の間で白兵戦による乱戦になるだけで、必ずしも自分達の有利に働くとは限らない行動である。


「あえてそれをやるって事は、やりたいからやってるわけで――つまりそういう趣味としか言いようがない。あいつら、白兵戦が好きなんだ! となると雪乃先輩の仕業だろ」


 対人戦厨の集まりだからなー、雪乃先輩のギルドは。


「フフッ。スノウらしいですわね――!」


 と、赤羽さんが不敵に笑うのだが――

 え? いやそれここで言っていいのか!? マズくないか!?


「えええぇぇぇぇ!? 希美さんEFエターナルファンタジーの雪乃先輩のキャラ名知ってるんですか!? じゃあ希美さんもEFエターナルファンタジーやってたんですね!」

「え、ええと……その――」


 ほら速攻で喰い付かれてるじゃねーか!

 赤羽さんって何気に結構おっちょこちょいだよな……!

 こりゃもうスカーレットだってバレたも同然だな……

 まあ、最近仲良さそうだし、別に問題もないだろう。


「そ、その話は後でいたしますわ――! 今は、この戦いに集中しましょう!」

「そうだな、そうした方がいいぜ!」


 と、俺もフォローしておく。

 特にあきらも文句はなかったようで、何も言わなかった。


「前田さん! このまま反転して、向こうに突っ込もうぜ! アンカーのせいで逃げられないなら、逆にこっちから行ってやる。乱戦ならポイントを稼ぐチャンスもある!」

「分かったわ――! 行くわね!」


 前田さんが舵輪をぐるぐると回し、ピーチサンダー号は反転し船首を重戦闘モデルの飛空艇に向ける。


「突撃っ!」


 がっちょん! がっちょん! がっちょん!


 前田さんは一気にニトロのレバーを三連打で引いた。

 三重ニトロの超高速で、ピーチサンダー号は対象に突撃。

 船首のゴールデンドリルが見事にぶち当たった。


 蓮は420のダメージを受けた!

 あきらは420のダメージを受けた!

 琴美は420のダメージを受けた!

 優奈は420のダメージを受けた!

 希美420のダメージを受けた!

 ココールは420のダメージを受けた!


 またドリルアタックの反動が! しかも三重ニトロのせいでダメージ増してるし!


「コケー……! ああ……お星さまが見えるコケ~……」


 またココールがヤバい――! が、何とか死なずに踏みとどまる。

 死なずに済めばこっちのもので、一気にあきら達が回復をバラ撒いた。

 これでこっちは全回復!

 そしてピロンとシステム通知音。


 敵プレイヤーを撃破しました。悪魔の仕業(デモンズ・クラフト)の戦功ポイント+1。

 敵プレイヤーを撃破しました。悪魔の仕業(デモンズ・クラフト)の戦功ポイント+1。

 悪魔の仕業(デモンズ・クラフト)の合計戦功ポイントは-5です。現在40/48位です。


 お、今のドリルアタックで場外に吹っ飛ばせたか、HP削り切ったかでポイントがちょっと入った!

面白い(面白そう)と感じて頂けたら、下の『評価欄』から評価をしていただけると、とても嬉しいです。

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