第123話 最終バトル説明会
さて、俺達のレベル上げもゴールデンバニー祭りとなり、色々やったおかげでレベル上げはもう問題なさそうである。
そんな中、今日はギルド対抗ミッションの最終バトルの説明会だ。
場所は前回のドラフト会議と同じ、王宮内の礼拝堂だ。
各ギルド英雄候補を同伴して来いという事なので、ココールも一緒だ。
俺とあきらとココールの三人で
ココールの現レベルは65。セルフィは70なので、まだ追いついていない。
とはいえ一緒に上げていればそのうち抜くのは間違いない。
何せこちとらプリンセススカルリングで3倍速レベルアップだからな。
「ふーむ……よしよし、レベル的には他に負けてないな」
会場に向かいながら他ギルドのNPCのレベル表示を見るのだが、レベル60に到達しているNPCもかなり少ない。
ここまではセルフィのレベル70がマックスか。
あの子は元々ドラフト時点で62あったからな。
全NPCでも最高の初期レベルなわけで。
その有能なはずの子があんな事になっているのは、残念としか言いようがないが。
うん、いくらゴールデンルーキーでも行く球団によっては腐るってことですよね。
「ココールくん、行けるよ! 勝てるね!」
「いやーおいらのレベルはハリボテだコケ~。勝てる気しないコケ」
「大丈夫だ『ゴールデンイエロー・スウィーツ』はレベルさえあれば機能する。お前は自信満々で構えてなきゃダメだぞ。今までの俺とは違う! って感じでな? ハッタリが重要だ」
「コケ~? そうコケか?」
「ああ、勝つためには必要だ! ビッグマウスで行けよ。本番までには言動も見直さねーとな」
「まあ、とりあえず蓮くんの言う通りにしてみたらいいと思うよ? 多分責任は取ってくれると思うし。ね?」
「おう任せとけ! 今日で最終バトルロイヤルの仕様も分かるわけだし、レベル上げと並行して試合対策もそろそろ始めねーとな」
と、話し合いながら歩く俺達の進行方向に鳥人種が何人か集まって話しているのが見えた。
その中には鳥人種のリーダー的存在のクジャータさんもいた。
クジャータさんは片岡のところの知識の泉に行ったんだよな。
レベルは――68になってるな。元々55だったから結構上がってるな。
「ようクジャータさん! そっちも順調そうだな!」
俺が話しかけるとクジャータさんはこちらを向き――驚いて目を見開いた。
「! ココールのレベルが65だと……!?」
他の鳥人種達はココールよりレベルが低い。
現時点のココールは鳥人種では二番目のレベルだ。
これが本番では、レベルだけは一番高くなるだろう。
「馬鹿な……! あの弱虫ココールが――」
「信じられん、俺達よりレベルが上だと……!」
ココールを苛めていた奴らが、呆気にとられていた。
それを見て最もドヤ顔をするのは、ココールでも俺でもなくあきらだった。
「ふっふっふ……! もう君達じゃココールくんに勝てないんだから! 前みたいにココールくんをいじめようとしたら返り討ちだからね!」
びしいっ! と指を突き付ける。
怒ってたもんなー……前見た時。
まま、あきらのこういう所はいい所だよな。
「何ぃ……!」
「ココールのくせに――!」
ぎろりと睨まれて、ココールは俺の後ろに隠れてしまった。
「大丈夫だ。ビビらなくてもお前は成長してるよ」
レベル的にはな! ステータスは知らん!
とはいえスキルがあるから戦闘能力はちゃんとある。
だからビビらずに「もうおいらは今までのおいらじゃない、スーパーココールだコケ!」くらいは言って欲しいものである。
うん本番では言わせよう。
それでビビらせて向こうから手出ししにくい感じにするのだ。
正直本体のココールは弱いからなー。
攻撃はスキルで味方を召還するとして、本体が手を出されにくい空気を作らないと。
幸い外からステータスは見れないから、狙われなければ大丈夫だ。
バトルロイヤルらしいから、上手くハッタリを織り交ぜて本体が狙われるリスクを最小化して立ち回ってもらわないとだ。
「止めておけ。戦いたければ本番で戦えばいいだろう」
と、クジャータさんが他の鳥人種達を止めた。
そして、ココールの方に視線を向ける。
「よくここまでレベルを上げたな――凄まじい成長速度だ。驚いたぞ」
「コケ~おいらは何もやってないコケ。蓮たちのおかげだコケ~」
マジでレベル上げの時は基本見てるだけなのが困る。
まあ手の内を赤羽さん達にも見せないって事では、それでいいんだがな。
ココールの場合ギルドショップを回して資金稼いでくれるからな。
それで十分以上に働いている。
「ふふっ。本番の戦いが楽しみだ。私も油断はできんな。それまでに更に腕を磨いておけよ」
「コケ~。おいらに磨く腕なんかあるんだコケか……」
まあ、基本他力本願だからなー。ココールのスタイルは。
ココールが勝とうと思うとそれしかないと思う、正直。
「まま、お互いに楽しみにしてようぜ。よろしくなクジャータさん」
「そうだな。ココールをここまで育てて頂いて、同じ鳥人種として礼を言う」
「本番はもうちょい先だろ? それまでにクジャータさんもぶっちぎったレベルになってるぜ、ココールは」
「楽しみにさせて頂こう。ココールはそちらに引き取られて成功だったようだ」
「ま、成功かどうかは最終バトルの結果でな」
「ああ」
俺達は話を切り上げて、会場の礼拝堂に入った。
長机に長椅子が並んでいる場所。
また田んぼのミステリーサークルのように人の穴が出来ていた。
今回中心にいるのは、鉄仮面に下パン一のド変態にピンクの鉄仮面の可哀そうな子だ。
その光景を見た者はみんなこう思っただろう。
どうしてこうなった! と――
俺達は迷わず、端の方にいる雪乃先輩とほむら先輩の近くに座ったのだった。
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