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第121話 データは財産!

 俺の目の前にシステムメッセージが表示される。


 リューの成長段階が上がりました! 習得するスキルを選んでください


 よしキターーーーー!


「よっしゃ久しぶりに新スキル来たぞ!」

「おー! どんなのどんなの?」


 とあきらが覗き込んで来る中、俺はメッセージウィンドウを拡大する。


 リジェネレート(常時発動)

     <効果> 守護竜の近くにいるプレイヤーのHPが

          徐々に回復するようになります

          マスター以外のPTメンバーにも有効です

          回復量は1秒あたり5HPです


 ベビーブレス(戦闘中)

     <効果> 幼竜のブレスを吐き、マスターを援護します

          ブレスの対象は、マスターのターゲットと同じです

          本スキルによるヘイトは、マスターが引き受けます


 グローアップ(戦闘中)

     <効果> マスターのAP(アーツポイント)を消費して一時的に成長します

          成長後はマスターの指示した敵を攻撃するNPC扱いとなります

          敵の攻撃により撃破された場合、幼竜に戻ります

          消費AP(アーツポイント)200、効果時間900秒


 ドラゴンレコーダー(常時発動)

     <効果> マスターの活動を見届け、全ての行動のログを保存します

          保存したログファイルはシステムウィンドウから見ることができます

          また、ログファイルをゲーム外にエクスポートすることも可能です


「おおおおおぉぉ~!」


 俺は喜びの声を上げていた。

 これは一択だ、間違いない。さすがリューさんは役に立つなあ!


「おおっ! すごーい、これ面白そうだね!」

「いいね~でかくなったら絶対強いですし!」

「ええ、楽しみね!」

「守護竜らしくなりますわね」

「とうとうリューも戦えるようになるコケな~」

「だが待って欲しい! 可愛くて強くて、素晴らしいですね!」


 と、皆も喜んでくれた。

 よしじゃあ決定するか。


「よしじゃあドラゴンレコーダーで決定っと」


 ぽち。っと俺は選択した。


「「「「「「はあ!?」」」」」」


 と全員から変な顔をされた。


「いやいやいや! 必要だろこれ! これで検証作業が捗るじゃねーか! 本格的に試行回数を増やしてデータ取りするには必須だろ! ダメージ計算式の解析とかさ!」


 ダメージを与えたり受けたりしたログは、その日のうちはシステムウィンドウから過去ログを呼び出して見る事ができるが、一時的なものでログアウトしてログインすると消えている。

 そこを恒久保存できるようにするのがこのスキルだ。

 似た効果のログ収集用のタレントもあって、俺は本当は定期テストで稼いだMEP(メリットポイント)で今回獲得するつもりだった。

 それが守護竜効果でゲットできるのは美味しいな!

 本格的な検証には、大量のデータを集めてエクセルと睨めっこする作業が必須だ。

 俺はまだこのゲームのデータをエクセルで解析する作業ができていない。

 検証厨としては早くやりたいんだよ! というわけでゲットだ!

 選べるのに選ばない選択肢はない!


「クククク……! これで数千数万クラスのログ取りとデータ検証ができるようになるぜ!」

「あ、ダメだこれ! 欲しかった玩具を手に入れた子供の目だ!」


 あきらが何か言っているが俺はリューを抱きしめて可愛がっていた。


「よーしよしよし! ありがとうな、リュー。これから毎日お前が取ってくれたログを眺めて過ごすからな。マジで役に立つぜ、お前は」

「きゅー! れんのやくにたつ、うれし~」

「ま、まあ――検証厨にログ採取ツールを我慢できるわけがなかったって事かな?」

「そう! さっすがあきらは話が分かるぜ!」

「いや、いつも言ってるけど分かるんじゃなくて諦めてるだけだからね? まあいいや、じゃあ次行こ次!」

「おう! データは財産だ! 後で全ログ残るとなると、やる気も倍増しますなあ!」


 俺達は『空の裂け目』から出て、次に向かった。

 魔改造ピーチサンダー号と前田さんのドライブテクニックのおかげで、入り口を確保するのは難しくない。

 強制ログアウトのリアル午後十時まで、休憩をはさみつつレベル上げをし、この日は終了だ。


 それから数日――

 翌日以降も授業後のレベル上げを続け、ギルド対抗ミッションの最終バトルロイヤルについての説明会がすぐ近くに迫って来た。

 ココールのレベルは60を超えてきたが、レベルアップに必要な経験値はどんどん増えて行く。

 そのせいで、だんだんレベルアップのスピードは落ちてきた。

 このままのペースだと、最終バトルロイヤルをレベル70前半で迎える事になりそうだ。

 レベル70前半で勝てるかと言われると……まあグレーだなあ。きついかもな。

 セルフィのようにデフォルトでレベル60以上のNPCもいたわけだから、もっとレベルは積みたい所だが――

 ゴールデンバニーがもっと出てくれればレベルアップも捗るのだが、最初のアレを含め出てきたのは二回だけだ。

 もし狙ってゴールデンバニーを出せたら、レベル100も見えるんだが――


 夜中、ログアウトして寝る準備を整えた俺は、ドラゴンレコーダーで出力したログをPCのエクセルで開いて眺めていた。

 やはりログ解析はいい。心が洗われるようだぜ。

 で、何となく眺めて行って気が付いたことが――


「……お? これは……?」


 もしかしたら、いい情報を見つけたかもしれない。

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