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第107話 ココール救出

「スルーしろって――おいココール! お前何言ってるんだよ!? 馬鹿な事言うな!」

「馬鹿じゃないコケ! それが蓮達のためだコケ! おいらじゃあ蓮達の足を引っ張るコケよ――! 蓮もあきらもみんないい奴だコケ……オイラなんかに優しくしてくれて……だからオイラ、蓮達にこれ以上迷惑をかけたくないコケ! オイラがいなくなれば、別の候補を連れて来て貰えるコケ! だからこのまま――」


 ココールは半分涙目だった。決死の覚悟で言っているのだろう。

 だが、俺はそんな事は受け入れない。受け入れるわけにはいかない!


「もう一度言うぞ! 馬鹿な事を言ってんじゃねえ! 俺達は優しさでお前を選んだんじゃねえんだ! みんながどうしようもないって思うようなヤツを魔改造して覚醒させて、ジャイアントキリングがしたかっただけなんだ! やりたい事やってるんだから、お前が気に病むことなんて何もねえんだよ!」

「……『俺達』じゃないよね? それ蓮くんだけだよね……? わたし普通にココールくんを助けてあげたかったんだけど……」

「あたし的にはぶっちゃけ、フツーに一番強そうな奴取って来て欲しかったですし。まあ別にいいけど」

「……右に同じ――でも高代くんらしいから、諦めているけど」

「……ええい、黙ってろ外野ァ! いいかとにかく聞けココール! 俺はこれでもその筋ではダメジョブマイスターって呼ばれててな、ダメに見える奴を何とかさせたら、それなりのもんなんだ! 例えば俺のジョブの『紋章術師』! これは全然火力無くて、最弱だって言われてるんだ――だけど、これでもやりようによっちゃ何とかなる! 証拠を見せるぜ! よく見てろ!」


 俺は即座に呪文を詠唱する。


「『ディアジルサークル』!」


 大範囲でMPを空に持って行く。

 これを選んだのは、プリズンタートルが動き出した時、少しでも足を遅くするためだ。

 俺はプリズンタートルに向かって突っ込む。

 あきら達も俺の動きに合わせて、動き始めてくれていた。


「奥義――」


 接近すると、即座に攻撃に出る。

 『仕込杖』のトップを捻り、刀身を抜き放つ。

 紫暗系の眩い光に覆われた、輝きの一閃――

 今回はAP(アーツポイント)を溜めている時間が無かった。

 そのため使用する奥義はこちらだ。


「『デッドエンド』おおぉッ!」


 蓮のデッドエンドが発動。プリズンタートルに2912のダメージ!

 優奈のギルティスティールが発動。優奈は蓮のヘイトを全て盗んだ!

 琴美のエクス・ヒールが発動。蓮はHPが341回復した。

 あきらの剣の舞いが発動。蓮の全てのスキルが再使用可能になった!


 流れるようなログ表示。

 俺達のコンビネーションも、大分確立されてきた感がある。

 『仕込杖』を合成。もう一度サークル魔法でMP廃棄。

 そして続くのは当然連発――!


「もう一丁ううううっ! 『デッドエンド』おおおぉぉッ!」


 蓮のデッドエンドが発動。プリズンタートルに2912のダメージ!


 それを見たココールが、驚いて声を上げている。


「す、すげーコケ……! とんでもない威力コケ! こ、これが全然火力の無いダメなやつだなんて、全然信じられないコケ!」

「要はやりようなんだよ! お前だってきっと生まれ変われる! 俺は信じてる!」

「れ、蓮……!」

「お前も俺達を信じて付いて来い! 俺達がきっと何とかして見せる!」

「お、オイラ……オイラ――!」

「さぁ分かったな!? 分かったらこれを装備しろ! これがお前を、強くしてくれる!」


 俺はココールに、プリンセススカルリングを投げ渡した!


「「「ええええええっ!?」」」


 プリンセススカルリングの呪いのような効果を知っているあきら達は、驚いていた。

 だが育成方針はもう決まっているのだ。なら、迷う事などない。

 これで一気に駆け上がろうぜ、ココール!

 ココールのステータス上昇率は最低クラスだ。

 プリンセススカルリングを装備しようとしまいと、滅茶苦茶弱い事に変わりはない。

 どちらにせよクソ弱いなら、それが1だろうと0だろうと大差ない。

 弱いという客観的事実は動かないのだ。

 だから、ステータス上昇なんて捨ててしまえ!

 そしてレベルの高さだけ尖ろう! そのレベルの高さを活かす能力はあるのだ。

 問題はハンドシェークの入手難易度だが、今はそれは度外視。

 どの道活路はそれしかない。ならばそれに合わせてレベルだけは上げておかねば。

 ココールが弱いから、弱すぎるからこそ打てる思い切った手だ。

 これぞ弱者の戦術ってやつだな!


「れ、蓮ッ! 分かったコケ! 装備したコケーッ!」


 ココールは俺を信じ、プリンセススカルリングを装備した!


「あ、あれ装備させてホントにいいの? 蓮くん!?」

「ああ、いい! さぁプリズンタートルを仕留めるぜ!」


 もう一度あきらに支援を貰い、俺はさらに奥義を放つ。


 蓮のデッドエンドが発動。プリズンタートルに2912のダメージ!


 これでヤツはもうほとんど瀕死だった。

 あとはあきらと矢野さん前田さんが集中攻撃を加え、残りのHPを削り切った。


「これでとどめっ! 行っくよおおおーっ!」


 煌めく三日月の二連閃が、プリズンタートルを捕らえる。


 あきらのクロスクレセントが発動。プリズンタートルに308のダメージ!

 あきらはプリズンタートルを倒した。


 最後はあきらの奥義で、プリズンタートルは沈んだのだった。

 よし――これでココールを護る事が出来たな!

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