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第9話 レア武器ゲットだぜ!

「どうよこれ? いい感じに魔改造できてるだろ!?」

「すっごーい! 意味わかんないダメージ出てるね! 何のチートだってくらい!」


 あきらが尊敬のまなざしを向けてくる。


「HP減らしさえすれば、暗器のアーツは強いからな」


 奥義を撃った後の俺のHPは1になって、瀕死状態だった。

 奥義前に魔法を使ってMPを空にしておいたが、それが奥義に組み込んだ『ターンオーバー』で反転して、結果HP1になったのである。


「なるほどねえ~! 『ターンオーバー』をMP回復じゃなくてHP減らす目的で使っちゃうってわけだ! 劣化MP回復スキルじゃなくてオンリーワンのHP調整スキルだと」

「ああ。で、HP1で暗器アーツの『抜刀術』に繋がるからダメージが最大になると。しかも防御力無視で回避(スウェイ)無視だから、相手の守備力回避率は関係なしと」


 試し撃ちをしたときと、ギルギアに対するダメージはほとんど同じだった。

 ここが本当に同じになってくれるかは、少し不安だった。

 何せアイランドバニー師匠以外に撃ったのは初めてだったから。


「更に『ターンオーバー』と『抜刀術』の間に『ファイナルストライク』を仕込んでおくとダメージがぶっ壊れたことになるって感じだな。『仕込杖』もぶっ壊れますけどね」

「うんうん! 確かにいろんな意味でぶっ壊れてたよ!」

「紋章術師には一気にMP空にできる魔法と、HPMP入れ替えの『ターンオーバー』があるから、簡単にHP1に持って行けるんだよな。暗器のアーツと相性抜群なのな」


 他ジョブにとってはネタ扱いでも、紋章術師にとっては神器だ。

 紋章術師も暗器も低評価だから、この組み合わせをわざわざ試す奴がいないんだろう。

 初めからダメだって事前情報を入れられていれば、そういう先入観を持つものだ。

 攻略本もいい事ばかりじゃないって事だ。


「凄い凄い! これはいい魔改造だね!」

「まあ、撃った後はごらんの通りだけどな。HPは1だわ武器は壊れて無くなるわ。一発で仕留めないとほぼ死ぬっていう漢の奥義です」

「もろ自爆特攻だよねー。カミカゼアタック的な?」

「でもはまると単純に気持ちいいぜ。一撃超特化。大ダメージは正義!」


 このゲームは俺、この方向性で行こうと思います!

 紋章術師は単なる微妙な支援ジョブじゃない。

 一撃大ダメージに特化した攻撃役(アタッカー)だと。

 なおかつ元々の支援能力を封印するわけじゃない。

 だからマルチロール。二刀流だね。


「ダメージしか見てない頭の悪い感じが実に魔改造っぽくてロマンあるねー。一撃必殺のロマン砲だね、ロマン砲!」


 なんてはしゃいでた俺達だったが、ふとあることに気が付いた。

 ログウィンドウの端っこに、戦利品アイコンが点灯している。


「お? あきら、戦利品出てるっぽい。ボスが何か落としたみたいだぞ」

「あ、そうなんだ? ここのアイコンかあ、何落としたの? 見てみよ」


 俺達は戦利品リストを選んで開いた。内容はこうだった。


 スカイフォール(O)

  種類:片手剣 装備可能レベル:10 攻撃力:20 獲得AP(アーツポイント):12

  ガード性能:44 ガードブレイク性能:51

  特殊性能:HP100%時、剣が衝撃波を発する


 ミュルグレの秘薬(O)×2

  種類:消費アイテム

    :キャラクターの全スキルのリキャスト時間をリセットし、使用可能にする。


 片手剣の『スカイフォール』って、これボスが持ってたやつか?

 それから『ミュルグレの秘薬』が二つ。これなかなかいい効果の薬だぞ。


「おおー! ねえねえこれってボスが持ってた綺麗な剣じゃない?」

「だと思う。装備レベルの割に攻撃力高いし、面白そうな効果もある。良さげだな!」


 あのギルギアが剣から何か出してたのは、武器の性能だったみたいだな。

 条件がHP100%時に衝撃波だから、最初だけしか撃ってなかったのか。

 俺が戦った時は撃って来なかったもんな。なるほど納得納得。


「あきらが使えよ。ソードダンサーが装備できるみたいだぜ」

「えっ? いいのー? わたしスクショ撮ってただけだよ?」

「俺装備できんしな。できたとしても奥義で壊すし。あきらが強くなれば俺も助かるわけだし、貰っといてくれよ。『ミュルグレの秘薬』の方は一個ずつ分けて持っとこうぜ」

「うん! じゃあ遠慮なく使わせてもらうねー」


 戦利品の振り分けを終えると、あきらは早速『スカイフォール』を装備して見せる。

 彼女の手の中にスカイブルーの透き通った刃を持つ剣が現れた。


「どうどう?」

「こうして間近で見るとやっぱ綺麗な剣だよなー。お洒落装備としても人気ありそうな感じだわ」

「うんうん! いいなー気に入ったよ! ありがとう蓮くん!」

「いえいえ」

「よおし、じゃあ早く試し切りいこ試し切り!」


 待ち切れずにわくわくしている子供みたいだった。

 ちょうどその時、船内にもうすぐ到着のアナウンスが流れた。

 山をスライスして各層を浮かべて積み上げたような形をしたトリニスティ島が視界に入ってくる。今日から一気に攻略だ。気合い入れていこう。


「さあ予定外にレベルも上がったし、一気に上の階層まで行っちゃいますか!」

「おー! 前田さんたちを助けてあげないとね! 目指せミッション優勝!」


 トリニスティ島に到着した俺達は、さっそく攻略に取り掛かった。


 もうレベル13と11だから、一層なんて楽勝だ。

 移送方陣を開通しながら、上層に行くためのクエストをさくさくこなしていく。

 途中あきらがゲットした『スカイフォール』の試し切りと言って、意味もなくアイランドバニー師匠に剣の衝撃波を浴びせて喜んでいた。


 で、クエスト攻略が終わるとボス戦。

 十層構造の各階層には、上の階層に続く通路がある。

 そしてそこは、もれなく王冠アイコン付きのフロアボスが守っている。

 だけどレベルも上がっているし、一層だしボスも弱かったので余裕だった。

 一気に二層ぶち抜きで三層にたどり着いたところで、この日は制限時間を迎えた。

 もっとやっていたかったけど、夜は十時までで強制終了だ。

 そして朝六時まではログインできない。教育的な配慮ってやつだ。

 さすがにこの辺りは学校のネトゲだなという感じがする。


「じゃあ、ばいばーい。おやすみ蓮くん」

「おう、おやすみー。また明日なー」


 可愛らしい笑顔で手を振って、ログアウトしていくあきら。

 いや、改めて思うがあんな可愛い子が俺のフレのアキラだったとはな……

 世の中何が起こるかわからん。ほんとに今日はびっくりしたなー。

 まあ嬉しいハプニングなんで、俺としては一向に構いませんがね!

 俺の普段の行いが良かったご褒美だと思っておくぜ。

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