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31 魔王様、勇者と共にドラゴン討伐へ向かう

 魔王城から飛竜(飼い慣らされた家畜)に乗って三日ほどの場所。

 人里から遠く離れた山に人々を苦しめる竜が住んでいる。


 そこへ向かった魔王と勇者、他数名。

 目的のドラゴンを探しに山へ入ってく。




「ここをキャンプ地とする!」


 とりあえず宣言した魔王。

 ついたばかりである。


「なぁ、なんでそんなにテンション高いんだよ?」


 腰に両手をついたルークが尋ねる。

 彼はあまり気分が乗らない様子。


「どうした、ルーク。

 貴様は楽しくないのか?」

「いや、だってさぁ……。

 お前、昨日からずっとそわそわしてて、

 おやつは何を持って行くかとか、

 くだらない話ばっかりしてただろ。

 付き合ってたら熱も冷めちまったよ」


 そう言って口をとがらせるルーク。

 かわいい。


「ふん、久しぶりのお出かけだったからな。

 胸を躍らせるのも当然だろうが。

 貴様には分からんのか。

 この非日常を体験することのありがたさが」

「いや……分かるけどさ」

「貴様だって行く前はあんなに喜んでいたのに。

 どうしてそんなに不貞腐れているのだ?」

「それは……」


 ルークは自分の恰好を見下ろす。


 彼の服装は体操着。

 「るーく」と大きく名前が書かれている。

 下はもちろんブルマだ。


「なんでこんな格好をさせるんだよ。

 股に食い込むし……なんか卑猥だ」

「そうか? 別に普通だろう」


 某戦闘民族とかも、その手のパンツを履いていた。

 別に恥ずかしくもなんともないはずだ。


「ううん……なんか嫌だ」

「貴様は余の奴隷だ。

 服装を選ぶ自由などない」

「ふんっ!」


 不機嫌そうにそっぽを向くルーク。

 そんな彼の表情がたまらなく愛おしい。


「で、ドラゴンってどこにいるんだよ?」

「この山のずっと上の方だ」

「歩いて行くのか?」

「当然だろう。

 もちろん、貴様と余の二人でだ」

「そっか……」


 意外にも彼は嫌がらなかった。

 二人っきりになれるのが嬉しいのだろうか?


 むふふ……だとしたら大変喜ばしい。


「では早速……イクゾー!」

「…………」


 魔王とルークはドラゴン討伐へ出発した。






 連れて来た家臣たちはキャンプ地へ残し、ひたすら道なき道を進む魔王とルーク。

 魔法で虫よけしているので、虫刺されの心配はない。

 ついでに魔物とかも出て来なくなる効果がある。

 魔法の力ってスゲー!


「あとどれくらいだ?」

「そうだな……小一時間ほどだろうか?」

「それさっきも言ったぞ」

「うむ、そうだったか」


 会話が続かない。

 さっきからこんなやり取りを繰り返している。


「ふむ……そろそろ休憩とするか」


 ちょうどいいところに、休むのに適した場所が見つかった。

 草が生えておらず、腰かけるのに最適な岩が一つ。


「よっこらしょっと……」

「…………」

「どうした、貴様も座らんか?」

「いや、一人しか座る場所ねーだろ」


 ルークはじっとりと岩に腰かけた魔王を見つめる。


「何を言っているのだ。

 貴様は余に抱っこされればいいだろう」

「いや……無理だろ」

「いまさら何を」

「ふんっ! 座ればいいんだろ! 座れば!」


 ルークはそう言って魔王の膝の上に腰を下ろす。


「ふふふ……後ろからぎゅー!」

「やめろ! ひっつくな!」

「ふははははは! 貴様は余から逃れられないのだ!」

「くそっ……もう……」


 恥ずかしそうにするルーク。

 いちゃいちゃできて嬉しい。


「なぁ……お前、本当に死ぬんだよな?」

「ああ、二言はないぞ。

 貴様こそ、余の亡き後は立派に魔王としての務めを果たせ。

 約束だからな」

「……うん」


 最近のルークは怖いほど素直。

 とってもかわいいので死ぬほどイチャイチャしたい。


 ということで……。


「おい、ルーク」

「んだよ?」

「態勢をちょっと変えるぞ」

「え? うわぁ!」


 ルークの座る向きを変え、足を真横におろし、背中を抱えてお姫様抱っこスタイルにする。


「手を余の首の後ろに回せ」

「え? こう?」

「うむ、そうだ」


 ルークは魔王に抱き着く感じになる。

 そして……。


「最後くらい、少しだけ余のわがままを聞いてくれ」

「……分かった」

「目を閉じろ」

「ん……」


 素直に目を閉じて魔王を受け入れる準備を整えるルーク。

 そのまま唇を重ね合わせる。


 やわらかい感触が伝わると同時に、彼の吐息が漏れるのを感じた。

 その瞬間、魔王にスイッチが入る。


 何度も、何度も、何度もキスをした。

 ルークは一度も拒否しなかった。

 それどころか……。


「魔王……もっと」


 うるんだ瞳で魔王を見つめながら、キスを求めるルーク。

 次第に二人の感情は高まり、最高潮へ達する。


 互いの舌が絡まり合うような熱い口づけ。

 誰もいない森の中で、二人だけの時間を心いくまで楽しんだ。


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] これはいけないものを読んでいる気持ちになる。 でも読み続ける◎
[良い点] 突然の「イクゾー」に笑いましたw あの伝説の殿下ネタがまさかここにも……!? そして遂に結ばれた?魔王様とルーク君。 なろうではこれが限界かと思いますが、十分妄想滾る描写です!  [気に…
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