28 魔王様、お姫様抱っこ!
「おっ……おい! いい加減に下ろせよ!」
恥ずかしがるルークをよそに、魔王は彼をお姫様抱っこしたまま寝室へと運ぶ。
「こんなに痛めつけられたのだ。
早く手当てをせねばなるまい。
しばらく大人しくしていろ」
「下ろせよ! 自分で歩けるから!」
「だから言っただろう! 暴れるなと!」
「うるさいっ!」
魔王の手の中でじたばた暴れるルーク。
仕方がないので下ろしてやることにした。
しかし――
「あっ……」
膝が抜けるルーク。
その場に座り込んで立ち上がれない。
「おい」
「だっ、大丈夫だよ!」
「まったく強がりを言って。
大人しく抱きかかえられていればいいのだ」
「でっ……でも……お姫様抱っこは……」
「あ? なんだって?」
手を耳に当て、わざとらしく聞き直す魔王。
「お姫様抱っこは嫌だって言ったんだよ!」
「だが断る」
「なにをっ⁉ 何を断るの⁉」
「お前がお姫様抱っこを断るのを断る」
「~~~っ!」
顔を真っ赤にして悔しがるルーク。
カワイイ。
「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと抱かれろ」
「言い方っ! 卑猥っ‼」
「卑猥でも何でもいいだろ。
どうせそのうち、卑猥なことをするわけだから……」
「あっ……」
ルークは何か思い出したようにしょんぼりとする。
「なんだ、どうした?」
「えっと……その……お前としたら……」
「まだあのことを気にしているのか?」
「……うん」
小さく頷くルーク。
カワイイ。
「大丈夫だ、安心しろ。俺は死んだりは……」
「死ななくても瓶詰にされるんだろ。
そんなの死んだも同じじゃ……むぎゅ!」
魔王は周囲の者に聞かれたらまずいと思い、ルークの口を手でふさぐ。
あたりを見渡して誰も聞いていないと分かり、彼の口から手を離した。
「そのことを安易に口にするな。
誰かに聞かれたら困る」
「分かったよ」
「では早速……」
「うわぁ⁉」
魔王は無理やりルークをお姫様抱っこする。
「さぁ……寝室へ行くぞ。そこで余が手当てをしてやる」
「……うん」
ようやく大人しくなったルーク。
胎児のように身を丸め、両手を丸めて胸の前に。
カワイイ。
寝室へ戻った魔王は、ルークをベッドの上に寝かせ服を脱がせる。
彼は抵抗したりせずにパンティ一枚の姿になって大人しくしていた。
ちなみに色は青と白のストライプ柄である。
彼の肌には複数の殴打痕。
しかし、大して酷いけがではない。
少し薬を塗ってやればすぐに良くなる。
魔王は保存しておいた薬を取り出し、適当に調合。
容器に移して持って行く。
「身体に触るぞ」
「……好きにしろよ」
魔王がベッド端に腰かけると、ルークは反対側へ顔を向ける。
カワイイ。
掌に薬剤を取り、両手をこすり合わせて馴染ませる。
幹部に触れると彼の顔が痛みで歪んだが、丁寧に塗り込んでいくと次第に表情が和らいでいった。
薬を彼の身体に塗るふりをして、ちょっとだけ敏感な部分に触れてみる。
「うんっ」
表情がぴくッとして、小さく息を漏らすルーク。
これは……。
「あっ」
少しずつ下の方へ手を滑らせる。
「くぅ」
鼠径部のあたりを丁寧にマッサージ。
「だっ……ダメ」
下腹部に伸ばされた手をルークがつかんだ。
「待ってくれ……まだ心の準備が……」
「安心しろ。今日はしない」
「え? 本当に?」
「手負いのお前に無理はさせられないからな。
だがまぁ……ちょっと気持ちよくはしてやれる」
「どうやって?」
「目を閉じていろ」
「ん……」
ルークはそっと目を閉じる。
魔王は彼に口づけをした。
そのまま何度か唇を重ねたが、彼は嫌がらなかった。
魔王がいよいよ彼の秘密の場所に触れようとすると、部屋の明かりがひとりでに消える。
そういう仕様なので仕方がない。
仕方がないのだ。




