新發田さんが銃剣乱舞をやってみたいというのでスマホ版をダウンロードしてあげたよ
さて、バイト先のパティスリーでやっていた、白檮山さんとのBL話は、新發田さんが俺たち二人を呼びに来たことで中断。
俺たちはホールに急いで戻って、素知らぬ顔で接客をこなす。
こうして普通にバイトをしている所だけ見ていると、白檮山さんが薄い本の沼に頭までどっぷりと浸かっている腐女子だということは全然わからんけど……な。
まあ、イベントなんかに参加するアクティブ腐女子、は意外とそれとはわからなかったりするんだけども、基本的には余所行きの社交性仮面をかぶるのは女の子の方がうまいものだ。
結局その後はなんだかんだとお客さんがひっきりなしに来てバタバタしていたので、そのまま上がりの時間になってしまった。
王生さんが俺たちに声をかける。
「では、秦君と新發田さんは、今日はこれで上がってください。
秦君は明日はまた7時からでいいですか?」
「ええ、それでいいです」
「では秦君の上りは13時にして、新發田さんは13時に出勤で19時まででお願いします」
「了解です」
俺がそう答えると、新發田さんもうなずいた。
「わかりました」
そして俺たちは着替えてパティスリーを後にした。
「あの、秦君、よければ教えてほしいことがあるのですが」
新發田さんがそう声をかけてきたので、俺は首をかしげながら答えた。
「ん、なんだろう?」
「私も銃剣乱舞というゲームをやってみたいのですけども、パソコンがないとできないのでしょうか?」
「いや、銃剣乱舞-ONLINE- Pocketっているスマホ版もあるからスマホがあればできるよ」
「あ、そうなんですね?
それならよかったです」
「うん、何なら今ゲームのインストールだけでもしてみる?」
「はい、お願いします。
私こういったゲームってやったことなかったので」
と、あっさりスマホを俺に渡してくる新發田さん。
少し無警戒すぎる気がするんだけど……とりあえず検索からダウンロードページに行き銃剣乱舞-ONLINE- Pocketをダウンロード。
ダウンロードが終わればタイトル画面に行くのでスタートして、まずはチュートリアルからスタートだな。
「はい、チュートリアル画面まで行ったから チュートリアルで手に入る最初の銃剣男士を選んでみて」
「あ、はい……」
と言いながら 新發田さんは真剣に画面を見て誰にするのか見比べていた。
「これなら蜂須賀虎徹ですね」
「蜂須賀虎徹か……。
新發田さん、意外と派手なイケメンが好きなの?」
「あ、はい、そうかもです」
「じゃあ、あとはチュートリアルの指示に沿って、ゲームを進めてみるといいよ」
「どうやればいいのかとか、秦君は教えてくれないのですか?」
「あ、うん、ゲームはね。
知っている人間に効率がいいやり方を聞いてその通りにやるより、自分でいろいろ試してみたほうが楽しいからね。
後から考えると無駄なことに思えることがあっても、好きなように遊ぶことこそが楽しさにつながるんだと俺は思うよ」
「なるほど、じゃあ、私なりにやってみます」
「うん、全然進めないとかがあったらSNSのメッセージをくれればアドバイスはするけどね。
全然進めないのもつまらないだろうし」
「あ、はい。
その時はお願いしますね」
とそんな感じで俺たちは駅で別れた。
新發田さんが銃剣乱舞にはまるかどうかはわからないけど、結構はまり込みそうな気はするな。
特に今までソシャゲをやったことがないならなおさらな気がする。




