買い物のあとはアフタヌーンティーで、ティーパーティ気分を味わったよ
さて、無事にガーデンティーパーティ用のドレスやジャケットは買えた。
しかしながら、朝の10時から午後の15時までずっとドレス選びをしていたから、そろそろお腹も減っただろう。
「なあみんな。
ちょっと休憩とティーパーティ気分を味わうために、あそこの店によっていかないか?」
俺が指し示したのは”アフタヌーンティー・ティーハウス”という店だ。
メニューは紅茶と茶菓子がメインでパスタやサラダ、リゾットなどもあるようだ。
「まあ、安く済ませたいなら、サイデスカのほうがいいかもだけど」
俺がそう言うと西梅枝さんが頷いていった。
「あ、私は足も休めたいですし、小腹も空いているので”アフタヌーンティー・ティーハウス”で休むのに私は賛成です。
せっかくなのでティーパーティの練習みたいなのもしてみたいですし」
そして九重さんもいう。
「そうデスネ。
折角の機会デスノデ、このお店でアフタヌーンティーパーティーのマナーや作法の予習をしてミマショウ」
さらに白檮山さんもいった。
「異世界恋愛系のラノベとかだとお茶会の描写はたくさん出てくるけど、マナーや作法まではわからないし助かるよね」
それに続くように新發田さんがうなずきながら言った。
「そ、そうですよね」
「じゃあ、決まりだな。
アフタヌーンティーを楽しむにしても高級ホテルのレストランとかだと1万円ぐらいするところもあるみたいだけど、ここなら2000円くらいだし俺達でもそんなに気兼ねしないで食べられると思う」
俺がそう言うと西梅枝さんが苦笑しつつ言った。
「流石に1万円もするような所は私達では無理ですね」
というわけで俺達は店に入る。
「5名様ですね。
では皆様のお荷物をお預かりします」
店員さんがそう言うと九重さんがフォローするようにいいう。
「こういう場合ハ、荷物を預けるのがマナーデスネ。
おサイフなどの貴重品はクラッチバッグや小さなショルダーバッグに入れて席に持って行くとスマートでよいデス」
「なるほど、流石に九重さんは詳しくて助かる」
俺達は買った服の入った紙袋などの手荷物を店員さんに渡して、案内されたテーブルの席に座る。
「カジュアルなパーティであれば気にしなくとも良いデスガ、ある程度フォーマルな場所ですと席の場所にも決まりがあるのデ、ホストの指示通りに座るのもマナーですね」
「ああ、アメリカとかにも上座下座みたいなのがあるんだ」
俺がそうきくと
「はい、そういった席の決め方でも、細かくはフレンチ式とアメリカン、イングリッシュ式で異なりますケドね」
「やっぱリティーパーティーって社交の場所だってのがわかるな」
そして俺達は揃ってアフタヌーンティーセットを頼んだ。
やがて一式運ばれてくたところで、九重さんが食器などの説明をしてくれた。
「わかるものも多いと思いますガ一通り説明しマス。
まずは紅茶をいただくためのカップとソーサー。
そのカップに注ぐためのお茶などが入っているティーポット。
紅茶に入れるミルクを入れる器のクリーマー。
紅茶用の砂糖を入れるための器のシュガーポット。
ティーポットに入っているお茶は時間が経つと濃くなってしまいますノデ、その濃くなったお茶を薄めるためのお湯がホットウォータージャグ。
そしてケーキスタンドが三段の場合はティースタンドの下からナッツやクラッカー、サンドイッチなどのセイヴォリーの皿、スコーンやフィナンシェなどのペストリー皿、一番上がフルーツやスイーツの皿になっています。
ここもそうですが最近はセイヴォリーの皿とスコーンやスイーツの皿の二段だけの場合も多いようデス」
「ふむふむ」
「本来は、下から順に食べるのがマナーとされていますガ、最近ではそういった順番にはあまりこだわらないようデス」
それをきいて西梅枝さんが苦笑しつつ言った。
「私もっとガチガチに決まっているのかと思ってました」
九重さんは笑っていう。
「本場のイギリスではともかくアメリカではそこまでマナーにこだわりませんよ 。
一応、一度別の段に移ってから、別の段に戻ったり、他の人が食べていないのに他の段の食べ物に手を出すのはマナー違反と言われる事もあるそうですガ」
そしてスタッフがティーカップに紅茶をそいでくれたので皆で飲み始める。
「アフタヌーンティーの席では自分で注がず、ホストやスタッフに注いでもらうのがマナーデスネ。
ティースプーンはカップの奥に置くのがマナーで、カップはハンドルに指をかけないで、つまむように持ち上げるのが美しいとされていマス。
それと反対側の手は添えないことも大切デスネ。
砂糖やミルクを入れて混ぜる時は、音を立てないようにスプーンを回すのではなく、カップに当てないように上下に静かに動かしまス。
おかわりをもらう際は、ソーサーごとではなくカップのみを渡すのもマナーデス。
紅茶を飲むときにソーサーを一緒に持ち上げるのはだめデ、カップのみを持ち上げて飲みまス。
しかし立食時などは、ソーサーも一緒に持ち上げて飲みマス」
「ん?!
なんか一気に難易度が上がったな」
俺がそう言うと九重さんは笑っていう。
「別に難しいことではないデスヨ」
「ティースタンドの食べ物はスタンド側の食器はそのまま動かさず、フードを自分の取り皿に下ろし、一口大に切り分けて食べるのがマナーですね。
しかし、取りにくい場合は、ティースタンドのお皿を回して取るのはOKデス」
「ふむふむ」
「また自分が取り皿にとって食べている皿の食事が終わっても、勝手に次の皿のものをとるのは駄目デス。
ティースタンドの食べ物を取るタイミングは、同じテーブルの人と合わせマショウ」
「なるほどなぁ、さすがアメリカでプロムパーティとかを経験してるだけあって九重さんはすごいね」
俺がそういうと西梅枝さんが感心したように言う。
「ほんとうすごいですよね」
さらに白檮山さんもいった。
「ちょっとっていうかかなり舐めてたなぁ」
それに続くように新發田さんがうなずきながら言った。
「本当です」
しかし九重さんは言う。
「マナーは大事ですがそれは周りの人を不快にさせないためのものです。
マナーを守ろうとするあまりパーティがつまらなくなっては本末転倒というものデスヨ」
俺はその言葉に大きく頷く。
「それは確かに、本番のパーティの前に何度かここにきて練習してみてもいいかもな」
俺がそう言うと西梅枝さんはうんうんと頷いた。
「私もそうしたほうがいいと思います」
白檮山さんや新發田さんもうなずく。
「まあまずは期末試験の結果次第だとは思うけど、補習になりそうな人っている?」
俺がそう言うと九重さんがおずおずと手を上げた。
「私ちょっと危ないかもデス」
「あー、九重さんが補習や追試になりそうなら勉強もみんなで手伝おうか」
というわけであとは期末試験の結果待ちだな。




