龍神教団 7
久しぶりの投稿です。申し訳ありません。
屋敷の塀を飛び越え、屋敷の中に侵入した僕達は、暗闇に紛れて敷地内に建てられた幾つかの物置の影まで難なく辿り着き、そこで周囲の様子を伺っているところだ。
それにしても、敷地内の警備はそれほど厳しくないみたいだ。
「フェル殿、なんだか簡単に入れましたね?」
レノアも感じているみたいだ。たぶん屋敷の周りに展開している結界に相当の自信があるようだ。
実際、僕の魔術石の結界中和が起動しているから、簡単なだけであって、それが無ければ侵入は不可能に近い。
だから、敷地内に賊が侵入する事を考えるよりも、敷地の外に警護を多く置く事の方が効率が良いのだろう。
「あそこ、使用人専用の勝手口がある。あそこから建物の中に入ろう」
「はい」
僕達は周辺に人の気配がないか、罠が無いか確認しながら徐々に近づき、勝手口まで辿り着く。
「じゃあ開けるよ」
ガチャ、ガチャ
「あれ? 開かないね?」
「フェル殿、鍵かかっていますよ」
うん、そうだね。でもそれぐらいは・・・
僕は、懐から針金を取り出すと、ドアの鍵穴に差し込む。そこに小さな魔術石を取り出しその針金の先端にくっつける。
すると、針金が赤く熱せられ形をどんどん変えてゆく。
「フェル殿、これはなんですか?」
「ん? これはね扉とかの錠に合わせて鍵を作成するキッドだね。この魔術石で鍵穴の形状に合わせてこの針金を溶かし、鍵を作り出すんだ」
「へぇ~・・・・」
あれ? レノアの反応が薄いと言うより、呆れた感じがする。
「フェル殿、手慣れていますね?」
「そう?」
「よく、そうやって忍び込むんですか?」
「え?」
な、何を言っているんだ?
「これは、敵陣に忍び込んで調査するときに金庫とか、鍵の掛かった部屋に忍びこむのに必要なんだよ?! べ、別に、怪しい事に使ったりとかは・・・」
「しないんですか?」
うわ~! ジト目僕の事を見て来る~! 何か変な考えしてないか?!
「レノア! だからね、そんな事には!」
ボソッ
「べ、別にそんなの無くても、開けておきますのに・・・」
「え? 今、何か言った?」
「! い! いいえ! 別に! ささ! 早く入りましょう!」
何だったんだ?
ま、まぁいいか。とにかく早くクルルの居場所を探さないと。先ずは索敵するのに何処か安全な場所を探さないと・・・
僕達が入った勝手口は、どうも厨房に繋がっていて、僕達はその中を腰を屈めなるべく目立たないように奥へと進んだ。
「フェル殿、あそこ、食料の保管庫があります」
「あ、本当だ。あの中なら周囲を気にせず索敵が出来そうだ」
暗闇の中、ゆっくりと保管庫の入り口へと進み、その前に座る。
分厚い扉を開き中の様子を伺う。
「お、寒いね。冷蔵庫のようだ」
それはちょっとした執務室くらいの広さがある冷蔵庫で外より空気が寒く調整されていた。
魔術石を利用した魔道具なのだろう。
僕達は食品を少し掻き分け中に入ると、魔術石を取り出し魔力を込める。
魔法陣が直ぐに浮かぶ上がり、グルグルと回り始める。
「ん? 複数の大きな魔力魂を感じる。あれ? 下? ちょうどこの真下からだ」
僕は自分の足元を見つめる。確かにこの下から幾つかの強い魔力魂の反応を見つけた。
「確かに、私の方にもクルル様の反応が真下から確認できました」
「と、言う事はここの何処かに下への通路が・・・」
僕達は、なるべく小さなライティングを稼働させ、床を中心に辺りを探し始める。
う~ん、どこだろう?
「フェル殿!」
小声でレノアが僕を呼ぶ。
僕が辿り着くと、手で床の一部を指してくれる。
あ、確かに、床の色が他とほんの少し違うし、若干盛り上がっている様な?
僕は周辺を念入りに観察するが特に、異常は無い様だったので、掌をその床石の中心に置いた。
「よし! 魔力を注いでみるか」
掌から床石へと魔力を徐々に送り続ける。
あれ? びくともしないな? ちょっと出力を上げてみるか?
ガキン!!
注ぐ魔力の力を少しずつ増やしながら様子を見ていると、突然下から金属が外れるような音がした。
「空いたのか?」
そう呟くと、床石が淡い光に包まれ、ズーズーと音を出しながら勝手に動き出した。
徐々に上がる床石、そして床から完全に離れ、空中の浮かび始めた。
人の背丈ほど行ったところでその床石は静止し、びくともしなくなった。
「地下への階段でしょうか?」
「そうみたいだね」
「それではさっそく!」
そう言って、かなり急な階段に足を掛けようとするレノア。
「待ってよ! 罠があるかもしれないし、僕が先行するよ」
「え!? でも・・・」
「大丈夫! 女の子を前面に置くなんて知られたら、冒険者組合でもかなり扱いが酷くなりそうなイメージしか思い浮かばないから」
「でも・・・・・分かりました。では先行お願いします」
「うん、任された!」
僕は地下へと続く階段に視線を変えよ~く中を観察する。
プンプン匂う。しかも龍神の魔力を感じる。
やはりここは龍神教団の施設になっていたのか。つまりレバイディの家、ルーデフィスタ侯爵家は龍神教団と繋がっている事になる。
僕はゆっくりと階段を降り始める。かなり急な階段で梯子に近いかもしれない。
小さな灯りで僕と、レノアの足元を照らしながらゆっくりと降り続ける。
「あ、あの、フェ、フェル殿・・・」
「何?」
「その、絶対に上を向かないで下さいね?」
「どうして?」
そう言われると、自然とどうしてか確認するために上を向く・・・よね? 男性でなくても女性でも向くよね?!
小さなライティングでレノアの足元も照らしていたので、僕が見上げると、その灯りに照らし出されて、レノアの短めのスカートの中が明るく照らし出されていた。
うん、ワザとじゃないよ!
「きゃ!!」
「ご、ごめん!!」
「・・・・・・見ました?」
「・・・・・・み、み、み、た・・・・ごめん!」
「い、いえ・・・私こそ余計な事を言ったと思うので、しかたない・・・です」
う~ん、ラッキーだけど、後が怖い。
「その、明るいところでは、その、恥ずかしいですから」
「う、うん、気を付けるよ」
良かった、そんなに怒ってないみたいで・・・・え? 今、明るいところではとか言ってなかった?
今、レノアの顔の表情を確認したいけど、そんな事をしてまた見上げたら今度はただじゃ済みそうにない。
それにしてもさっきのレノアの言葉、どう言った意味なんだ?
頭の中がちょっと混乱している。深呼吸でもして整えないと。
「フェル殿、床の様です」
レノアの声で我に変えると、確かに直ぐしたが石で敷き詰められた床が現れていた。
僕達はゆっくりと床に降りると、周囲を確認する。
すると、ドアが一つありその隙間から明かりが漏れているのが見えた。
「レノア、あそこ」
「はい、間違いないと思います。中にクルル様の反応があります」
「分かった。あの隙間から中の様子を伺おう。それからどうするか考えるよ?」
「分かりました。」
僕とレノアは扉の隙間へと目を付け、中の様子を見る事にした。
「「!!!?」」
そこには、信じられない状況が作り出されていた。




