龍神教団 6
投稿いたしました。
是非お読みください。
「叔父上! 何時まで待てばよろしいのですか!」
蝋燭の明かりが、少ないせいか、薄暗く冷たい雰囲気の石造りの部屋の中で、男の声の一際大きな声が響き渡る。
「まあ、待て。もうじき司祭殿がやって来られる。そうすればお前の望むように、その者を蹂躙すればよい」
どこか薄気味悪い笑みを顔に張り付けた、少し年配の男性が、大きく声を張り上げる男、いや少年に言い聞かせるように話していた。
「その司祭様とは龍神教の司祭様なのでしょう?」
「そうだ。我がルーデフィスタ侯爵家、その昔より崇めておる龍神様、その復活に甚大なるお力を示されるお方の一人、ゴルバルバ司祭様であられるのだぞ」
そう、この危ない表情で司祭長の名前を呼ぶ男、グァズベルド・ルーデフィスタだった。
彼は、育成学校での問題行動でサリダ学校長より謹慎を申し渡され、このルーデフィスタ侯爵家の帝都での屋敷で軟禁生活をしていた。
そしてもう一人の叔父上と言う少年は、ルーデフィスタ侯爵家の嫡男であるレバイディであった。
レバイディは、そわそわと落ち着かず、同じところウロウロと行ったり来たりを繰り返し、時たま、一定の方を見ながらニタニタといやらしい笑みを口の端に張り付かせていた。
そもそもその部屋の雰囲気は異様な感じだった。
周囲には窓も無く、灯りは幾つか蝋燭のみ。薄暗くジメジメとした感じはここが地下部屋だという事が分かる。ただ、大きさは結構広く、この二人の他にも、茶色いフード付きの貫頭衣をすっぽりと頭から被った人間が10人程が円を描くように両膝をつき座っていた。それでも結構余裕が感じられる広さだった。
そしてその男達の視線の先、ルーデフィスタの叔父と甥がいる先、木製の大きな丸いテーブルが部屋の中心に設けられていた。
「司祭様が御着きになられました」
貫頭衣を着る一人、声からすると男性の様だ。その男が、グァズベルドにわざと周りにも聞こえるように耳打ちしてきた。
「そうか、早くお越しを!」
「はい」
「・・・・・・・・・」
暫くすると、部屋の木の扉が開かれ、やはりフード付きの貫頭衣を着こんだ人が入ってきた。
ただ、周りにいる貫頭衣の人とは違い、その服は、真っ白で金糸で刺繍された縁取りされており、それが裾、袖、首回りとふんだん飾られていた。
「これはゴルバルバ司祭様、ようこそおいで下さいました」
グァズベルドは、その初老の男性、ゴルバルバ司祭にレバイディと一緒に深々と頭を下げる。
「ああ、グァズベルド、大儀であったの。これほどの魔力魂の持ち主はそうおらなんだぞ」
「はは! お褒めに預かり光栄に存じ上げます。この者は、ここに控えます我が甥、レバイディ・ルーデフィスタが、探し当て連れてまいりました、育成学校の生徒であります」
司祭は、チラッとレバイディに目をやる。
その視線は優しく見えるが、どこか冷たく分からない圧力を感じさせる視線だった。
レバイディはその視線を初めて浴び極度の緊張もあって、その場に固まって動けなくなってしまった。
「レバイディであったかの、褒めて遣わすぞ。これほどの良質な魔力魂なれば、龍神様の復活も近づくというもの」
「は、はひ!!」
「これ、レバイディ! 司祭様に失礼ですぞ!」
「!!」
「何、構わぬよ。逆に初々しいではないか? レバイディこれからの活躍に期待しておるぞ?」
「は! はい! お、お任せを! 若輩者ではありますが、精一杯、龍神教団の一人として力の限りを尽くすことを誓います!」
ゴルバルバ司祭に対して高らかに宣言をするレバイディの顔は、崇拝する者への絶対な忠誠心を見せていた。
いや、そういう自分に酔っているのかもしれない。
「そなたには、これを授けよう」
司祭は自分に陶酔するレバイディに一つのペンダントを手渡した。
「これは?」
両手で恭しく授かり、その赤と黒の色が混じる宝石が組み込まれたそれを見つめる。
「それは、龍神様に忠誠を誓う有望な者の証しとして授ける魔晶石の一種での、自分の魔力を数倍に跳ね上げてくれるものだ」
「な、なんとお! 我が甥に龍神の涙と言われる魔晶石を授けていただけるとは! このルーデフィスタ家の誉れ! より一層の忠誠を誓わせていただきまする!」
大袈裟に頭を下げるグァズベルドに対し、レバイディはその龍神の涙と言われる魔晶石を興奮気味に見つめていた。
や、やったぞ!! これで、この私を馬鹿にしたフェルどもに復讐出来る・・・
そこには自分の勝利を確信し、悦に浸るレバイディがいた。
「さて、それではさっそく龍神様へ供物を捧げる事にいたしますかな」
あくまでも優しく微笑む表情を崩さず、部屋の中央に置かれたテーブルの方を見る司祭。
「レバイディ、さっそく準備するのだ!」
叔父である、グァズベルドの声で我に返るレバイディは、直ぐに何をするのかを思いだし、先ほどとはまた違った笑みを浮かべ始めた。
「はい、叔父上」
返事をするレバイディはそのまま、自分の着ていた服を脱ぎ初め素っ裸になると、龍神の
涙だけ首から掛け直し、テーブルの前に立った。
そのテーブルは背後に控えていた茶色い貫頭衣を着た者達が、三人の話している間に準備をしたのだろう、回りを幾つもの蝋燭で囲い、その要所要所に置かれた五つの香炉から、甘ったるい香りの煙を立ち上らせていた。
それは、まるで何かの祭壇の様に見えた。
司祭はその祭壇に向き、手をかざす。それに合わせるかの様にレバイディが祭壇に近づく。
「今から、私に屈辱を味逢わせたお前に、それ以上の屈辱と快楽を与えてやる」
「いいですねえ。それでこそ龍神教団の者。そして龍神の涙を授けた者、その果てしない欲望が、この贄となる処女を暗黒の闇に捕らえ、地の底で眠られる龍神様の糧となるのです」
優しい表情を変えることなく、異常な言葉を紡ぐ司祭。
その司祭と共に憎悪の瞳で、祭壇の上に下着姿で寝かされる女の子を見下ろしていた。
「クルル、お前はこの私が、龍神様への最高の供物となるよう、汚してやろう・・・」
不定期更新で申し訳ありません。




