龍神教団 5
投稿いたしました。
潜入!
帝都の都、ウィルフィス。
僕達が通う連合共立魔戦育成学校もある、皇帝の住まう皇宮は、帝都の最北側に位置している。そしてその周りを貴族達が住む貴族街となっている。
ただ、貴族の中でも爵位の高い者ほど皇宮近くに住んでいる為、侯爵家はかなり王宮に近い場所にその屋敷を構えていた。
当然、ルーデフィスタ侯爵家もそれに従って、皇宮近くにその屋敷は存在していた。
「でも、ここって帝都の中では一番北西の端だよね?」
「そうですね。帝都の外苑にも面していますし、ちょっと奥まったところにありますから、あまり目立つ場所とは、言い難いですね」
僕と、レノアは暗闇の中、幾つかの街灯に照らされる、ルーデフィスタ侯爵家の正門が見える、路地から伺っていた。
「何かを隠すなり、するなり、とにかく人目につきにくいという意味では絶好の場所なのかもしれないね」
「でも、どうします?」
レノアは、この屋敷に入る方法を僕に質問してくる。
正面から堂々と、いう訳にもいかないし、かといって忍び込むと言っても問題があったからだ。
「確かに、この魔法障壁は厄介だね」
「はい、魔力感知にも反応していますが、かなり厚い障壁ですね。これに人が触れると、邸内にいる魔導士に検知されるはずです」
特に、僕達魔導士には反応しやすいんだよね。
「フェル殿、このままでは・・」
レノアの顔に少し焦りを感じるようになっていた。
僕は、そんなレノアの肩に手をやり、微笑んであげる。
「大丈夫。僕に任せて」
そう言って、懐から一つの魔術石を取り出した。
「これも、魔術石ですね?」
「うん、そう。この魔術石には接触する魔術と全く同じ魔術を展開する事が出来るんだ。しかも範囲指定できるから、僕達を中心とした一部を魔術が干渉しない空間を作り、その周りだけ魔術を展開する事ができる魔術式が組み込まれているんだ」
「それって凄く都合よくありませんか?」
え? だって昔、邪竜神の軍隊とかを責める時、夜襲や、不意打ちをする時に、防御結界や障壁に感知されずに侵入する必要があったからね。
「まぁ、いいじゃない。せっかく在るのだしね?」
「魔術石は高価ですし、今ではそれを作る魔導士は殆どいないと聞いていますので、フェル殿が、こうも沢山もっているのがちょっと不思議で・・」
う~ん、あまりこれをポンポン見せない方がいいのか?
ま、今はそんな事を言っている場合じゃないからね。
「と、とにかく、これで屋敷に侵入しよう。魔力障壁の内側に入れれば、クルルの魔力を探知できると思うし」
「はい、フェル殿を信じます。行きましょう!」
僕達は頷き合い、魔術石を起動させると、僕とレノアの足元に魔法陣が浮かび、放射状にある程度まで延びていくと、外周部分が浮き上がり、僕達を包んでいく。
完全に球体状になると、浮かび上がる魔法陣の紋様が消えていった。
「レノア、僕から離れないように手を繋いで行くよ」
「え?」
僕は少し強引にレノアの手を取ると、ルーデフィスタ侯爵家へと向けて歩きだす。
「あ、あの、フェル殿・・」
「どうかした?」
「・・・い、いえ、何でもありません。このまま行きましょう」
「う、うん?」
レノア、少し俯き加減でついて来てくれけど? ん? 耳が赤い? そう言えば、握っている手も少し赤いし、ちょっと汗ばんでいる? まぁ敵陣に乗り込むわけだからちょっと緊張しているのかな?
僕はレノアが少しでも緊張しないように、僕の方へ体を寄せてあげる。
「!・・・・」
握る手が余計に熱くなった気がする。何故だろう?
正門には警護の兵士が二人常駐しているようだったのだ、そこから少し離れた裏路地に回り、高さが人の3倍くらいの鉄柵の塀の前に立つ。
「行くよ」
僕は小声でレノアに合図をすると、小さく頷いてくれた。
僕達は息を合わせ、術で跳躍をすると、無事に邸内へ侵入できた。
人影は無い。いや、なんだか異常に静かだな?
「フェル殿、何か異様な感じがしませんか?」
レノアも何かを感じているようだ。
「ああ、結構、嫌な感じがする・・急いだ方が良いかも」
僕は何か、胸騒ぎを感じながら、屋敷の中へ入るため裏口へと向かった。
読んでいただきましてありがとうございます。
現在不定期更新で申し訳ありません。




