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騒がしい日常 5

ほんとの何気ないお話。

いかん、いかん。男二人で少し落ち込んでしまった。


屋台が並ぶ広場の中心に、大きな噴水が作られてあったので、その縁に腰掛けて、先程買った串焼きをみんなで、いただいているところなのだけど・・・


「フェル殿、そんなに落ちこまないでください。その可愛らしい容姿は、大人の人から見れば、どうしてもまだ幼子に見えるのでしょう。私は、とても素敵な男の子に見えますから自信を持って下さい」


レノアが、僕を勇気づけようと色々心配して話してくれる。でもやっぱり幼い子供に見えるんだ。


「そうよ、フェル様のその姿は、癒しなんですから自信をお持ちくださいですわ」

「そうなの?」

「はい、アルーラ様が力説されていましたわ」


まあ、ここまで言ってもらえると、少しは自信ができるかな?


「おい」

「ん?」

「俺のフォローは無いのか?」

「・・・・・・・・」

「見たままですわね」

「大変申し訳なくおもうのですが・・・・」

「ゴルドお兄ちゃん、おじさんだったの?」

「クルルちゃん、お、おじさんに見えるのか?」

「ん? うん!」 


あ、最後のクルルの言葉で、ゴルドのやつ膝から崩れ落ちて、項垂れてしまった。


「クルル、物事をはっきり言うのは良いことだけど、今のゴルド相手に、そこまではっきり言うのは凄く悲しくなるから駄目だよ?」

「そうなの? えっとごめんなさい! ゴルドお兄ちゃん。本当の事言って!」


ああ、追い打ちをかけちゃったよ。取りあえずそっとしておこう。


「お兄ちゃん、この串焼きって本当に美味しいね!」

「うん、そうだね。このタレがなんとも甘辛くて良いよね?」

「そうですわね。このタレはかなり仕込みに時間が掛かっていると思いますわ。これは果物の酸味と甘みも加えられているようですわね・・・・」


なんだか、ファーナの顔が真剣そのものだな?


「どうしたの? ファーナ」

「え? い、いえ! なんでもございませんわ」

「そうお? 何だか真剣に串焼き見ながら、ブツブツと呟いていたようだけど?」

「そ、そんな事ございませんわ! き、貴族の私がこのような食べ物に興味がある訳がござませんわ! おほほほ」


今更、そんな貴族の高飛車なご令嬢を演じても、似合わないよ?


「ファーナ。顔が引きつっている」

「ま!」

「目が泳いでいる」

「ええ?!」

「冷や汗掻いている」

「ひゃわぁあああ!」


最後の情けない叫びは何だったのだろう?


「別に食事や食べ物に興味があるのは良い事だと思うよ?」

「・・・・で、でも、まかりなりにも貴族の子女がですね、庶民の食べ物に興味を示すなんて、はしたないと・・」

「誰がそんな事言ってるの?」

「あ、いえ、その、誰がと申されましても・・・」

「僕は、嫌いなものはどうしても嫌いだと言うのは仕方ないと思ってる。でも身分の差だけでそれが、はしたないとか言うのは、違うと思ってるんだ。それって僕の嫌いな人の考えだよ?」

「・・・・はい・・」


ファーナが落ち込んじゃった。あれ? 僕言い過ぎた?


「お兄ちゃん、ファーナお姉ちゃんを泣かせた?」

「え!? そ、そんな事ないぞ!?」

「でも、お兄ちゃんの言葉で悲しくなってるんだよね?」

「た、たぶん・・・」

「なら、それはお兄ちゃんが悪い! ちゃんと謝る!」

「は、はい!」


なんだか、隣近所のお姉さんに怒られた気分だ。

僕は、噴水の縁の石に腰掛け、そのまま動かなくなったファーナに近づこうと、クルルを膝から下ろし、体が引っ付くくらいのところまで寄ってみた。


「その、ごめん。ちょっと言い過ぎたかな?」


すると、ファーナが頭を挙げ、僕の顔を見て来た。


「フェル様は、やはりお優しい方なのですわね?」

「う~ん、よく優柔不断と言われる事は多いかな?」


前世の時からだけどね。


「私、もし魔導士としての才能がなく、戦士のパートナーとして成れなかったら、お店を出したいなと思っておりますの」


突然、爆弾発言をされるファーナさん。いきなりだね。でも・・


「うん、凄く良いと思うよ」

「え? 良いのですか?」

「うん、何かおかしな事でも?」

「いいえ、そんな事・・」


あ、そうか、あの串焼きを見つめていたのは


「串焼きの焼き方やタレの使っている材料の検討とか、ああやって庶民の普通の店屋に行っては色々と物色し研究を重ねているのですわ」

「それは凄い!」

「え?」

「10才で将来の自分の青写真を持って、それに向かって努力しているのは、僕は尊敬する」


少し驚いた表情を見せるファーナ。


「そんな風に褒めてもらったのって、始めてかも・・」

「これからも頑張って! 僕も応援するよ! ただ、恥ずかしくなって、ああいう庶民発言は駄目だからね?」

「はい! あれは本心じゃありませんわ! なんだか自信が湧いて出てくる感じがいたしますわ」


うん、ファーナが元気になってくれて良かった。でも、まさかファーナがお店を出したいと思っているとはね・・・え? という事は貴族から出て平民になるって事?


・・・・ま、良いか。僕がとやかく言うことじゃないけど、もし協力が必要なら、いつでも協力しよう。


読んでいただきありがとうございます。

またのお越しをお待ちしております。


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