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騒がしい日常 4

屋台で落ち込む?

「さてと、先ずどこから行こうか?」

「屋台!」

「いきなり行くの?」

「お兄ちゃん、だめ?」


そんな、うるうるした瞳で見られたら、駄目だと言える訳がないじゃないか!


「よし、分かった! ・・・で、屋台ってどの辺りにあるのかな?」

「はあ~、フェル様って、しっかりしている様で、時々抜けてらっしゃるのですわね」


ファーナが呆れたように話す。

だって、帝都の街はアルーラに連れて行ってもらっただけで、どこに何があるのかまだ覚えてないのだよね。

それに、今、アルーラもルーフィも居ないんだよね。


「分かりましたわ。私が事前に調べておりますので、ご案内させていただきますわね」

「え? 凄い! 調べてくれていたんだ」

「ファーナお姉ちゃん凄い! 尊敬だよ!」


あ、屋台の場所を知ってる知らないで、今クルルの中で、僕の地位はファーナに負けたような気がした。トホホ・・・


「当然です。所要で来られなくなった、アルーラ様とルーフィ様に代わってこの帝都主要区域探索作戦の指揮を任されましたのですから、これくらいの準備は当たり前ですわ!」


なんだか大げさなネーミングだね?


「それでは、こちらからまいりますわ!」


ファーナ、張り切っているなぁ。アルーラとルーフィに何かしつこく言われていたようだけど、ちょっと息抜きに街を散策する程度なんだから、リラックスしていこうね。


取りあえず、ズンズンと進んで行くファーナを先頭に、ゴルドが続きその後ろに僕とクルル、その真後ろにレノアと連なり街中を進み始めた。


「おい、フェル」

「何、ゴルド」


ゴルドが歩きながら後ろを振り向き小声で話しかけて来た。


「ちゃんと、姫さん達にお土産買うの忘れんなよ?」

「ん? あぁ!、そうだね。ありがとう。お土産買って行かないと物凄く怒られそうだったもんね」

「ああ、忘れないでくれよ。忘れたらとばっちりがこっちに来そうだからな」


はは、そんな事・・・そう言えば、街に遊びに行くと言ったら、もっと早くに教えて欲しかったと凄く怒られたもの。

なんでも、二人でラウンジを出た後、サリダ呼び出されて、そのまま、学校長室に行っていたそうだ。その時に、用事を言い渡されたらしくて、今回の帝都散策には参加できなくなったのを相当悔やんでいたようだった。


あの様子なら、お土産買ってこなかったら、とてつもなく酷い事されそうな気がする。


うん、忘れないようにしよう! でも何を買えばいいんだ?

後で、ファーナかレノアに聞いてみよう。

・・・クルルは・・・何となく違う気がする。


そんな事を考えながら、ファーナについて歩いていると、何処からともなくいい匂いが漂ってきた。


「なんだか、すっごく良い匂いがして来た!」


クンクンと鼻を突きあげ、匂いの漂ってくる方向を嗅ぎ分けようと、顔をあちこちに向けるクルル。やっぱり小動物に見えるのは僕だけだろうか?


「あっちの方から匂ってくる! 早く行こうお兄ちゃん!」


僕の手を握る力を強くして、引っ張り出すクルルの後を少しブレーキを掛けながら一緒に走り出す。ファーナの横を過ぎ、少し大きめの石造りの建物の角を左に曲がると、そこは一気に今ままでの、石造りの建物が並ぶ、街並みとは一転して、開け広げられた広場の中に、秩序良く屋台が並んでいる光景が目に入ってきた。


「おお、ここは初めてかも、これだけの店が幾つも並んでいるんだ!」


クルルも大はしゃぎだが、僕もかなり高揚した気分になっていた。

300年前は、戦争でどの街も村も酷い状況だったから、こんな風に店が何の警戒もなく広げられているのが不思議に思えたりもした。


「お兄ちゃん! 早く行こう! あの一番いい匂いがする所に行こう!」


クルルが躊躇なく向かったのは、広場に入り口からさほど入らない場所で、白い煙を上空に上げている店屋だった。


「あ、あそこは、この帝都でも有名な屋台らしいですわ」

「へぇ~、凄くいい匂いがしているけど、何かの焼き物の店なのかな?」

「はい、雷撃鳥という魔鳥の肉を秘伝のタレに付け込んで、炭火で焼いた串焼き専門店ですね」 


「お? 雷撃鳥か! でも結構淡白な肉だからな、付け込むタレの良し悪しがそのまま、その店の良し悪しに繋がるからな!」


ゴルドが、物凄くウンチクを並べて喋り出した。


「ゴルド、良く知っているね?」

「そりゃ、平民出の俺には、なじみの食べ物だからな、こだわりも人一倍あるさ」


そんなものなのか?

とにかく、クルルが店の前で釘付けになって微動だにしない姿は、微笑ましいのか悲しく見えるのか?


「何だい嬢ちゃん! これ欲しいのか?」


ありゃ、ブンブン首を縦に振っているぞ。


「でも、金が無けりゃ食べられないぜ?」


わああ、急に涙目になっている! 食べられない、の言葉が悲しかったのか?!


「お、おじさん! この雷撃鳥の串焼き5本下さい!」

「お、坊主、この嬢ちゃんの兄貴か?」

「うん、クルルのお兄ちゃんだよ!」

「そうか、兄妹揃って可愛いじゃねえか。ちょっと待っていろよ! 熱いやつ持たせてやるからな!」


見た目は熊みたいな図体のデカい、強面のおじさんだけど、それに反して優しく対応してくれたので好印象だ。

こういうお店は当たりが多いんじゃないかな?


「それじゃあ、先にお金渡しとくね」

「お? おう。でも坊主が払うのか? 5人分?」

「うん、そうだけど?」

「後ろに立っているのは保護者だろ?」

「え? ま、まぁそれに近いかな?」


保護者かと言えば違うのだろうけど、僕を護衛しているといえば、そうなんだろうし、特に否定はしないでおこう。


「オタクら? この子等の保護者だろ? 子供に金を払わせて、黙って見ている大人というのは、どうなんだ?」


ゴルドとファーナ、そしてレノアに眼を飛ばす店主のおじさん。特にゴルドに鋭い視線を送っていた。


「い、いや! ほ、保護者じゃ・・・」


言い訳をしようと前に出るゴルドだったが、あまりの店主の迫力に押され、つい頷いていた。


「保護者がちゃんと金を払うんだ! いいな?」

「は、はい!」


ゴルドは財布から素早く銅貨5枚を店主に渡した。


「毎度あり! よしこっちも出来たぞ。坊主と嬢ちゃんには1本ずつオマケだ」


そう言って7本の串焼きを僕に手渡してくれた。」


「良いんですか? ご店主?」

「子供が気にすることじゃねえよ。後ろの保護者共が、ボーっとしているのが悪いんだよ」

「そうですか、では改めてありがとうございます」

「ありがとう、おじさん!」

「良いって事よ!」


もう一度僕は頭を下げながら、店を離れた。


「俺って、そんなに老けて見えるのだろうか?」


ゴルドが落ちこんでしまっている。

逆に、僕は、そんなに子供に見えるのか?

読んでいただきありがとうございます。

またのお越しをお待ちしております。

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