模擬戦 9
模擬戦編、最終です。
「そしてこちらが、レノアラーヌ・フリューさんと、クルル・ロンディさん、二人とも水人族だけど、魔力の才能は僕も認めている」
「お初にお目にかかり光栄に思います。私、レノアラーヌと申します。レノアとお呼び下さい。姫様」
「そんな堅苦しいのはいい、ルーフィと呼んで。そして助けてくれてありがとう」
「いえ! もったいないお言葉! どうかお気になさらずに」
相変わらず、レノアは固いな。もう少しフレンドリーに話せないのだろうか?
「あ、あのう、私、クルル・ロンディです」
少し恥ずかしいのか、僕の後ろに隠れるように挨拶をするクルル。
「おいで」
ルーフィがアルーラを片手であっちに行けと突き放し、クルルを手招きする。
「もう、仕方ないわね。後でまた頬刷りさせてよ?」
「却下!」
「ええ~!」
ぶつぶつ、文句を言うアルーラを横に置いて、クルルを手招きする。
クルルは、おずおずと、ルーフィの方に向かいベッドの横まで来る。すると、ルーフィが少し腰を浮かせ横へ移動すると、そのままクルルをギュッと抱きしめてきた。
「え?」
驚く、クルルに構う事無く、抱きしめ続けるルーフィ。
「ありがとう。クルルの魔力を凄く感じた。力強く、優しい魔力だった。本当にありがとう」
「そんな、クルルは、お兄ちゃんの助けになればと思っただけで、後はいっぱいいっぱいで、自分でもそんなに魔法の勉強しているわけじゃないし、上手く出来なくて、でも助けたいって思っただけで・・・」
「それが、嬉しい。単純な思いだから届く事もある。クルルは私の命の恩人だ」
「! ・・ありがとうございます」
クルル、少し涙目になっていた。人に認められたのが嬉しかったのかもしれないな。
「みんな、本当にありがとう。ここに居る人は、私の大切な友達。これからも仲良くしてもらって良い?」
「もちろんですわ、というより光栄でありますわ!」
「本当にもったいないお言葉」
「クルル、お姉さまのお友達になれて嬉しいです」
「お、おい! フェル! 俺も友達なのか?」
「え? 嫌なの?」
「そ、そんな事あるか!」
相変わらず、面白い奴だな、ゴルドは。
「ゴルド、だったかな? よろしく」
ルーフィが、小さく手を振ると、真っ赤になって固まってしまったゴルドに、良かったなと僕は肩を叩いてあげた。
「それと、フェル様」
「え? 様は良いって言ったよ?」
「・・・・フェル、じゃあ私もルーフィで良い」
「分かったじゃあ、ルーフィ、何かな」
「ちょっと横に来てほしい」
「ん? 良いけど?」
僕は、ルーフィのベッドのすぐ横までくると、ルーフィが再度手招きしてきた。
それにつられて、僕は顔を少し近づけた。
「チュッ」
「え?」
「な!」
「は?」
「きゃ!」
「うそ!」
「な、な、な! 何、唇奪われているのよ!!」
僕、今、何された? アルーラが僕の肩をがっしり持ってグラグラ揺さぶりながら喚いてくる。
微かに唇に残る、甘い香りの湿り気。
「フェル。感謝の気持ち。それと私をもらって欲しい」
「は、はあああああ!?」
「ル、ルーフィ!! 私でもまだ唇は無いっていうのに?!」
「早い者勝ち、ファーストキスは私が頂いた」
「!! うううう!! フェル!」
「はい!」
「罰として、今晩、初めてを迎えるよ!」
「・・・・・・・えええええええええええええ!!!」
「お、お兄ちゃん! 不潔よ!」
「ち、違う! そんな事しないって!」
「わ、私じゃ嫌なの? ルーフィが良いの?!」
「ふふ」
「それも違うって!」
「さすがですフェル殿!」
「レノア、さすがじゃない!」
「わ、私は、二人が愛し合っているなら、べ、別に良いと思いますわ・・」
「フェル! 羨ましいぞ!」
「みんな! 違うから!!」
だああああ、何故こうなった!?
「フェルく~ん、先生ちょっとお話があります」
そんな冷静な表情で、こ、怖いですよ先生!
その後、ラリーアとサリダを含めて家族会議が開かれました。とても怖かったです。
次回からは、新章の予定です。
またお越しください。




