模擬戦 4
模擬戦スタート!
キーンンン!!
一瞬だった。構えた時点では、二人の間は大人の歩幅で少なくとも50歩近く合ったはずだった。
それが、ルーデフィスタ先生の右手が上がり切らない時には、その差が無くなり、双剣とハルバートがまるで金属がぶつかるような音をたててぶつかり合っていた。
凄い! アルーラが凄いのは分かっていたけど、ルーフィ様も全然引けをとらない動きだ。しかもあの大鎌のハルバートを器用に扱っているのに驚かされる。
「な、何だ! 何が?!」
アルーラとルーフィ様が2、3手、打ち合っているのに今ごろになって、覚醒したかの様に、驚いて辺りを見回しているレバイティ君。自分のパートナーの動きくらいちゃんと見なさい。
その間にも、二人の攻防は激しさを増すばかりで、次第に場の空気もその動きにつられ動き出したのか、訓練場内に風が巻き起こり始めた。
その風は時おり突風となって訓練場に居る者に襲いかかる。
「うお!」
「きゃ!」
僕は、二人の戦いぶりを後ろでじっくりと観戦する。もちろん僕の前には、物理防御の結界を盾の様に展開させているので、二人の攻撃による突風は完全に防いでいる。
しかし、レバイティ君や、審判をしているルーデフィスタ先生はまともにその突風を受け、まともに立っていられないようだ。
やはり、レバイティ君もルーデフィスタ先生も魔力の操作が全然できていない。あれでは支援属性を1割も上手く扱えないだろう。
あれでは前線で戦ってる戦士への支援のタイミングが分からなくなるぞ?
僕がレバイティ君達の様子をうかがっている間も、アルーラとルーフィ様の攻防は、熾烈を極めていく。
ちょっと、これは周りに影響が出てしまいそうだな。ここは協力してもらおう。
『ルールディ先生、聞こえます?』
『ひゃ!? え? フェル君?』
『はい、叫んでも聞こえないと思って念話で話させてもらってます』
『そ、そうなのね。もう急にビックリしましたよ? いきなりフェル様の優しくて甘いささやく様な声が直接身体の中に入り込んで、震わすのですもの。ちょっと感じちゃいましたよ♪』
見た目は清楚なイメージのルールディ先生なのに、案外、サリダに鍛えられているせいか、ちょっと性欲が強く出ることがあるみたいだ。
今後、気を付けよう。
『えっと、そういう冗談は後にしてください』
『あら、後でしたら良いのですか?』
『・・・・・・・・』
『ああ! 嘘、嘘です! もう本気にしないで下さいよ』
やっぱり、気を付けよう。
『本題に入りますが、先生、観戦している生徒達の前に物理防御の結界を張ってもらえませんか?』
『あ、そういうことね。任せて下さい』
言うが早いか、アルーラ達の攻防を訓練場の外周で観戦している生徒達、教師、職員の前に突然、高さ3メートルあるだろう結界が全周に張り巡らされた。
『さすがです。先生』
『いやあ、それほどでも!』
『それじゃあ、僕が仕上げに結界をもう一つ張りますね』
集中、魔力結界術式のイメージ、範囲指定、よし展開!
先程ルールディ先生が張られた物理防御の結界の内側全周に高さ5メートルくらいで魔力系防御の結界を張り終える。
「お、おい!なんだこれ?」
「結界なのか?」
「ああ、これルールディ先生が張るのを感知した」
「すっげえ! さすが聖戦姫のサリダ様のパートナー魔導士だな」
「でも、待って、この2重結界、内側のはルールディ先生の魔力じゃないわよ?」
「は? そんな訳・・・・いや、本当だ違う」
主に魔導士課A組の生徒達が、口々に結界の事を観察し言い合っていた。
うん、さすがにA組の生徒だ。結界の作った者の魔力の違いをちゃんと感じ取っている。
「いったい、こんな大きくて厚い結界誰が起動させてるんだ?」
ただ、この程度の結界で大きいだの、厚いだの言わないでほしいけどな。
『仕方ありませんよ。フェル様は大賢者様なのですから』
ルールディ先生がフォローしてくれるが、僕としてはこれくらいの結界を起動できる魔導士がたくさんいないと、300年前のような事が起これば、また悲惨な出来事が繰り返される事になる。それだけはもう勘弁して欲しいだよね。
『しかし、フェル様、これだけの結界を維持しながらでは、アルーラ様の支援が上手くできないのでは、ありませんか?』
ルールディ先生が心配してくれるが、これに関しては全く問題にならない。
『大丈夫ですよ。このくらい。300年前は、6人の聖戦姫に同時に支援掛けていたからね
』
『そうですね。やはりさすがです』
まだまだとはいえ、こうして誉められると照れるな。
『フェル様! アルーラ様達の様子が変わりました!』
本当だ。やっぱりするのか。もう少し自重して欲しいよ。
次回も早めに更新しますので、またお越し下さい。




