模擬戦 3
幼馴染
「この私なら、アルーラに劣るとは思わない。 レバイディは、どうか?」
「なんだ、お前は? えらく小さいが、本当に同年なのか?」
う~ん、小さいけど、迫力があるな。実際、アルーラと同じような雰囲気を感じる。この雰囲気が分からないのだろうか? レバイディ君は?
「失礼だな、お前」
「な! きさま! 私を誰だと思っているのだ! レバイディ・ルーデフィスタだぞ! ルーデフィスタ侯爵家の長子であるぞ!」
細身だけど長身のレバイディ君が踏ん反り返って、小さい子を威圧する姿は端から見ると幼女に虐待する陰険な大人にしか見えない。
でも、そんなレバイディ君を下からジッと見てまったく動じない女の子。
「ば! 馬鹿者! そのお方をどなただと、思っておるのだ!」
急な展開にただ見ていただけのルーデフィスタ先生が血相を変えてレバイディ君を諫め始めた。
「どうしたと言うのです叔父上?」
「馬鹿者! 頭を下げ謝罪するんだ! この方は、この学校長のお孫様、ラグスウィル帝国次期皇帝候補のルーフィ・ラグスウィル様だぞ!」
「へ?」
間抜けな声を出して、固まるレバイディ君。
君、もう少し世間様の事を勉強した方がいいよ?
「ルーフィ、おひさ!」
「相変わらず、軽い。アルーラはもう少し落ち着いた方が良い」
「ルーフィこそ、相変わらず感情が分かりにくい表情と話し方ね。もう少し女の子っぽくした方が良いわよ? 素材は良いんだから」
「ほっといて。それより模擬戦、するのでしょ?」
「うん、うん! 良いわね! 久しぶりに暴れられるわ!」
二人は知り合い? と言うより、昔からの幼馴染みたいだな。サリダもラリーアも元々仲が良いからな。幼い頃からの知り合いなのは不思議でもないな。
「それで、その男の子が、あなたのフィアンセ?」
「うん! 恰好良くて可愛いでしょ!?」
そう言いながら僕の背中を押され、ルーフィ様の前に立たされてしまった。
「あ、そのは、初めまして。フェル・ディアダナスと言います」
「ん、知ってる。ばあちゃんから聞いてる。グルフェル様の事もね」
「そうですか」
サリダの孫か。アルーラとも仲良さそうだな。
「あ、あのう、ルーフィ様、それで、レバイディと模擬戦をしていただけるのでしょうか?」
「あ、忘れてた。そう、だから早く準備して」
「は、はい! なんと光栄な事か! レバイディ! 早く準備しろ! お前がルーフィ様に認められたという事なのだぞ!」
「ほ、本当ですか!」
「ああ! でなければ自ら名乗り出て貰えるはずがないでわないか!」
「そうか! 当然の事ですよね! 私の様な有能な者はやはり認められべくして認められるのですね!」
二人でえらく、テンションが上がっているけど・・・
「ルーフィ、本当なの? あのレバイディの魔導士としての力量を認めたの?」
「????」
無表情で首を傾げるルーフィ様。可愛いですけどちょっと怖いですよ?
「アルーラ、何を言ってる?」
不思議そうに聞き返してきたルーフィ様に、やっぱりと肩を窄めて見せるアルーラ。
「そうだと思ったわ」
「私は、ただアルーラと戦いたかったし、ばあちゃんに聞いてフェル様の事が気になったから」
僕を見つめて、口の端をニッと上げて笑ったように見えた。
ちょっと怖いですよ、その笑い方。
「ルーフィ様! 準備できましたぞ!」
張り切っているルーデフィスタ先生とレバイディ君。
「アルーラ、フェル様、よろしくお願い」
丁寧にお辞儀をするルーフィ様。表情は乏しいけど、動作がどことなく小動物っぽくて可愛らしいな。
「さあ! 早く始めましょうぞ!」
「私が、ルーフィ様に真の魔導士の力をお見せいたします!」
相変わらず、うるさいな、あの二人は。
ルーフィ様も眉間にしわを寄せてる。
「ルーフィがあそこまで露骨に嫌がるのも珍しいわね。それでも模擬戦に買って出たって事は、相当フェルの事がきになるのね・・・ここは一発叩いておく必要がありそうね」
「お、お手柔らかにね?」
あ、目が戦闘状態に入りかけてる。こうなったアルーラは怖いぞ。
ルーフィ様もレバイディ君側の方に行くと、こちらに振り向き視線をアルーラに固定し、睨み返してきた。
「それでは、レバイディ、ルーフィ様組み対、フェル、アルーラ様組みによる模擬戦を開始する。他の生徒は、訓練場の外周円外に退避」
生徒達がルーデフィスタ先生の言葉を受け、素早く訓練場の外周側へと出ていく。暫くすると、全員が外周に出終わり、それを確認するように、数人の教師が手を挙げた。当然その中にはルールディ先生の姿もある。
「準備が整いました。最後の確認です。今回はあくまでも魔導士の力量を見せる為、ワザと最初の1分間は、姫様がたお二人の戦士の力だけで戦っていただきます。1分経った時点で笛が鳴りますので、その時点で魔導士は支援とその他の属性魔法を行使。全てを駆使し勝利を目指すように。但し、戦士の武器は刃や殺傷能力が無い物を使用、魔導士は、魔法魔術の使用は禁止とする。まあ、E組のフェル君では、支援以外使えないので、最初から問題ないだろうがね?」
最後まで嫌味な先生だな。
これが終わったら、悪戯でもしてやろうかな?
「フェル、じゃあ行くよ?」
「うん」
アルーラは僕に一言、言うと腰に下げていたホルダーから、2本のミドルサイズの木剣を取り出し、それぞれを手に持ち戦闘態勢に構える。
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