測定会 5
測定開始だ! ようやくだよ。
「それでは、E組のみなさん、順番にこの魔導具の左右それぞれぞれの先端部分を両手で握って下さい」
女性職員の方が、机の上に置かれた、魔道具を指さしていた。
こんな魔道具始めて見た。昔も魔道具はあったけど、高価だったしそれほど性能もよくなかったので、あまり使われていなかったんだよな。どちらかと言うと貴族や金持ちの道楽、コレクションみたいな扱いだった。
でも、実用的な物が多くあるってラリーアから聞いていたけど、学校の設備としても利用できるくらい、普及しているんだ。
「よっしゃ、先ずは、俺からな」
腕まくりのポーズをとって気合十分で挑むゴルド。
「あ~、君、ゴルド君。そんなに気合入れまくると、正確な測定ができませんからリラックスしてください」
「お、おう!!」
「ですから、もっと肩の力を抜いて」
「お、おう!!!」
「はあ~、じゃあ深呼吸しましょう」
ゴルドは職員さんに、呆れられながらも深呼吸を始めていた。あれはもう少し時間かかりそうだな。
「はい、こちらでも始めます。カルファーナ・オリバーンさん。こちらに来て下さい」
「はいですわ」
「頑張って、カルファーナさん」
「はい、頑張りますわ。ただ・・」
「ただ?」
「フェル様、皆さんと違って私だけ、さん付け、なのですね?」
「え?」
「少し、寂しいですわ」
ちょっと表情を暗くして設置されている魔道具に向かうカルファーナさん・・・
「カルファーナ! 頑張って!」
「! ・・・で、できましたら・・ファーナとお呼び下さい・・」
「え? ああ、ファーナ頑張れ!」
「はい! 行ってまいりますわ!」
喜んでくれたかな? ってスキップして行かなくても・・
「それでは、左右の突起の部分をそれぞれの手で握って下さい。握っている間はこの真ん中の魔晶石の球体に集中するようにお願いします」
ファーナが魔道具の前に立ち、一度深呼吸をすると、職員さんの言う通りに魔道具を握り始めた。
この魔導具、赤ちゃんの頭くらいの魔晶石が、金属の箱の中に組み込まれ、その箱から2本の棒が左右からそれぞれ突き出ていて、それをファーナが握るような形になっていた。
この箱に仕掛けがあるんだろうな。物凄く複雑な魔術の紋様がびっしりと練り込まれているのが分かった。
たぶん、普通の人がみたら、ただの箱にしか見えないかもしれないけど、魔導をかじった者なら、その表面や中に刻み込まれた紋様がちゃんと見えるので、これがどれだけ精密な物かが分かるだろう。
暫くすると、ファーナの握っていた棒が淡く光り始め、その光が箱の魔術紋様に這うように流れ始めた。
それらが目まぐるしく流れ始めると、魔晶石の球体の中心に黒い点が現れ始めた。
「出てきましたね。このまま暫く続けて下さい」
「はい」
すると、その黒い点が次第に広がり始め、魔晶石の中で大きくなり始めた。
「・・・・・・・す、凄いですね。1年生でここまで成長している魔力魂は珍しいです」
職員さんが呟き、魔晶石の中の黒い球状の物を凝視している。
ん? 魔晶石の中、目盛りみたいな物が等間隔に刻みこまれている。もしかしてあれで大きさを測定するのかな?
「はい、宜しいですよ。手を離してください」
「あ、ありがとうございました」
「カルファーナさん! あなた凄いですよ!! 数値でいえば58です。これは魔導士の国家採用試験の標準45を今の時点で越えていますから、このまま成長すれば、宮廷専属の魔導士も夢じゃないですよ!」
少し興奮気味に女性職員が話していた。
やっぱりそうか。ファーナの魔力量、結構大きく感じていたから、かなり優秀だったんだな。
「おい、今、58とか言ってなかったか?」
「は? そりゃないだろ?」
「あいつらE組だろ? ない、ない」
「でも・・」
「俺でも18だぜ?」
「うん、僕は16で普通だって言われた」
「だから何かの間違いだろ?」
ファーナより先の机に設置してあった測定魔道具の数台で他のクラスも順次測定していたようだ。
その生徒が、ファーナの数字を聞いて噂をしているみたい。
「フェル様、緊張いたしましたわ」
「おめでとう。結構凄い数字らしいじゃない」
「ええ、少し安心しましたわ」
本当に緊張していたみたいだ。少し手が震えているもの。普段の勢いが無くなってなんだか可愛らしい。
これはこれで魅力的だと僕は思うけどな。
さて、ゴルドはどうかな?
「もっと、肩の力抜いてください!!」
「スーハー、スーハー・・・・・」
まだ、深呼吸しているのかよ。
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