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1年E組 5

アルーラとカルファーナが!?

「これでちゃんと謝りましたからね

「はい、確かに謝罪は受け取りました。それじゃあ後は問題ありませんね?」

「はい?」


取りあえず、問題は無くなったようなので僕はカルファーナ嬢に笑顔で手を差し出す。


「な、何ですの?」

「え? 握手だよ?」

「そ、そんな事は分かっておりますわ! なんで握手をしなきゃいけないのかと言っているのですわ!」

「そんなの決まっているじゃない。これから5年間同じクラスメートとして勉強する仲なんだから、友達になろうと言う意味なんだけど?」

「え?」


突然、カルファーナ嬢の体が固まったような気がした。


「わ、私と、お、友達・・・ですか?」

「うん!」

「・・・・・わ、私と・・お・とも・・だち・・ほ・ほんとうに・・・」

「え? 今何か言った?」


ささやくような声だったから良く聞こえなかった。


「は! い、いえ! な、何でもありませんわ! わ、分かりましたわ! お、友達に、な、なって差し上げても、よ、よろしく、てよ!」


何故か、顔を背け気味に手を差し出すカルファーナ嬢に僕は優しく手を握ってあげた。


「・・・・・・・・」


ん? アルーラそう言えばさっきから何も話してこないで、ずーっとカルファーナ嬢を見つめているようだけど?


「う~ん、これは要注意ね」


何がだろう?


「あなた、名前はなんていうのかな?」


急にアルーラはソファーから立ち上がると、カルファーナ嬢に向かって名前を聞いてきた。


「え? ・・・・な、なんですの? 人に名前を尋ねる時は、まず自らが名乗るべきではありませんか?」


先程までのちょっとおどおどした雰囲気から一変、背筋を正したカルファーナ嬢が、アルーラに聞き返していた。


「あ、そうね。これは失礼しました。では改めまして。私、アルーラ・ミレ・フューナスと言います。戦士課の1年A組よ」

「そうですか。A組・・優秀なのです、えっと、アルーラ・ミレ・フュー・・・・フューナス!!? 様?!」

「はい、よろしくね」

「! ヒッ! ひゃ、ひょ、りょ!」

「カルファーナさん、落ち着いて!」


先程までの堂々とした態度が嘘の様に、極度の緊張のせいか挙動不審な怪しい女の子になってしまったカルファーナ嬢に、僕が落ち着いてと手を握ってあげた。


「な! 何、勝手に手を握っているのですか! 変態!」

「変態って・・僕はただ、カルファーナさんが、緊張している様だったから、良かれと思ってしたのだけど・・・」

「あ、その、ごめんなさい。いきなりだったからつい・・」

「でも、緊張とれたでしょ?」

「ほ、本当だわ?」

「で、カルファーナさん? で宜しいですか?」

「ひい! フュ、フューナス王国の・・・」

「はい、第一王女のアルーラです。よろしくね。カルファーナさん」


アルーラが握手をしようと手を差し出すけど、一向にカルファーナさんは手を差そうとしない。いや、出来ないのか?

緊張で体がカチカチになっているんだ。

それが分かったのか、アルーラが身を乗り出し、カルファーナさんの手を無理やり握って握手をしていた。


「これで私ともお友達ですね。フェルの事、同じクラスの友達としてよろしくお願いね」

「は! はい!!」


柔らかく微笑むアルーラに、引きつった笑顔のカルファーナさん。対照的な二人が握手を交わしていると、遠巻きにしていた生徒たちの声が聞こえてきた。


「おい、やっぱりあの可愛い女の子、アルーラ王女だ」

「凄い美人で凄い胸、あんな女の子が本当に存在するんだな」

「で、さっきから王女が引っ付いている子供はなんだ?」

「あ、あのバッチ、Eって書いてない?」

「E組? あの魔導士課の最低クラスか?」

「なんで、そんな無能と王女が一緒にいるんだ?」

「それにあの女もだれだ?」

「あれも E組だぞ?」


色々と言っている様だけど、そういうのは聞こえないように言うものだよ? 話に夢中になり過ぎて声が大きくなっているよ?


アルーラにもちゃんと聞こえている様で、少し気にしたようだったけど、直ぐにカルファーナさんに向き直って話し出した。


「カルファーナさんって、フューマレーフェン王国の連合に加盟するステレニア公国のオリバーン辺境伯の御息女でしたよね?」

「え? は、はい! そうです! よくご存じで」


アルーラがカルファーナさんの国の事を話したら、凄く嬉しそうにしていた。


「ステレニアは、フューマレーフェン王国でも最も辺境小国で、そのまた辺境を領地に持つわがオリバーン家をご存じとは、フューマレーフェン王国の貴族でさえ知らない者もいるというのに、知っていただけているというだけで、嬉しゅうございますわ」


涙目になってないか? よっぽど嬉しかったんだろうな?


「そんな卑下する事はないわよ? あの地にあるレイ湖は素敵なところですもの。これは内緒ですけど、お婆様と時々お忍びで、たまに旅行に行っているの」

「ほ、本当でございますか?!」

「うん、本当よ。今度寄った時は、お友達としてご実家に立ち寄らせていただくわね」

「は、はい! 是非!」


最初の固さが無くなったカルファーナさんは、王女の手を握り嬉しそうにしていた。

貴族にとって、他国のとはいえ、王族に連なる者が領家にやって来ると言うのは、とっても名誉な事なんだ。それだけで周辺貴族に一目置かれる存在となるらしい。


「ところで、お伺いしてもよろしいでしょうか?」

「何?」


カルファーナさんがアルーラに質問をして来た。


「何故、私なのですか? フェル、様、と何か関係があるのでしょうか?」

「えっと、先程も言ったけど、フェルの友達なら私も友達なの。それにあなたには強い信念というか、私と同じ様な雰囲気を感じたのよ。だからフェルの事、私が居ない時には力になってもらえそうな気がしたのよ」

「・・そう、なのでしょうか?」

「そうよ、フェルって私がいないとちょっとね」

「あ、わかります。何かボーっとしているというか、抜けているような気がします」

「そうなの! やっぱり私の目に狂いはなかったみたい」


こらこら、二人で僕の悪口を言ってないか?


「それは、分かりましたけど、アルーラ様にとってフェル様っていったい・・」

「え? 知らない? フェルは私のパートナーなの、色々な意味でね」


屈託のない笑顔でウィンクして公言するアルーラ。

僕はちょっと、恥ずかしいです。


「え? パートナー? 色々な意味?」

「そう、い・ろ・い・ろ、な意味よ?」


と、言ったとたん、僕をギュッと抱きしめ胸の間に僕の顔を沈みこませてきた。


「「「「「えぇえぇえぇえぇえ!!!」」」」」


遠巻きの生徒も含めて、何度目かの驚きの声が上がった。


ぎゅううう~、駄目だ、これは堕落してしまう気持ち良さだった。


読んでいただきありがとうございます。

次回も引き続き読んでいただきますようお願いいたします。

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