1年E組 2
E組は無能な者の集まりなのか?
「最後に、フェル君、自己紹介お願いしますね」
「え? あぁそうか」
まだ自己紹介してなかったな。
僕は、その場で立ち上がり、全員を見渡す。
「えー、僕は、普人族のフェル・ディナスと言います。7才です。今回、ラリーア・ミレ・フューナス様の御厚意により、入学を許され、皆様と同じ学舎にて学ばせていただく事になりました。歳は、まだまだ子供ですので皆さまのお力添えを頂きますようお願い申し上げます。」
深々とお辞儀をする。
「・・・・・・・・な・・・」
今、カルファーナさん、だったかな? 何か言わなかったか?
「な、なんですって~!!!」
いきなり大きな声が僕の耳に飛び込んで来たので、僕は慌てて顔を上げると、金髪ウェーブのカルファーナ嬢が僕を指さし、顔を真っ赤にしててワナワナと震えているのが見えた。
他の3人は僕の方を見てはいたけど、そこまで大げさな反応は見せていない。
彼女だけだけが異常に怒っていた。
「あなた!」
「はい?」
「ラリーア・ミレ・フューナス様の御厚意と言いましたわね!?」
「はい、そうですが?」
「つまり、それはラリーア・ミレ・フューナス様の推薦で入学したという事なのでしょうか?」
「はい、そうですが?」
推薦がどうしたって言うのだろうか?
貴族や王族推薦は普通だと聞いていたけど、違うのかな?
「簡単に・・・簡単に、はい、そうです・・なんて言わないでくださいまし! 7才という異例の早さでの入学の上に、それがラリーア様の推薦ですって?! その君が何でこんな、E組にいるのですか!?」
どういうことだろう?
「申し訳ないですが、言っている意味がよく分からないのですが?」
僕が本当に分からないと答えると軽蔑にも似た視線で僕を睨んできた。
「分からないの?! ここはE組、一番最後のクラスなのですわ? クラス分けは成績、資質、属性数、推薦の内容を全て加味して決められる、つまりここは魔導士として一番才能の無いと言われた者が来るところなのです! 君の様に推薦で入る者が来て良いところなのではないのですわ!」
そんな事、言われても僕が決めたわけじゃないのだけど?
それを言おうとしたけど、彼女の必死なもの言いが気になったので敢えて言わないようにした。
「私は、この学校に入る為の推薦なんてして下さる方はいませんのよ。田舎貴族の小娘にその様な奇特な方はいる訳がないですから。だから必死に勉強し、訓練したのよ! それでも入れるかどうかだったわ。でも私は入学出来た。必死に入学試験を突破して勝ち取った証なんです! それなのに推薦というだけで入れる人がいる、それでもその人が優秀で、誰もが認める者ならばいざ知らず、君のように才能が無い者でも入学できるなんて! 私は認めたくありませんの!」
肩で息をしながら、必死に訴えてきた彼女。
そうか、僕が無能なのに推薦というだけで、この学校に入っているのが気にくわないのか。
彼女、カルファーナ嬢は、自己紹介の時、ちょっと高飛車な感じで、話していたけど、なめられない為に必死で虚勢をはっていたのかも。それだけカルファーナ嬢はこの学校へ就学することが大事なんだ。
「貴族は嫌いだが、良いこと言うじゃねえか、そこのお嬢様は」
後ろの方で観戦していた、ゴルドラン君が僕と、カルファーナ嬢との話に入ってきた。
「俺らはな、この学校に入る為に必死なんだぜ? この学校なら入学費用も学費も全て無料、寮にも入れて、衣食住が全てタダで勉強させてくれるんだ。俺みたいな平民にとってこれ以上ない場所なんだよ! お前みたいなボンボンが、方暇に来るなんて許せねえんだよ!」
ゴルドラ君もそうなのか。その上貴族嫌いなんだ。彼にとって僕は、無能な上に良いとこのお坊っちゃまで、嫌いな貴族に見えるんだ。
カルファーナ嬢とゴルドラ君がそうなら、後の二人は・・・あ、こっち向いてない。先生の方だけ見てる。
関心がないなのかな?
それにしても、反論したら納得してもらえるかな?
・・・・無理だよね?
「君たち! いきなり仲間割れなんて、先生悲しいです」
ハンカチを片手に、涙を拭う仕草を見せるルールディ先生。こんな小芝居する人なのか?
「仲間? そんなもんになった覚えはないぞ! ここにいるやつらは全員ライバルで、蹴落とす存在でしかねえ!」
先生にも、たてつくゴルドラ君。よっぽど上流階級の者が嫌いなんだな。
「とにかく皆さん! 落ちつて下さい! ここで喧嘩しても良いですけど、最悪退学ということもありますからね! それはお二人にとっても不本意ではありませんか?」
ルールディ先生の言葉に、二人は顔を見合わせた。
「ま、まあな」
「そうですわね」
おお、やっと落ち着いた。さすがに、必死になってようやく入れた学校をいきなり退学なんて考えたくなかったのだろう。さすがルールディ先生。
「それと、最初に言っておきますけど、このE組が無能力な者を集めたなんて誰が言ったのです?」
「え? だって最初の説明の時に、能力順にAから下がるって聞いておりますわ」
ルールディ先生の言葉に、カルファーナ嬢が反応する。でも僕でも彼女の言っている事が正解にも思えるけど?
「序列の話はDクラスまで、Eクラスは全く関係ないわよ?」
「関係ない? そりゃどういうことだ!?」
ゴルドラ君が、ルールディ先生に詰め寄る。
「このクラスはね、急遽作られたクラスなの」
「はあ?」
「言っている意味が判りませんわ?」
二人の言う通り、僕も意味が分からないぞ。
「このEクラスは、魔導士の中でも、支援属性しか持たない、世間でいうゼロ持ち魔導士なのよ!」
堂々と断言するルールディ先生に、僕達は困惑するばかりだった。
・・・・・いや、まさかね?
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