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入学 7

仲が良過ぎると目立つのか?

「はあ、なんとも凄い入学式だった・・」


戦姫やそのパートナーが、あそこまで熱狂的になるほどの存在になっているとは、正直思わなかった。

特に、神に認められて、聖戦姫の名を持つ、サリダとラリーアは、ちょっとした信仰対象だったもの。

ただ、それでわかったのは、サリダとラリーア以外の聖戦姫は、この世を去っていたことだ。

300年経っているのだもの。当然だろうし、僕も頭の片隅では考えていたことだけど、やっぱりちょっと、きついな・・・


「フェル、どうしたの?」

「あ、アルーラ、」

「元気無いね、入学式の熱気で気持ち悪くなった? 私の回りにいた子も何人か倒れてたし?」


僕が、ボーと考え事しながら、校舎へ向かってゆっくりと歩いていると、アルーラが僕の横に並び、心配そうに覗きこんできた。

うん、せっかくの入学式の晴れやかな日に、アルーラを心配させて暗い想いをさせるのは、精神年齢上、大人な男としてはいけない事だな。


「大丈夫、もう何ともないよ」

「そう? しんどいならしんどいって言うんだよ?」


はは、アルーラの方が年上みたいだな。

ああ、身体的な部分などの発育状況は、僕の方が子供だった。結構身体に合わせた精神状態になっているのかもしれないな。

それでも男としては、しっかりしないと。


「ありがとう。アルーラの顔を見たら元気が出たよ」

「!!」

「ん? アルーラ、顔赤くない?」

「フェル! こっち見るな!」


いきなり怒鳴りだして、顔を背けたぞ? 何か変な事言ったかな?


「ふ、不意打ち攻撃は禁止だかんね!」

「はい?」

「もう! 良いわよ!」


いったい何がなんだか?

と、思ったら、今度は、ニイ、とか言って口角を上げききたぞ?


「そうだ! それよりどうだった? フェル君を称える最後の言葉は?」

「う!・・・・・」


くそ~、今、完全に忘れていたのに!

そうなんだ。式の最後に司会進行をしていた人が語った言葉に僕は思わず目眩を感じてしまったんだ。


「最後に最大の救世主に捧ぐ言葉で入学式を終了いたします!」


進行役の先生が、急に直立不動になり、講堂の正面に向き直る。

救世主? 誰の事だろう?


「我ら人類に希望の光をその命と引き換えに残し下さった、大賢者、グルフェル導師の御霊に最大の感謝を捧ぐ! 一同礼!」

「「「「「はい!!」」」」


え? えええええええ!?? い、いきなり講堂にいる全ての人が立ち上がり、胸に片手を打ち付け深々と頭を下げたぞ。

え? え? それって僕の事? 僕に皆が・・・だ、だめだめ、目眩がする・・・

そんな覚束無い視線の先にラリーアとサリダの姿が見えた。

あ。肩が震えてる。

あ、あ、あれは、絶対に笑ってる! 笑っているのを必死に我慢してる!!


あ~あ! 転生前も含めて、こんなに恥ずかしい想いをしたのは始めてだった。


「アルーラ~、あれって普通なの?」

「そうね。何かしら行事等の終了とか、区切りに必ず言う言葉だね」


凄く嬉しそうに言うなあ。絶対楽しんでるだろ?


「あれ? フェル恥ずかしいの?」

「分かってて言ってるでしょ?」

「え? 別に良いじゃない。皆、本当にフェルに感謝しいてるんだよ? それだけの事を君はしたんだ。胸を張ればいいじゃない」


当たり前のように言うアルーラ。

そうは言ってもなあ~、あれをあんな人数の人間が一斉にされるとさすがに耐えられないよ。


「でも、考えたらそんな偉大な人が、300年の時を越えて私の旦那様になると思うと、ちょっと気が引き締まるね!」


それにしても本当にアルーラって前向きだよな。

でも。


「まだ旦那様じゃないからね? 婚約だけだよ?」


そこは間違ってほしくない。もし僕が前世みたいな力まで戻らなかったら、アルーラにとって相応しくない。彼女の才能は今の時点でも戦姫のなを継いでも良いと思えるほどだもの。


「何? 私じゃ不満なの?」


アルーラが僕の正面に回って肩をガシッと捕まれると、優しく微笑んできた。

なんだろう、下手に怒られるより背筋が寒くなるんだけど?


「どうなの?」


冷や汗が出てきた。


「そんな事ないよ! アルーラはとても素晴らしい女の子で、逆に僕の方が相応しい男なのかどうか不安で・・・」

「私はこの人が私の運命の人だと思ったの! それで良いじゃない! その時点でフェルは私にとって大切になったの!」


はあ、情けない。女の子にここまで言わせるなんて、男失格だな。


「ごめん。僕もアルーラの事大切に思ってる。相応しくないとかじゃないよね。大切なアルーラに相応しくなかったら相応しくなるように頑張ればいいんだよね」

「うん、どちらかと言えば、私がフェルに相応しい女にならなきゃいけないんだけどね?」

「じゃあ、二人で頑張れば良いんだよね?」

「うん! 二人で頑張って最高のパートナーになろうね!?」


いつのまにかアルーラが僕の手を両手で強く握っていた。

僕はこの子の為に我が儘に強くなっていこう。

読んでいただきありがとうございます。

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