平穏な日 5
頑張れフェル!
「フェルぐ~ん、ここを出て行ぐのぅ~!」
ああもう、鼻水出てるし、そんなに泣かなくても・・
「アルーラ! ご、ごめん! 別にすぐに出ていくとかそういう事じゃなくて、将来、手に職があった方が良いという意味でね?」
「グス、グス、ヒッグス」
「いや、だからね、出て行かないから! ここに居るからね?」
「ほ、グス、ほ、本当?」
「本当! 本当! 大丈夫! それにパートナーになれるか分からないけど頑張るから! ね?」
「本当に、本当に、本当に?」
「本当! 本当! だから泣かないで! ね?」
「う、うん、ありがとう・・・(ヤッタ!)」
「ん? 今、何か言った?」
「うん、うん! 何も言ってないよ! フェル君! これから一緒に頑張ろう!」
「???」
「アルーラったら・・・なかなかやるじゃないか。」
「ラリーア様、どうかしました?」
「いや、我が孫ながら、さすがだと思ってね」
「???」
何だろう? お二人では分かっているみたいな・・・?
でも、まぁ良いか。どのみち魔法の修練はしなきゃいけなかったわけだし、パートナーとかは、またその時に考えれば良いか。
「さて、それでフェル君」
「はい? ラリーア様」
僕の考えがまとまったのを見計らったように、ラリーア様が話しかけてこられた。
「魔法の修練についてだけど、私やアルーラでは基礎的な事は教えられるけど、魔法、魔術については専門外なのでね、そこで知り合いから魔導師の先生に来てもらう事にしたんだが、良いかな?」
それは願ってもない事だ。300年の間の魔術の進歩も有るだろうし、何分この体にあった修練となると一人では不安だったんだ。
「はい! お願いします」
「分かった。それじゃあ明日には来てもらえると思うから、今日は自分の出来る範囲で調整しておいてね」
「はい! ラリーア様、ありがとうございます!」
僕は明日からの魔法の修練に期待しながら、体の調整を始めた。
でも、どんな先生がくるのかな? ちょっと楽しみだな。
翌日。
「おっはよう!! フェル君! 朝だよ~!!」
バアンン!!
「ぐえっ!」
い、いきなりベッドに飛び込んで僕の腹の上にダイブしてくるな!
「ああ! 朝のフェル君の匂いだあ~!」
「ちょ、ちょっと! アルーラ! ぐ、ぐるしぃ~!! 朝の匂いって何だよ? それと頬をスリスリしない! あ! こら変なところに手を入れない!」
布団の中に入り込んだと思ったら、密着してきて色々弄ってきた。
「幼児を弄ぶな!」
「あ? そういえばフェル君って5才だっけ? 話し方が年上っぽいから忘れてたよ」
あははは、とか屈託のない笑顔を僕に見せながら、まだくっついてくる。
「大丈夫! 幼い子をお姉さんが抱きしめるのは母性本能だから仕方ないの!」
それは母性本じゃないと思うよ? はぁ、勝手に言っててください。
「それより早く起きて、朝ごはん食べよ!」
「起きようと思ってたんですけでね。アルーラに襲われてるので起きれないのですよ」
「え~、嬉しくせにぃ」
朝からテンション高いな。とにかく起きるか。
それから、アルーラをなんとか引っぺがし、ベッドから起きあがって身支度をしようとすると、後ろからついて来たアルーラが手伝おうとするので、それを阻止、騒ぎたてるアルーラを無視して身支度を済ませ、ようやく食堂に到達出来た。
起こされてからここまで1時間近く経っていた。
「あら、遅かったわね?」
ラリーア様が、先にテーブルに付かれ、僕達が入ってくるとそんなお言葉をかけてこられた。
「この状況ですので身支度に時間がかかりました。すみませんラリーア様」
僕がそう言うと、納得とばかりに溜息を吐き、僕に同情の表情を見せてくれた。
「アルーラ、何故フェル君を後ろから抱き着いたまま歩いているの?」
「あ、お婆様。おはようございます! 大丈夫! 気にしないで」
気にしてください!
「・・・・おはよう。早く済ませて修練場に行くわよ」
スルーに決め込まないでください!
「はい! フェル君! 一緒にご飯食べよ!」
「・・・・・・」
それから僕の隣に座ったアルーラに、無理やり食べさせられてから、修練場へと向かったのだ。
修練する前なのに、もうくたくただよ。
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