平穏な日 4
フェル君の運命が動き出す?
僕がラリーア様の所にお世話になり始めて、1ヶ月が経ちました。
体がだいぶん動く様になって来たので、少しずつ体を動かそうと、コートの隅でトレーニングを始めていたのだけれど、急に現れたアルーラが、僕の前に腕を組んで叫び始めたんだ。
「フェル君には立派な魔導士になってもらって、私のパートナーになってもらいます!」
「何を急・・に・・て・・えぇええええええええ??!!」
い、いったい急になんだって言うんだ? まさか本当に転生している事ばれているんじゃ?
「いきなり何で、そういう話になっているんですか! アルーラって次期、聖戦姫の筆頭候補なんでしょ? だいたいフィーレフューナス王国のお姫様なんだよ? 僕みたいな平民出のどこの馬の骨か分からない子供がなれるわけないじゃないですか!」
「そんな事ないわよ? パートナーの魔導士選びに、身分は関係ないもの?」
「そうは言っても!」
「フェル君は、私がパートナーじゃ嫌なの?」
こらこら! そんな乙女の顔して下から攻めてこないの!
「べ、別に嫌とかそういうことでは無くてですね・・」
「じゃあ、嫌じゃないんだね?!」
ぐいぐい迫ってくるアルーラの顔。もう僕とアルーラの鼻の先が小指一本分も離れてないほど迫ってきた。
「あなた達、こんなところでキスでもする気なのかい?」
「「え?」」
ラリーア様ぁあ! なんて事言うのですか!
うわぁ、アルーラの顔がみるみると赤くなって、湯気でも出しそうだよ!
いや、僕まで顔が熱い。
「おば、おば! おばぁあああ様!!! な、な!!」
「落ち着きなさいって。そこで動揺してどうするの? あなた5つも年上なのに情けないわよ?」
「急に現れて、そんな恥ずかしい事、言われれば誰だって焦りますよ!」
「そうお? 私なんか、速攻でグルフェル様に告白して落としたわよ?」
あ、そう言えば、ラリーア様と初めて会ったあと3日目には、一緒に前線に出ていたな。
「あなたが必要なの!」
とか言って、まあ殆ど人さらいみたいに連れていかれたんだけど、あれを落としたと言うのだろうか?
「と、とにかく! お婆様の自慢話は後にしてください! 今はフェル君を魔導士になってもらう話の方が先です!」
僕と少し距離をとってから、ビシッと僕に指さして息巻くアルーラだけど、顔が赤いのでさまにならないよ。
でも、どうして急に僕にパートナーになれと?
「アルーラ、なんで僕なの?」
「お、女の感よ!」
また、抽象的な話だな。
「落ち着きなさい! アルーラ。感というより感じたんでしょ? それをちゃんと伝えなさい」
感じた?
「うう! 正面から言うのって、お、思った以上に、恥ずかしいよ!!」
「何を乙女な事言っているの! あなたの良いところは後先考えずに突っ走ることじゃないかい! ガラじゃないよ!」
「お婆様! 私をなんだと思ってるんですか!」
「言わせたいのかい?」
「・・・・・いいです・・」
「じゃあ! がんばんな!」
何か、物凄く青春してない? 僕もつい身構えてしまうよ。
「ううう、い、言うわよ! 感じたのよ! この胸の奥ある魔力魂がフェル君を感じて震えたのよ! 絶対に良いパートナーになれるってそう思えたのよ!」
肩で息するほど、必死に言葉を投げかけてきた。これはさすがに僕も恥ずかしいぞ!
でも、アルーラが一生懸命に伝えてくれたのは嬉しかった。でも
「はぁ、いきなりな話ですね」
「アルーラは本気よ? それに私も同じように感じたからね。フェル君は素質があるよ。私が保証する」
ラリーア様にが僕の横にたって頭をなでながら微笑んでくれる。
ちょっと昔の事思い出すな。
ほんと、アルーラって昔のラリーア様にそっくりだよ。
「まぁ、そのなんです。パートナーの事はさて置いて」
「お、置いておくの~?」
そんな悲しい顔しない。
「べ、別にならないとは言ってないじゃない」
「え? それじゃあ!」
「ちょっと待って!」
僕は一度深呼吸して気持ちを落ち着かせてからアルーラとラリーアに話し出す。
「僕の方からお願いしようとは思っていたのですけど、魔法の修行は教えていただこうかと・・・」
「やっぱり、自分でも魔導士の資質があると思っているのね?」
「いや、別にそんな事は思っていませんけど、もし魔導士になれれば、この先一人で暮らしていのに有利かな? とか思っている程度ですけど」
転生前の記憶があるから、発動の感覚や、結界魔法陣の脳内術式は覚えているから、後はこの体でどれくらいの魔力魂ができるかが問題なんだよな。
あ、あれ? アルーラが泣いている? って本当に泣いてるぞ?
「ちょ、ちょっとどうしたんですか?!」
アルーラが僕を睨みながらボロボロと涙を流してるのが目に飛び込んで来た。
読んでいただきありがとうございます。
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