平穏な日 2(サイド・アルーラ1)
アルーラとラリーアのお話です。
「まだまだ修行が足りないわよ?」
「はい、ごめんなさい・・」
今、私は今日の訓練メニューを終えて、ラリーアお婆様から駄目出しを受けています。
さすがは、始まりの聖戦姫と言われる、この世界を救ったエルフ族の至宝、ラリーア・ミレ・フューナスだわ。300才を越える年齢とは思えない体のきれと剣術、体術、魔法、どれをとっても勝てる要素が無いと実感させられた。
私は、この春10才になる。
戦士を目指す者は10才になると、7大種族が集まって作った、戦士・魔導士育成学校に入学する事になっていた。
まぁ、10才は戦士のみの規定で魔導士は5才から入学が可能なのだけどね。
なんでも、魔法は5才~10才の間にどれだけ操作、使用するかで体の中に形成される魔力魂の純度、容量が決まるらしいので、有能な子供を早くから預かり育成させていると聞いた事があるわ。
戦士の場合は素質を見極めるのにはやっぱりある程度、体が出来上がってないと分からないらしいから10才という事になっているのだけど、誰でも入学出来るわけじゃないのよね。国や貴族とか冒険者組合等の推薦された者か、それ以外の人は厳しい試験に合格しなければ、入学を許されないんだ。
当然、私は王家のしかも次期、戦姫を継ぐ可能性が高いから、推薦なのだけど・・・
私はそれを蹴って、試験での入学にこだわった。
だって実力もない、血筋だけで選ばれると思われるのが癪だったの。実際そう言ってくる貴族の子供らも居たからね。
だから、なんとしてでも自慢できる点で合格したいから、引退したお婆様の元で、教えてもらうべく、この半年ほどこのお屋敷に住まわせてもらっているの。
「でも、フェル君が言っていたように、あなたの戦い方はとても素早く風の様に軽やかだわ」
「え? あ、ありがとう」
も、もしかして初めて褒められた?
今まで、小さい時から暇があれば訓練に付き合ってもらっていたけど、まともに褒められた事なんか無かった気がする。
こ、これは快挙なのでは?
「でも、ちょくちょく強引なところが出るし、無駄な動作も多い。ちょっと感情的になり過ぎるところがあるわ。簡単にいえば脳筋タイプね」
「の、脳筋って・・ひ、酷いです。お婆様・・・」
そ、そりゃあ、エルフ族にしては、直情的すぎるとは良く言われるけど、脳までさすがに筋肉ではないと思うのよ・・たぶん。
「でも、フェル君が来てからは、その傾向も徐々にではあるけど良くなってきているわ・・・」
え? フェル君? なんでフェル君がここで出てくるの?
「アルーラ、あなたフェル君をどう思う?」
「え? どう思うかって、可愛いくてぇ、小さいのに礼儀正しくて、良い子だよ?」
そう、凄く良い子なんだ。
体は相変わらず痩せているけど、初めの頃に比べれば血色も良くなってきているし、少し身もついて来た。だからか顔も少し丸みが出てきて、ただでさえ可愛いらしい顔だったのに、輪をかけて可愛いくなってきて、もろ、私好みなんだよね。
「アルーラ、よだれ出ているわよ?」
「ご、ごめんなさい、つい」
慌てて口元を拭く。
「そうじゃないわ、あの子がどんな子か気にならないのかって事よ」
ああ、そういう事か。
「確かに、普人族で平民出、しかも最下層身分だと言っていたし、酷い仕打ちを受けて、まともに教育なんて受けて無いはずなのに、あの言葉使いに礼儀正しさ、普通に考えれば怪しさ大爆発だよね?」
お婆様、なんでそんなに驚いているの?
「私だってそれぐらいの事分かるよ!」
「あ、ごめんね。ちゃんと考えていたんだ」
お婆様、それは失礼です!!
またお越しください。




