《聖女パーティー》エルマ視点43:その気遣いはいらないわよ!?
さすがはドワーフと言ったところだろうか。
巨乳好きのハレンチ豚に変わりはないのだが、物作りにおいては人の比ではなく、豚はあっという間に宿の壁を塞いでしまった。
もちろん細かな装飾や塗装などはまだだが、それも早々に終わらせると言い、「あとはこのポルコめにお任せを!」とあたしたちを下がらせた豚は、今も一人外で黙々と作業を続けている。
むしろここから先は一人の方がやりやすそうだったので、あたしたちも彼の意を汲むことにしたのだ。
なのであたしたちは休息も兼ねて順番にお風呂に入ることにしたのだが、
――ぎいっ。
「ひゃいっ!?」
ふいに部屋の扉が開き、あたしはベッド脇に座ったままびくりと肩を震わせる。
「?」
だが入ってきたのは湯上がりのザナで、些か挙動のおかしいあたしを不思議そうに見やりながらも、その艶やかな髪をタオルで丁寧に拭いていた。
「……はあ」
ともあれ、どうしてあたしがこんなにも緊張しているかというと、それはあの怖い女神を倒すためにはあたしもイグザの妾にならないといけないっていうか……その……え、えっちなことをしないといけないからである。
ゆえに、イグザたちが帰ってきたのではないかと、先ほどから扉が開く度にびくびくしていたのだ。
確かにアルカディアにも言われたとおり、あたしはあいつのことが嫌いじゃない。
未だに色々と不快な思いをさせてしまったという負い目はあるけれど、久しぶりに会ったあいつは随分と男らしくなっていたし、ぶっちゃけあたしたちを守ろうと戦っている姿なんかは本当にカッコよかった。
このあたしが思わず見惚れちゃったくらいだもの。
だから世界のためにあたしを抱かないといけないと言うのであれば、あたしだって頑張って勇気を出そうとは思う。
出そうとは思うのだけれど……。
『本当にいいんだな? エルマ』
『……うん。でも優しくしなさいよね……?』
「~~っ!?」
いや、無理無理無理ぃ~!?
どんな顔してそんなこと言えばいいのよぉ~!?
恥ずかしく死にそうになるに決まってるじゃない~!?
あああああああああああっ!? とあたしが頭を抱えながら悶絶していると、「大丈夫」とティルナがあたしの隣に座って言った。
「わたしも同じ悩みを抱えていたから」
「ティルナ……」
そうよね……。
とくにあんたは見た目と年齢のギャップもあるし、一番悩んだわよね……。
ティルナの言葉にあたしが勇気をもらっていると、彼女は何やら小さな袋を差し出して言った。
「だからあなたにはこれを使って欲しい。わたしはまだ使ったことがないけれど、これがあればきっと自信が出るはずだから」
「ティルナ……。あんた、本当にいい子ね……」
ぐすっと思わず涙ぐみそうになりながらも、あたしはさっそく袋の紐を解く。
そうして袋の中から姿を現したのは、
――透け透けTバックのどぎつい下着だった。
「……」
「……」
――ぐっ。
「いや、〝ぐっ〟じゃないわよ!? 何をどや顔で親指立ててくれちゃってんのよ!?」
「でもそれがあればお色気もばっちり。きっと困ってるだろうと思ってマグメルにお願いした」
「ねえ、ちょっとティルナ? 〝余計なお世話〟って知ってる?」
「頑張って、エルマ。わたしはあなたの味方。成功を祈ってる」
――ぐっ。
いや、だから〝ぐっ〟じゃないわよ!?
あんたに心配されなくともお色気くらいむんむんだってーの!?
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