《聖女パーティー》エルマ視点31:どんだけ人生謳歌してんのよ!?
そうして高速で海を突っ切り、再びマグリドへと到着したあたしだったが、頭の中では未だに豚の言った〝幼馴染は家族のようなもの〟という言葉が引っかかり続けていた。
そりゃ馬鹿イグザとは幼い頃からずっと一緒にいたんだから、家族のようなものだと言われればそうなのかもしれない。
あたしもあいつも一人っ子だったしね。
互いの役割上、一緒にいる時間が本当に長かったし、幼馴染というよりはほとんど姉弟みたいな感じだったと思うわ。
まあ、だからこそいつの間にか遠慮がなくなっちゃったんでしょうね。
でも仕方ないじゃない。
あいつ以外に素のあたしを出せる人なんていなかったんだから。
じゃあどこにストレスをぶつけるかって言われたら、馬鹿イグザしかいないでしょ?
だってずっと側にいたあいつにしか、あたしの苦労なんて分かりゃしなかったんだもの。
だから……そうね。
こうして一人になってみてよく分かったわ。
あたしがどれだけあいつに依存していて、どれだけあいつを傷つけてきたのかをね。
そりゃ毎日意味もなくキツい言葉をぶつけられ続けるんだから、我慢だって出来なくなるわよね……。
それは本当にあたしが悪かったと思うし、きちんと謝ろうとも思ってるわ。
でもね、それはそれとして、
「はい、イグザさまは私を妾として迎え入れてくださいまして、一晩中愛してくださいました」
「まあその直前に我とも契っているがな」
いや、あいつはっちゃけすぎじゃない!?
てか、女神さまとまで寝てるってどういうこと!?
というか、それ以前に一晩で両方の相手をしてることにびっくりなんですけど!?
むしろあなたたちはそれでいいわけ!?
驚愕の事実を聞き、あたしはずんむりと両目が飛び出しそうになっていた。
「ぐっ……うぅ……」
そしてあんたはなんで泣くほど悔しがってんのよ!?
顔が憎しみに溢れすぎて凶行に及ぶ前の犯罪者みたいになってるじゃない!?
いや、まあ気持ちは分かるけど!?
とくにイグニフェルさまはあんた好みのナイスバディだしね!?
って、豚のことはどうだっていいのよ!?
てか、あいつほかにも聖女たちを侍らせてたわよね!?
なんなの!?
そんなに性欲溜まってたの!?
え、もしかしてそれを解消してあげなかったからあたしは捨てられたんじゃないでしょうね!?
もしそうなら話がちょっと変わってくるんだけど!?
いや、でも確かに今思えばあいつ時折あたしのことをいやらしい目で見ていたような……っ!?
豚同様、馬鹿イグザにも性欲の権化説が出てきたことに、あたしは内心がくぶると顔を青ざめさせていたのだった。
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